MINOLTA α-Sweet IIのセーフティロック機構 (safety lock of Dynax 5 / Maxxum 5)

MINOLTA α-Sweet IIのセーフティロック機構 (safety lock of Dynax 5 / Maxxum 5)

みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系Vtuberの御部スクラです。

今回は小ネタで、ミノルタのフィルム一眼レフカメラ、α-Sweet IIのセーフティロック機構について話します。

MINOLTA α-Sweet IIの外観とスペック

MINOLTA α-Sweet II

MINOLTA α-Sweet II

MINOLTA α-Sweet II

MINOLTA α-Sweet II

レンズマウント:MINOLTA Aマウント
シャッター:縦走りフォーカルプレーンシャッター B、30秒~1/4000秒、シンクロ速度1/125秒
巻き上げ:自動 3コマ毎秒
露出計:TTL開放 14分割マルチパターン測光 スポット測光
カウンター:液晶表示
フォーカシング:CCDラインセンサによるTTL位相差検出方式 中央クロス 7点8ライン
電源:CR2 x2個
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:2001年
発売時価格:-
製造元:ミノルタ

参考資料(2021年12月22日閲覧):
ケンコー・トキナー公式Webサイトより、ミノルタα-Sweet II 取扱説明書(pdf)
2000年代に発売された主な機種一覧 | コニカミノルタ製品アフターサービス – 株式会社ケンコー・トキナー

α-Sweet IIのセーフティロック

α-Sweet IIのセーフティロック

以前動画にしたのですが、フィルムカメラではフィルムを最後まで撮りきって巻き戻す前に(35mmフィルムの場合)裏蓋を開けてしまうと、撮影した写真がダメになってしまうんですね。

フィルムカメラの裏蓋を間違えて開けてしまったらどうなるの?

裏蓋を開けてしまうのは、初心者の方によくある失敗ですし、カメラ歴が長い人でもありがちなミスでもあります。

これは写真が台無しになってしまう致命的なミスなんですけど、ほとんどのフィルムカメラには、間違えて裏蓋を開けてしまうのを防止する機能というのはありませんでした。

でも、フィルムカメラが実用として使われていた最後の時期、2000年代に入って、やっとフールプルーフ機構のついたカメラが開発されたんです。

動作の様子

まずは動作の様子を見てみましょう。

いま、フィルムが入っていない状態です。
開閉ボタンを押すと裏蓋が開きます。

裏蓋が開く

フィルムを入れます。

この状態で開閉ボタンを押すと……
裏蓋が開かなくなっています。

裏蓋が開かなくなる

撮影したことを想定して、シャッターを切って巻き上げていきます。
フィルムを最後まで撮り終わって、自動で巻き戻しが終わりました。

開閉ボタンを押すと……
今度はこうして、裏蓋を開いてフィルムを取り出すことができました。

巻き戻しが終わると開くことができる

これが、ミノルタがフィルムカメラに導入したセーフティロック機構です。

ミノルタのセーフティロック機構

この機構は、ようするに撮影途中のフィルムが入っていることを検知して、裏蓋をロックしているわけです。

『佐藤評論 Vol.6 AF一眼レフとその時代』

こういう機能のついたカメラがあることをわたしが知ったのは、いつも参考にさせていただいている同人誌、佐藤評論を書いた佐藤成夫さんのツイートだったのですが、『佐藤評論6』に併録された『ミノルタα7番機の軌跡』にも、この機構について言及した箇所があります。

参考文献:佐藤成夫 『佐藤評論 Vol.6 AF一眼レフとその時代』併録 『ミノルタα7番機の軌跡』 新日本現代光画、2018年、pp.139-140。

最初に導入されたのは2000年のミノルタα-7。
このα-7ではカムで切り替えが行われていたのですが、
翌年の2001年に出たこのα-Sweet IIでは、小型化のために機構が変わっています。

