東京光学 PRIMOFLEX 4A(プリモフレックス4A)二眼レフ紹介・作例

プリモフレックス4A

皆さんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。

今回は、二眼レフカメラのプリモフレックス4Aを紹介します。

PRIMOFLEX 4A

PRIMOFLEX 4A 外観とスペック

PRIMOFLEX 4A

レンズ:TOKO 7.5cm F3.5 3群3枚
シャッター:RECTUS B、1秒~1/300秒
巻き上げ:ノブ巻き上げ、自動巻き止め、多重露光防止
露出計:なし
フォーカシング:ノブ式、前板繰り出し
ファインダー:ウエストレベル、フレネルレンズの「トーコーブライト」を内蔵
フィルム装填:スタートマーク式
使用フィルム:120フィルム
発売年:1954年
発売時価格:24,000円
製造元:東京光学

価格参考:『アサヒカメラ』1955年8月号広告(『昭和10~40年 広告にみる国産カメラの歴史』1994年、朝日新聞社、p.176より)

プリモフレックス4Aの紹介

プリモフレックス4A

プリモフレックス4Aは、東京光学、のちのトプコンが製造した二眼レフです。
この4A型は1954年の発売。

カメラ自体の構造は、二眼レフカメラとしては非常にオーソドックスなもので、ドイツ製のローライコードのかたちを踏襲しています。
このプリモフレックス4Aですが、よくいえば真面目な作り、悪くいえば目立つところがないというカメラなのですが、とにかく真面目に作られているので、実用性は十分な機種です。

プリモフレックス4Aの作例

では、まずは撮影した写真を見ていきます。

使用フィルムはKodak Ektar100(期限切れ)です。
エクター純正現像で出しました。

このプリモフレックス4Aのレンズは、TOKO 7.5cm F3.5。
3群3枚のトリプレットで、二眼レフカメラとしては標準的なスペックです。

プリモフレックス4Aの作例

このプリモフレックスを作った東京光学は、戦前には陸軍向けの光学製品を作っていた伝統あるメーカーなのですが、それだけあって、このTOKO(トーコー)レンズは評価が高いようです。

プリモフレックス4Aの作例

プリモフレックス4Aの作例

プリモフレックス4Aの作例

こうして、撮れた写真を見ても、ぱっと見てよく写っていると感じます。
うつりが一定の水準を満たしている、という意味で、フィルムで作品を作る、みたいな用途にも全然使えるんじゃないでしょうか。

ただ、トリプレットなので当然といえば当然ですが周辺部はよく見ると少し写りが悪くなります。
あと、空が写っている写真に顕著ですが、周辺部がかなり光量落ちしますね。

プリモフレックス4Aの作例

とにかく、写りについては、とくに目立つところがあるわけではないけれど、破綻なくよく写る、という感じです。
派手な部分はないものの、実用性十分なカメラだと思います。

プリモフレックス4Aの作例

プリモフレックス4Aの来歴

さて、このプリモフレックスというカメラの来歴についてですが、
東京光学が二眼レフカメラを作り始めたのは1952年のこと。
このプリモフレックス4Aは最初に話したとおり1954年の機種で、120フィルムを使うものは1957年のプリモフレックス オートマットLが最後になりました。
他に、127フィルムを使うプリモフレックスJrが1958年に発売されています。

プリモフレックスという名前ですが、プリモというのは、代理店の大沢商会のブランド名です。
他に、自社ブランドのトプコフレックスや、服部時計店、セイコーのローレルフレックスという名称で売られたものもあるのですが、詳しくは解説欄の参考文献をご覧ください。

プリモフレックス4Aの機構面

メカの面についての話ですが、
最初にも話しましたが基本的には二眼レフとしては非常にありがちな形態です。

こういう、金属製でロールフィルムを使う二眼レフというジャンルはドイツのローライが起点となったわけですけど、日本製の中級二眼レフとしてはよくある、ローライコードをコピーして小さな改良を加えたもの、という感じですね。

わたし、ローライは持っていないんですけど、他に持っている国産二眼レフがコニフレックスと後期のリコーフレックスで、形態が完全なローライ系じゃないものしかなかったんですよね。
コニフレックスはレンズの焦点距離が長くて機構が特殊ですし、リコーフレックスはシーソー式のピント合わせで。
それで、何の変哲もないのローライコードっぽい二眼レフを一台持っておきたかったので、このプリモフレックス4Aを買って自分で直した、という感じです。

シャッター

シャッターは富士精密のレクタスというもので、最高速は1/300秒。
シャッター羽根を清掃したら普通に動いているので、実用には問題ないかな、という感じです。
ただ、やっぱり精工舎とかコパルに比べると作りが劣るので、次の機種からは精工舎のシャッターが搭載されるようになっているようです。

多重露光防止

シャッターと巻き上げに関してうれしいのが、多重露光防止がついているということです。

プリモフレックス4A

シャッターを切ると再チャージができなくなって、巻き上げるとロックが解除されます。
空シャッターを切りたいときは、前板にあるレバーを回すと多重露光防止をオフにすることもできます。

プリモフレックス4A

ただ、知識がないとチャージレバーが動かないときに無理やり力を入れて壊してしまいそうだなあ、とも思いました。

トーコーブライト

東京光学の二眼レフの特徴として、ピントグラスに「トーコーブライト」というフレネルレンズが内蔵されていて、ファインダーが明るくなっています。
※1952年のプリモフレックスIBB型から

プリモフレックス4A

が、実際に使ってみた感想としては、あんまり見やすくなかったです。
明るいのは確かなのですが、ピントの山が見えづらい印象でした。

最後に

というわけで、東京光学のプリモフレックス4Aの紹介でした。

あんまり褒めていない内容みたいになってしまっている感じがありますけど、実際は、使っている感じは悪くないんですよ。
ただ、よくも悪くも派手なところのない、質実剛健なカメラ、という感じです。
参考文献でも、あまり目立つところがないということが書かれていたんですけど、実際、わたし自身も使ってみてそう思いました。

写りは普通によいし、物理的な精度とかもしっかり作られていて、素材もよいので、きちんと整備されているものだったら、実用のための二眼レフとして十分におすすめできると思います。
二眼レフというカメラ、他の種類のカメラにはない使い心地が味わえるので、使ってみるとかなり楽しいですよ。

というわけでプリモフレックス4Aの紹介でした。
ありがとうございました。
御部スクラでした。

参考文献

二眼里程標 プリモフレックス4A 2021年1月26日閲覧
http://www.tlr66.com/pqrst/primoflex4a.php

すぎやまこういち他 『国産カメラ図鑑』 p.123-124

「板橋と光学 Vol.3」 図録 2020年、板橋区立郷土資料館 p.36-37

Camerawiki.org 大沢商会の項目 2021年1月26日閲覧
http://camera-wiki.org/wiki/%C5%8Csawa

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↑トプコン元社員の方による回顧録です。多少主観的なきらいはありますが、トプコンのカメラ製品の歴史について知るうえでまず読みたい一冊であることは間違いありません。