Agfa Silette-L紹介とライトバリュー(LV)式シャッターの印象

Agfa Silette L紹介とライトバリュー(LV)式シャッターの印象

みなさんこんにちは!

フィルムカメラ系Vtuberの御部スクラです。

今回はAgfa(アグフア)のフィルムカメラ、Silette-L(ジレッテL)についての動画です。
それから、ライトバリュー方式のシャッターについての話もしようと思います。

Agfa Silette-L

Agfa Silette-Lのスペック

Agfa Silette-L

レンズ:AGFA COLOR-SOLINAR 50mm F2.8
シャッター:COMPUR-RAPID B、1秒~1/500秒
巻き上げ:レバーによる1回巻き上げ
露出計:セレン受光素子、非連動、追針式
カウンター:手動リセット
フォーカシング:目測
ファインダー:逆ガリレオ式
フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1956年
発売時価格:-
製造元:AGFA(発売元?)

Agfa Silette-Lについて

Agfa Silette L

アグフアはドイツの会社で、フィルムなどの感材を作っていたメーカーだったのですが、日本でも富士フイルムやコニカがフィルムカメラを作っていたように、フィルムカメラも作っていました。

アメリカのコダックもそうですけど、よく言われることとして、フィルムメーカーが作るカメラには特徴があるんです。
フィルムメーカーはフィルムを売りたいと思っている。
だから、できるだけカメラを普及させようと、ファミリー向けの機種を作る傾向にあったわけです。

いま動画に写っているAgfa Silette-Lも、そういうシリーズのひとつです。

Agfaのこういうカメラについての情報、あまりインターネットに情報がないし、手元にある本にも全然載っていないのでソースがCamerawikiなんですけど、
AgfaのSilette(ジレッテ)というシリーズは1953年から1960年代前半にかけてつくられた、35mmのレンズシャッターのカメラ、ということです。
このSilette-Lは1956年発売、だそうですね。

参考:
http://camera-wiki.org/wiki/Silette

距離計がついている上級機種はAmbi Silette(アンビジレッテ)といい、単なるSilette(ジレッテ)は距離計がない比較的安い機種、というわけですね。

作例

ごたくが長くなりましたけど、さっそく、撮影した写真を見ていきましょう。
使用フィルムはオリエンタルのシーガル100です。

このジレッテLには距離計がないですが、今回はファインダーの上に単体距離計をつけて、それなりにピントを正確に合わせて撮ることを試みました。

Agfa Silette L作例

Agfa Silette L作例

Agfa Silette L作例

Agfa Silette L作例

このジレッテL、前玉回転式という比較的廉価な方式のピント合わせで、比較的安い機種ということもあって、あんまり期待していなかったんですよ。

でも、普通によく写っています。
日中屋外で絞り込んでいるので、それでレンズの描写をどうこういうわけにもいかないですが、このカメラが作られた目的。
つまりファミリーユースだと十分以上の描写なんじゃないかと思います。

単体露出計は現在でも使える

そして。
このジレッテLというカメラの特徴が、単体露出計が入っているということです。

単体露出計がついている

1950年代のセレンの露出計ということであてにしていなかったんですけど、屋外の明るいところで見る限りは、指針がかなりそれっぽい値を示していました。
日本製のカメラでもそうですけど、古いセレンの露出計、以前はないほうがマシくらいに考えていたんですけど、受光素子の劣化はあるにせよ、案外実用できるんだなー、ということがわかってきました。
まあ、多少カメラについて知識があれば晴れた日の日向で撮るのに露出計を参考にする必要はないですけど、今回せっかくなので露出計の出た目通りに合わせてみたら、全然、的はずれな数字を示すことはなかったです。

Agfa Silette L作例

Agfa Silette L作例

Agfa Silette L作例

露出計内蔵は当時の最先端

このカメラの機械的な印象として、いま話してきたように、露出計を内蔵しているのが最大の特徴なんですよ。
1956年発売というと、こういうドイツ製でもそうですし、日本製でもそうですが、露出計内蔵というのは最先端のスペックです。
いまでいうとレンズがたくさんついたスマホ、みたいな立ち位置です。

