OLYMPUS PEN S F2.8(オリンパス ペンS)解説・作例・使い方

オリンパスペンS

みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。

今回はオリンパスのフィルムカメラ、オリンパス ペンSについて話します。

OLYMPUS PEN S

OLYMPUS PEN S F2.8 外観とスペック

OLYMPUS PEN S F2.8

OLYMPUS PEN S F2.8

OLYMPUS PEN S F2.8

OLYMPUS PEN S F2.8

レンズ:D. Zuiko 3cm F2.8
シャッター:COPAL B、1/8秒~1/250秒
巻き上げ:ノブ巻き上げ
カウンター:手動セット、逆算式
フォーカシング:目測
ファインダー:逆ガリレオ式、アルバダ式ブライトフレーム
フィルム装填:裏蓋取り外し式
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1960年
発売時価格:8,800円
製造元:オリンパス光学工業

参考:「オリンパスペンS:PENシリーズ:カメラ製品:オリンパス」2021年12月21日閲覧

オリンパスペンSとは

オリンパスペンS

オリンパスのペンシリーズは、ハーフサイズカメラ、つまり、普通の35mmフィルムの半分の面積を使うフィルムカメラです。
36枚撮りフィルムだと72枚、24枚撮りだと48枚、みたいに2倍の枚数を撮ることができます。
そのかわり画質は下がるんですけどね。

ハーフサイズの解説

そういうハーフサイズカメラというジャンルを作ったのがオリンパスペンシリーズです。
※同様の画面サイズのものはそれ以前にもありましたが、とくに日本国内において流行させた存在です。

ハーフサイズカメラというジャンルを作ったのがオリンパスペン

最初に登場した、1959年の初代オリンパスペンという機種のレンズとシャッターを高級なものにしたのが、このオリンパスペンSです。
レンズがF2.8とF3.5のものの2種類がありますが、わたしが持っているのは、明るい3cm F2.8のレンズが付いたモデルです。

ペンシリーズには多彩な機種がある

ほかにもオリンパス ペンには多彩な機種があります。
自動露出のEE系や、一眼レフのPEN Fが代表格でしょう。

OLYMPUS PEN-EE(オリンパス ペンEE)解説・使い方・作例

作例

というわけで、まずは作例をみていきましょう。

使用フィルムはFUJIFILM 業務用100です。
※製造中止のためプレミアがついていることがありますが、中身はフジカラー100と同じです。

初代オリンパス ペンの開発の逸話で知られているのが、お金をかけるところとコストをカットするところをばっさりと切り分けて、レンズにはお金をかけた、ということです。
このオリンパス ペンSもさすが、ピントがばっちり合ったところは非常によく写ります。

オリンパスペンS作例

オリンパスペンS作例

オリンパスペンS作例

オリンパスペンS作例

距離計はついていないので、今回は目測で撮影したんですけど焦点距離3cmということで被写界深度もある程度あって、それなりに歩留まりよく撮影することができました。

オリンパスペンS作例

たとえばパソコンとかスマホの画面で拡大せずに見るだけなら、ハーフサイズの画質、全然違和感ないと思います。
ということは、リアルタイムで使われていたときはサービス判くらいまでしか伸ばされなかったわけなので、性能として十分以上だったわけですね。

ただ、さすがに遠景の細かい描写とかを画面上で拡大してみると、画質の限界というのも感じました。
このオリンパス ペンSは自分で分解整備したので、無限遠調整をミスったかと思い、撮影後にもうピント調整してみたのですが、整備したときにケガいた無限遠位置と一緒だったので、たぶん画質の問題なんだと思います。

オリンパスペンS作例

オリンパスペンS作例

でも、性能としては本当に十分以上です。
今回撮ったフィルム、動画には出せないですがリアル友人のポートレートもあったんですけど、2~3mくらいの人間を撮る撮影距離だと、すっごく雰囲気ある写りするんですよ。

オリンパスペンS作例

オリンパス ペンシリーズだと、露出が自動のオリンパス ペンEEは焦点距離が固定ですけど、ちょうど人を撮るのにちょうどいいくらいの距離に固定されているので、ぜひ友達とかを撮ってみると、写りに驚くと思います。

写真を撮るのって、やっぱり人が被写体だと面白いですよね。

機構的な部分

次にメカ的な部分ですが、このオリンパス ペンSは、レンズとシャッター以外の構造は初代ペンそのままです。

オリンパス ペンシリーズって、フィルムカメラの分解が趣味の人にとってはド定番の機種なんですが、じつはこれまでちゃんと触ったことがなかったんですよね。
きちんとした工具を揃えたのもここ1~2年の話なので。
ちょっとだけだけどカメラの仕組みを知ってきて、あらためて分解してみたら、驚きました。
こんなシンプルな構造で、巻き上げとかチャージをやっているなんて。

シンプルな構造

オリンパス ペンを作ったのは、日本を代表するカメラ設計者の米谷美久さんなわけですけど、あらためて、その凄さを実感しました。

わたしのカメラ分解の趣味は全然未熟なんですけど、そんなわたしでも、部品を外せるだけ外して、ほぼ全部きれいに清掃して組み直すことができました。
それくらい、シンプルで合理的な設計なんです。

いままで初代ペン系のカメラに食指が伸びなかったのは、距離計がないカメラにいまひとつ魅力を感じなかったからなんですけど、ハーフカメラで、しかもF2.8の機種に距離計なんていらないですね、実際。

