みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は、フランス製の二眼レフ、SEMFLEX Standardについて話します。
Contents
SEMFLEX Standard T950
SEMFLEX Standard T950 外観とスペック
※貼り革は非オリジナルです。
テイクレンズ:SOM BERTHIOT 75mm F4.5
ビューレンズ:SOM BERTHIOT 75mm F3.5
シャッター:OREC B、10秒~1/250秒
巻き上げ:ノブ巻き上げ、赤窓式
カウンター:赤窓
フォーカシング:前板繰り出し
ファインダー:ウエストレベル、すりガラスのみ
使用フィルム:120フィルム
発売年:1950年代初頭?
製造元:SEM(Société des établissements modernes de mécanique)
参考文献:「Semflex — Wikipédia」※フランス語版Wikipedia(2021年8月28日閲覧)
SEMFLEX Standard T950について
ソースはフランス語版のWikipediaになってしまうのですが、このSEMFLEXは、SEMFLEX Standard T950という形のようです。
※おそらく1950年代初頭のカメラです。
参考文献:「Semflex — Wikipédia」(2021年8月28日閲覧)
https://fr.wikipedia.org/wiki/Semflex
戦後に作られたフランス製のフィルムカメラというと、レンズ交換式レンジファインダーカメラのFOCAなど有名なものがありますが、二眼レフの代表格がこのSEMFLEXだといえると思います。
ではざっくりと、どんなカメラなのかを見ていきましょう。
最初に断っておくと、このカメラの貼り革はオリジナルではありません。あしからず。
SEMFLEX Standard T950の特徴
このSEMFLEX Standard T950は、SEMFLEXのなかでは廉価なモデルだったようです。
フランス語版Wikipediaでも、T950は「ローエンド」の機種として言及されていますね。
レンズ
装着されているレンズは、テイクレンズ、下のレンズがSOM BERTHIOT 75mm F4.5。
3群3枚のトリプレットです。
ちょっと暗いです。
ビューレンズ、上についているファインダー用レンズはSOM BERTHIOT 75mm F3.5。
ビューレンズのほうが明るい、二眼レフではよくあるつくりをしています。
ビューレンズはノンコートで、テイクレンズにはブルーのコーティングがされています。
シャッター
シャッターは自社製のORECというレンズシャッターで、Bと10秒~1/250秒。
シャッター羽根と絞りの油を清掃するために分解したのですが、コンパーっぽい構造をしています。
このカメラはシンクロの状態がオリジナルではなくて、オリジナルだとシャッター本体のシンクロ接点にコードを差し込む構造だったと思われるのですが、なぜかそこから電線を引き出して、前板にシンクロ接点を移設する改造が行われています。
ピント合わせ・ファインダー
ピント合わせは一般的な前板繰り出し式です。
左手側のノブで繰り出します。
ファインダースクリーンはただのスリガラスで、フレネルレンズのような特別な工夫は一切ありません。
SEMFLEX Standardにはスポーツファインダーのついたモデルもあるようですが、わたしの手元にあるこのカメラには内蔵されていません。
ですが、今回購入したSEMFLEXには、ファインダーの上に取り付ける後付けのスポーツファインダーがついてきました。
このようにスライドして取り付けます。
ただ、これをつけると重みでピントフードが不安定になってしまうので、つけっぱなしにはしないほうがよさそうです。
本体のピントフードはアルミ製なのに、このスポーツファインダーは鉄製でかなりゴツいんですよね。
裏蓋
裏蓋の開閉は、底部のノブを回してロックするよくある構造です。
フィルムは下から上に送られます。
基本的にはローライコードの影響下にある構造をしていますね。
フィルム送りは赤窓式です。
使ってみた感想・全体的なクオリティ
それでは、このSEMFLEX Standard T950を使ってみてどう感じたかというと……。
正直なところ、残念ながらあまり作りがよいカメラではないと感じたのでした。
ダイキャスト製のボディ本体はつくりがよいのですが、それ以外の部分に難があるんですよね。
具体的には、アルミ製で強度がない部品が多いです。
わかりやすいのがファインダーのルーペなのですが、購入した時点でバネでテンションがかかる部分が折れていて、前の所有者によって補修されていました。
ファインダーのピントフード自体もアルミ製でちょっとヤワな感じです。
それから使っていて不便だったのは、ピントの山が非常にわかりにくいです。
ファインダー自体、お世辞にも見やすいとはいえなくて、ピントを合わせるのが大変でした。
ただ、こういった不満というのはあくまでも、ローエンドの機種であるこのT950というモデルに対してのもので、おそらく、SEMFLEXでも上位の機種はもっとしっかりと作られているのでしょう。
ぜひ機会があったら、他の種類のSEMFLEXも使ってみたいと感じました。
デザインは非常に格好いいし、フランス製のカメラということでとてもテンションは上がるので、手元にあるこのSEMFLEXもファインダースクリーンを見やすくしたりしてなんとかしてあげたいですね。
SEMFLEX Standard T950で撮影した写真
それでは、SEMFLEX Standard T950で撮った写真を見ていきましょう。
使用フィルムは、カラーがFUJIFILM Pro 160NSです。
モノクロはIlford FP4+をParodinal 1:25 20℃ 9minで現像しました。
まずカラーから見ていきましょう。
カラーは遠景ばかり撮影してしまったのですが、ごらんのように、ばっちりハマったカットはなかなかいい感じに写ってくれています。
いっぽう、空が大きく入っていたり逆光気味だったりすると、どうもフレアっぽくなってしまいますね。
というのが、今回撮影するとき、径が合うものがなくてフードをつけていなかったんですよね。
年代的に、当たり前ですがフードを付けるのは必須だと感じました。
次にモノクロです。
モノクロは雨の日に絞り開放固定で撮影したんですが、ピント合わせがちょっと怪しいものの案外いい感じに写ってる印象なんですよね。
製造された年代的にも、モノクロを前提としているカメラだと思います。
おまけ:貼り革をスキャンしました
今回、貼り革がきれいに剥がれたのでスキャンしました。
同じ機種をレストアするとき、貼り革作成にご利用ください。
(今回は貼り革の表面がかなり痛んでいたので、分解後は使用せず新しいものに交換しました)
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※SEMFLEXについてどれくらい言及されているかは不明。
まとめ
というわけで、SEMFLEX Standard T950についてのお話でした。
正直な感想としては、使いこなしが難しいカメラだな、という印象でした。
わたしはこうやってカメラについて語ってはいるものの、腕があるわけではないのでカメラに振り回されてしまいましたね。
ファインダーがあまり見やすくないのが問題なので、フレネルをDIYで後付けしたり、もしできればファインダースクリーン自体を入れ替えたりしたら、もう少し使いやすくなるかもしれないと思いました。
ありがとうございました。
御部スクラでした。