100円の古書で買った、田中穣 『日本洋画の人脈』という本を読みました。
初版は1972年、新潮社から出た本で、わたしが買ったのは1975年の2刷です。
内容としては、読売新聞の美術記者である著者が、同紙の朝刊に「日本の人脈」の「洋画」編として連載したものをまとめたもの、とのことです(あとがきより)。
本書を読もうと思ったのは、東京都美術館や国立新美術館で年間にわたり開催されている公募展、団体展というものについて知りたいと思ったからでした。
そこにさまざまな問題があることはさておき、数多くの団体が存在し、現在まで存続していること自体は注目に値すると思ったのです。
とはいえ、そもそもそういう多くの団体がどうやって成立したのかは非常にわかりにくいものでした。
本書『日本洋画の人脈』はタイトルに人脈とあることからもわかるように、まさにそういう「人」にスポットをあてた本で、日本に洋画(油画)というものが入ってきてから、どういう人間関係が発生し、派閥がつくられてきたかを、幕末、明治から順番に
もちろん、新聞連載をまとめたもののため、あくまで読み物にすぎません。
また1972年の本ということで内容が古くなっている箇所もあるでしょう。
それでも、団体の発生や分裂、洋画家の人間関係というところだけ見れば、おそらくは大きな間違いはないと思います。
刊行年というところで面白かったのは、岸田劉生や竹久夢二あたりが、数十年前というつい最近まで生きていた人の枠だったということです。
現在で例えると手塚治虫やジョン・レノンくらいの距離感だと思います。
書かれた年代を反映してか、精神や内面の伴った芸術を生み出すことが素晴らしい、という価値観が通底して鼻につくのですが(言いたいこと自体はわかるのですが)、読む分にはそれが障害になるというほどではないです。
美術における人と人のつながりということを知るようにしないと、と思ったのはTwitterでの松下哲也先生のツイートを見てだったのですが、同氏の有料の動画配信を見ていないので見ないとなあぁと思っています。