露出計内蔵は当時の最先端

ライトバリュー機構と単体露出計

で。
その露出計を活かすための装備がさらについています。
それが、シャッターの「ライトバリュー」機構です。

ライトバリュー機構というのは、いま動画に写っているように、シャッター速度と絞りが連動して同時に動く機構のことです。

ライトバリュー

同時じゃなくて別々に動かしたいときは、このSilette Lの場合、絞りリングのノブを押し下げることで、絞りリングだけを単体で動かすことができます。

さて、なんでこんな機構が生み出されたかというと、「露出」についての知識がなくても露出計を使えるようにするためなんですよ。
見てください。
シャッターの脇に、こういうふうに数字が刻印されています。

シャッターの脇の数字

そして露出計の部分にも、同じく数字があります。

露出計部分の数字

そう、露出計の部分で示された数字になるように、シャッター側の数字を合わせることで、適正露出になる!
という仕組みになっているんです。
この、シャッターと絞りの組み合わせの数字のことをライトバリュー値、LV値といいます。

ライトバリューの値については一覧表みたいなのもあるんですが、別に覚える必要もないし、そもそも、この仕組みが考えられたとき、ユーザーにも覚えることは求められていなかったと思うんですよ。
単に、露出計の数字をそのままシャッターに設定すればOK!
簡単!
という仕組みだったわけです。

ライトバリューは評判が悪いが……

で。

このライトバリューという仕組み、基本的に評判が悪いです。
シャッターと絞りを別々に動かすのに一手間いるので、ある程度カメラの仕組みがわかっている人にとっては余計なお世話な機能です。
ライトバリューが使いにくいというと「わかっていない」と言われそうですが、使いにくいものは使いにくいです。
とくに、露出を素早く変えたいスナップ的な使い方をしたいときには不便です。

露出計と組み合わせるとライトバリューは使いやすい

でも、ですね。
本来の開発意図。
初心者でも露出計を使って簡単に適正露出を求められる、という仕組みのとおりに使ってみると、たしかに意図が一貫しているんですよ。
今回、内蔵露出計のとおりにライトバリュー値を設定してみて、そう感じました。

本来の意図通りに使ったら使いやすかった

でも、そのあとライトバリュー式のシャッターは消えてしまいました。
なぜかというと、露出計の値を手動でシャッターに設定するということが自動化されてしまったからです。
シャッターや絞りの設定リングと露出計が自動的に連動したりとか、そもそも露出の設定自体が自動化されてしまったりして、発展的解消を遂げた、というわけです。

過渡期の存在になってしまったがゆえに、あとの時代に触ったマニアから酷評されがちになってしまったライトバリューですが、作られた時代には合理的な理由があったんだな、ということが今回よくわかりました。
でもまあ、カメラを人に合わせるのではなく、人がカメラに合わせる必要のある方式というのは否めないと思いますね。

その他の印象

その他の点についてですが、使った印象としては、巻き上げが一応はレバー方式なのですが、ちょっと無理をしている印象で、かなり巻き上げが重かったです。
あと、フィルムの画面サイズが微妙に小さめで、角の部分が丸まっていて可愛いと思いました。
今回、いつも使っているネガキャリアよりも画面サイズが小さいので、作例は画面外の黒枠まで含めてみました。

ドイツ製カメラの品質はとてもよい

そして最後に。
1950年代のドイツのカメラ、やっぱりつくりがいいです。
アグフアのファミリーユースのカメラ、ドイツ製のカメラとしては安い方なのはたしかなんですよ。
でも。
1950年代の日本製のファミリーカメラに比べると、比較対象にもよりますが、メッキとか金属加工とか、つくりはやっぱり良いです。
シャッターはコンパーラピッドを買ってきてつけていますけど、これなんてローライとかと同じ本物の高級品ですからね。

あと。
いま写っているSilette-Lは、前玉回転のヘリコイドが固着していたのでジャンクだったんですけど、諦めて処分するつもりだったんですよ。
というのが、日本製の前玉回転のカメラでヘリコイドが固着していると、相当な死亡フラグなんですね。
グリスがガチガチになっていて取れないことも多いので。
でも、このSilette-Lは、ちょっと溶剤をシリンジで注入しただけで一瞬で取れたんですよ。
それを見て、1950年代のドイツ製品って、いいグリスを使ってたんだな、と実感しました。

まとめ

というわけで、AgfaのSilette-Lの紹介と作例でした。

Agfaのこういうカメラ、日本語ではあんまり情報とかないと思うので参考になれば幸いです。

ありがとうございました。
御部スクラでした。

関連書籍

↑この動画で紹介したSilette-Lそのものは扱われていませんが、AgfaのSilette系の機種については触れられています。