4号電話機(日立製)の素人分解(修理、レストア)

日立の4号電話機 修理後

東京広域電話網という、TailscaleというVPNサービスを使って勝手にVoIP網を作るグループに参加した。

いまさら VoIP 網
https://zenn.dev/kusaremkn/articles/abd760f9f2f450

その流れで、もともと古い物の修理が好きなこともあって4号電話機を入手した。

ヤフオクやメルカリでは最安値レベルの、送料込3,500円くらいのジャンク。

簡単に、分解写真と流れについてメモする。

※素人がいじった電話機を壁面のローゼットに接続すると法に触れる。この電話機はルーターに接続してのみ使用している。

4号電話機 到着時の状態

4号電話機 到着時の状態

日立製の4号電話機。

かなりボロボロで、裏面の紙もかなり劣化している。

5-59とあるので1959年のもののようだ。

裏面の紙

ただし、ダイヤルには65年のプリントがあり、共電式電話機に5号ダイヤルというものをつけて自動電話機に改造されたものらしい。

内部の回路図もボロボロで読み取れない。

内部

電話線はローゼットがおそらく素人施工で取り付けられていた。

動作確認したところ、着信可能、スピーカーから音は出た。

しかし、ダイヤルがとても重く、発信も不可能だった。

そもそもタバコのヤニだらけで臭いので、外装部品は洗剤に漬け置きして水洗いしてしまった。

4号電話機の分解

分解時のメモ用に撮った写真を貼る。

ダイヤル裏の結線

ダイヤル裏の結線

受話器のマイク側の結線

受話器のマイク側の結線

※清掃のためにスピーカー側の端子も外した場合、端子サイズに合わせて切り欠きのサイズが両側で異なるので、それに合わせて戻せばよい。

受話器の結線

受話器の結線

電話線の結線

電話線の結線

ダイヤルの分解時写真

ダイヤルの分解時写真

ダイヤルについては、電気接点を無水エタノールで清掃した。

電気接点は分解せず、間に小さくちぎったキムワイプを差し込んで拭いた。

キムワイプが真っ黒になった。

ダイヤル軸も分解し清掃。

ダイヤル軸裏のギアの組み付け時、2つの穴が垂直方向になるように組み付けると正常な状態になる。

2つの穴が垂直方向になるように組み付ける

ダイヤルの琺瑯製の文字盤や真鍮製のダイヤルも水洗いした。

ガバナーの調整

ガバナーは一体で下ろすことができるが、それ以上はバラさなかった。

ガバナーの動作はダイヤル分解清掃でマシにはなったもののかなり遅く、1~4くらいまでしか正常に発信できなかった。

再度分解して清掃してみたが改善しなかった。

以下の記事によればガバナーのバネのテンションを変えることで調整できるらしい。

https://a2laboratory.hatenablog.com/entry/2021/02/09/161515

乱暴だが、ガバナーのバネが掛かっている真鍮部品を微妙に曲げてテンションを上げたところ、ダイヤルが戻る速度が早くなり、1~0まですべて安定して発信できるようになった。

ガバナー

これが正規の方法かは不明。

調整の際は、安定して発信できる600型電話機を参考にした。

ケーブル

受話器側、電話線側どちらもケーブルの根元が劣化していた。

ケーブル劣化

(文字が殴り書きで恥ずかしい)

しのびないが、ここまで状態が悪い電話機なので、状態が悪い部分を切断して短縮、先端にラグを着けて補修した。

根元には熱収縮チューブを巻いた。

元の保護剤が劣化して黄色くなった透明なチューブだったので透明な熱収縮チューブにしたが、黒の方がよかったかもしれない。

ただし、芯線自体の状態がかなり悪いので、見た目にこだわらないなら適当なケーブルに交換した方が無難な気がする。

どう考えてもコレクターズコンディションではないので。

ローゼット内部もこんな状態だったので、状態がよい部分まで切り詰めた。

ローゼット修理前

4号電話機が一応使えるようになった

ということで、日立の4号電話機が一応使えるようになった。

おそらくは電話マニア的には全然珍しくもないし、状態が悪すぎて価値がないと思われるが、自分はコレクターではないのでかなり満足している。