書評 『いかに戦争は描かれたか』(大谷省吾/林洋子/河田明久/木下直之 著 村田真 編)

横浜のBankARTで開催された連続講義の内容を書籍としてまとめたもの。

日本の戦争と美術について入門する最高の書籍ではないかと思う。

本書の中でも「戦争画研究の第一人者」とされる河田明久による内容は、氏がこれまで行ってきた戦争画についての研究内容のエッセンスを概観するものとなっている。
また、木下直之による内容も、『股間若衆』をはじめとする氏の著書の要約的内容で、駆け足ながら最低限のことを知ることができる。

林洋子によるパートは藤田嗣治と戦争画という問題について掘り下げている。
日本の戦争美術について語る上で藤田は外すことのできない画家だが、25ページほどの短い章ではあるが、こちらも藤田の活動を知る入り口になるだろう。

あくまでも本書は戦争画についての入り口の書籍にすぎないが、概観するには十分である。
大学の「概論」のような講義同様、最低限知っておきたい教養を身につけることができるという点ですばらしい一冊。

書誌情報

大谷省吾/林洋子/河田明久/木下直之 著
村田真 編
『いかに戦争は描かれたか』
2017年、BankART1929、初版

BankART1929 出版物のページ
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html