具体的には、形状記憶合金ワイヤーでロックが行われています。
2002年に発表された論文「「α-SweetII」における新プラットフォームの開発」によれば、髪の毛状の形状記憶合金ワイヤーへ通電して加熱することで、ワイヤーを変形させて、裏蓋開閉ボタンの動作がロック機構に伝わらないように切り替えているとのことです。

「α-SweetII」における新プラットフォームの開発」より

この論文によると、形状記憶合金ワイヤーを民生品に使ったのは世界初だったということです。
※動画コメントに、この「民生品では初」という表現はカメラでは初ということなのではないか、という指摘あり。

参考文献・図版引用元:村島伸治 「「α-SweetII」における新プラットフォームの開発」『日本写真学会誌』第65巻3号、一般社団法人日本写真学会、2002年、pp.190-194。
(2021年6月7日閲覧)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst1964/65/3/65_3_190/_pdf/-char/ja

前機種のα Sweet(1998年)では、そもそも裏蓋の開閉方法自体が異なっていて、フィルムが入った状態でも普通に裏蓋は開いてしまいます。

前機種のα Sweet(1998年)では裏蓋の開閉方法自体が違う

他のセーフティロック搭載機種

このセーフティロック機構は、調べた限りでは、
カム式ではα-7とα-7 Limited、
形状記憶合金ワイヤーではα-Sweet II、α-Sweet IIL、α-70に搭載されているようですね。

それから、具体的に文献で見つけることはできなかったのですが、ebayに出品されている商品画像を見た限りでは、日本国外で販売された廉価版機種の、
ミノルタDynax 3LやDynax 40では、裏蓋の開閉ロックが初代α-Sweet同様のスライド式なので、おそらくはセーフティロックはついていないと思います。

α Sweet II以外のセーフティロック搭載機についての出典

ケンコー・トキナー公式Webサイトより
『MINOLTA α-7 使用説明書』 p.24(2021年6月7日閲覧)
https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/support/manual/slr/a7j.pdf
『MINOLTA α-7 使用説明書』 p.2 (2021年6月7日閲覧)
https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/support/manual/slr/a7limj.pdf
『MINOLTA α-Sweet II L 使用説明書』 pp.22-23(2021年6月7日閲覧)
https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/support/manual/slr/asweet2l_j.pdf
コニカミノルタ公式Webサイトより
「上位機種の優れたデザイン・機能・操作性を継承した一眼レフカメラ「α-70」新発売 | コニカミノルタ」 2004年1月8日(2021年6月7日閲覧)
https://www.konicaminolta.jp/about/release/2004/0108_02_01.html

セーフティロックの強制解除

あと、もしこの機能が壊れてしまったらフィルムが取り出せなくなってしまうんじゃないかと思うかもしれないんですが、
説明書を見るとちゃんと対処方法も書かれていました。

もしロックが解除できなくなってしまったときは、

ファンクションダイヤルをISOボタンに合わせて

ファンクションダイヤルをISOボタンに合わせて

ファンクションボタンとスポットAEロックボタンを押しながら

ファンクションボタンとAEロックボタンを押しながら

スイッチをOFFからONにする

スイッチをOFFからONにする

ことで、強制的にロックを解除できるとのことです。

また、それでも開かないときは、裏蓋の開くところに小さい隙間があるんですけど、そこに細いものを差し込んで直接ロックを開けることもできるとのことです。

細いものを差し込んでロック解除

関連書籍

朝日新聞出版公式Webサイトの書籍紹介によれば、上記の本にはα-Sweet IIも収載されています。

まとめ

というわけでミノルタα-Sweet IIのセーフティロックの話でした。

2001年発売ということでフィルムカメラ現役時代最末期の機種なわけですが、本当にフィルムのカメラというのはいきつくところまで改良されきっていたんだな、ということがよくわかりました。

このα-Sweet IIも当時の他のミノルタ下位機種同様、ファインダーが黄色く変色してしまうので使えるものは減っているのが残念なところです。

ありがとうございました。
御部スクラでした。