不要なものはつけないで、必要なところに集中したカメラ。
本当にすごいです、オリンパス初代ペン。

ストラップ金具が弱いのには注意

ひとつダメ出しをするなら、ストラップのアイレットはトップカバーにナットで留まっているだけなので、ちょっと頼りないです。

ストラップ金具が弱い

ストラップ金具自体、真鍮製でブッシュとかも入っていないので、摩耗して弱くなっていることも多いです。
わたしのもかなり削れてます。

金具の摩耗

もし用意できるなら、革製とかのハーフケースを使って、ストラップ金具に力がかからないようにしたほうが安全かもしれないです。

オリンパス ペン(フィルム)について関連する書籍

オリンパスペンSの使い方

使い方についても解説します。

順番に見ていきましょう。

フィルムを入れる

まずフィルムの入れ方です。

裏蓋を開けるには、底部にある開閉キーを180度回します。

開閉キーを180度回す

すると裏蓋がスライドして外れます。

裏蓋がスライドして外れる

フィルムをフィルム室に入れて、フィルム先端を巻き上げ軸に差し込みます。

フィルム先端を差し込む

フィルムに空いている穴、パーフォレーションというんですけど、がスプロケットのギアと噛み合うようにします。

ギアと噛み合うようにする

1回巻き上げてみて、うまく巻き上がっていることを確認したら裏蓋を閉めます。

巻き戻しクランクを少し回して、フィルムのたるみを取ります。

たるみを取る

空シャッターを3~4回切ります。

空シャッターを切るときの巻き上げ時に、巻き戻しクランクが逆方向に回転しているか確認します。
回転していれば、フィルムが正常に巻き上げられています。
もし回転していない場合、フィルム先端が軸から抜けている可能性があります。
(フィルムのたるみを取ったのは、この確認をするため)

空シャッター

前後しますが、巻き上げは背面のノブで行います。

巻き上げ

親指で右に、それ以上回らなくなるまで回します。

フィルムカウンターの設定

空シャッターを切ったら、フィルムカウンターを設定します。
手動設定なので、忘れないようにしましょう。忘れると、残り何枚撮れるのかわからなくなります。

フィルムカウンターの設定

カウンターの真ん中のギザギザの部分を指の腹で反時計回りに回して設定するのですが、
オリンパス ペンSのカウンターは逆算式、つまりカウントが減少していくタイプです。

逆算式

なので、入れたフィルムの撮影枚数の2倍の数字に合わせます。
24枚撮りだと48。36枚撮りだと72です。

露出(シャッター速度と絞り)を合わせる

次に露出の合わせ方です。

シャッター速度はレンズ部分根本のリングで合わせます。

シャッター速度はレンズ部分根本のリングで合わせる

使えるシャッター速度は、バルブ、つまりシャッターを開けっ放しにする設定と、
1/8秒から1/250秒までです。

絞りはレンズの周りの小さいリングで回します。

絞りはレンズの周りの小さいリングで合わせる

このオリンパス ペンSや初代ペンには露出計がないので、露出は勘で合わせることになります。
フィルムを買ったときに、このように箱に露出の目安が書いてあるので、それに沿って合わせるといいでしょう。
多少ずれても、ネガフィルムなら全然写ります。

フィルムの箱に露出が書いてある

あとは、スマホに露出系アプリがあるので、それを使うのもいいですね。

ピントを合わせる

ピントの合わせ方です。

ピントは、シャッターダイヤルよりひとつ先端側にある、黒いリングで合わせます。

ピントリング

これも、距離計がないので勘で合わせます。

遠景を撮るときは、とりあえず無限遠の無限マーク(∞)に合わせておけば大丈夫です。

無限遠

もっと近くの場合、ざっくりいえば
人間の頭から足までの全身がファインダーに収まるときが3m
上半身を撮るときが1.5m
にするといいでしょう。

人間を撮る距離

最短撮影距離は、ピントリングに刻印があるのが0.6mですが、参考までに日本人の腕の長さが、だいたい70cm前後らしいです。
男性が長めで女性が短めということはありますが、腕を前に伸ばしたときくらい近寄って撮れる、というわけですね。

最短撮影距離

近距離で撮った例
↑被写体に近寄った例

ただし、被写体に近寄れば近寄るほどピンぼけしやすくなります。
あと、ピントの合う範囲はカメラの絞りの設定とも関連してくるので、興味ある方は調べてみてください。

というわけで、ピントを合わせたらシャッターを切ります。

フィルムの巻き戻し

最後に巻き戻しです。

フィルムの最後まで撮り終わると、巻き上げノブが重くなって巻き上げられなくなります。
無理矢理力を入れるとフィルムが千切れてしまうので気をつけましょう。

巻き上げノブが重くなる

フィルムを巻き戻すのですが、巻き戻しはカメラの底にある巻き戻しボタンを押しながら行います。
巻き戻しボタンを押しっぱなしにしながら、巻き戻しクランクを矢印の方向に回します。

巻き戻しボタンを押しっぱなしに

巻き戻しクランクを回す

巻き戻しクランクが軽くなったら巻き戻し完了です。
念の為少し余分に回しておきましょう。

あとは、フィルムを入れたときと同じように裏蓋を開けて、フィルムを取り出します。

これで撮影完了です!

オリンパスペンは偉大なカメラ

というわけで今回はオリンパス ペンSについての動画でした。

オリンパス ペンシリーズの良さ、本当に今回ちゃんと整備してみて、すごいカメラだなーと実感しました。
あと、カメラがちっちゃいのって本当にいいことですね。

これくらいのサイズ感のカメラって、もう少しあとの時代になると自動露出があたりまえになっちゃうんですけど、マニュアル露出の小さいカメラを使いたい方、オリンパス初代ペン系のカメラってすごくアリだと思いました。

人気機種って、やっぱり人気になる理由がありますね。

これからも、さまざまなカメラを紹介していきたいと思うので、よろしくお願いします!

御部スクラでした。
ありがとうございました。