東京、高田馬場にあるギャラリーAlt_Medium(オルト・メディウム)で開催の展覧会、
鈴木敦子(すすきあつこ) 写真展「lmitation Bijou」に行ってきました。
簡単に感想を書いていきます。
鈴木敦子 写真展「lmitation Bijou」感想
まず感じたのは、写真で作品を制作しようとしたときに、もはや技法や機材がどのようなものなのか、ということは意味を持たないということです。
(もちろん、工芸的な写真作品は除いた話です)
この展覧会の開催を知ったのは、2021年3月18日のトモコスガさんの動画でしたが、
その動画のなかでも指摘されている通り、過去に展示した写真を撮影したり、写真を編集しているPCの画面を撮影したりした写真が作品に使用されています。
非常に日常的な写真ではあります。
ですが、そういう風景のなかに存在する、赤かったり青かったりする光というのは、しっかり眺めてみるととても美しいのです。
むしろ技法や機材を意識ことは、そのような写真から遠ざることとさえいえます。
また、トモコスガさんの動画のなかで述べられていた「写真を並べたときに起承転結を意識しすぎる必要はない」ということも実感しました。
もちろん物語的に写真を綴ることもひとつの方法ではあります。
ですが、本展のように、具体的な言葉ではなく画の力で訴えかけようとしたときに、そこに物語のような連なりが見いだせてしまうと、一枚一枚のもつ力がスポイルされてしまうのです。
本展で壁面に掛けられた写真はフォトアクリルで仕上げられています。
(フォトアクリル:写真の表面に分厚いアクリル板を貼り付けること)
この展覧会のタイトル、lmitation Bijouをトモコスガさんの動画では「模造宝石」と訳していますが、まさにフォトアクリルという展示方法はぴったりだといえるでしょう。
またフォトアクリルは明確に本格的な展示を意図した仕上げであるといえますが、白い壁面にフォトアクリルで展示するという文法を用いることが、これは明確に作品であるという宣言になっているといえるかもしれません。
これは、ホワイトキューブに額装して並べるとどんな平面作品でも美術になってしまうのと同じことで、ともすればマイナスの意味にも取られかねないのが難しいところです。
しかし本展ではそれが有効に働いていて、良い意味で、機材や技法を無効化していると感じました。
展覧会情報
鈴木敦子(すすきあつこ) 写真展「lmitation Bijou」は、東京都の高田馬場にあるギャラリーAlt_Medium(オルト・メディウム)で
2021年3月18日(木)~30日(火)の開催です(水曜日休廊)。
詳しくはギャラリーの公式Webサイトをご覧ください。
https://altmedium.jp/post/641795512158257152/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E6%95%A6%E5%AD%90-%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%B1%95lmitation-bijou