中国製の自転車フレームというとカーボンフレームの情報ばかりだが、もちろんクロモリ(などの鉄)やアルミのフレームも存在する。
今回、中国のTSUNAMIというブランドのピストフレームを買ったので簡単に情報を共有する。
このフレームは、おそらく全世界的に、2020年代の現代において、もっとも大量に生産され、もっとも大量に売れている世界標準のピストフレームだといえるだろう。
日本ではそこまで有名ではないが、Redditのfixed gear bikeのsubでは、このフレームの投稿が多すぎて辟易としているらしい。
また、フィリピンやインドネシアなど東南アジアでもピストに乗る若者が増えているらしく、YouTubeを検索すると彼らの投稿がたくさん見つかる。
TSUNAMI SNM4130 クロモリピストフレームの特徴と概要
このTSUNAMI SNM4130は、オーソドックスなホリゾンタルのピストフレームである。
チューブは型番の通り4130クロモリと書かれていて、ようするに無銘のクロモリということである。
フォークのチューブは直管。
サイズとジオメトリ
販売店ではしっかりとジオメトリが掲載されている。
さまざまな販売店自体が同じ画像を使っているので自分も画像を転載してしまうが、シートチューブアングルは75度。
サイズは以下の4種類がある。
- 50(S)
- 52(M)
- 55(L)
- 58(XL)
自分は50サイズ(シートチューブC-T 500mm、トップチューブ530mm)を選んだ。
中国人は背の高い人が多いので、あまり小さいサイズはないようだ。
規格
エンド幅はフロント100mm、リア120mmで通常の規格。
BB規格はBSA(JIS)。
ブレーキ台座は前後ともあり。
ダボ穴は一切なし。自分は穴を開けてボトルケージ台座を増設した。
ヘッドパーツは付属しない。別途購入し、自分で、または店舗で圧入する必要がある。
ヘッドパーツ規格はオーバーサイズアヘッド。
重量
公称重量は、Mサイズでフレーム2070g、フォーク850g、合計2920g。
自宅で測ったところ、フレーム2005g、フォーク810g。Sサイズなので少し軽い。
値段
値段は通常の値段で500~600人民元程度。
1人民元=23円で計算すると、11,500~13,800円くらい。
自分は淘宝で値引きされていたので508元(約11,700円)で買うことができた。
淘宝の場合、菜鸟(淘宝公式の海外転送)の送料が約3,000円で、だいたい15,000円くらいになる。
※淘宝公式配送は外部業者に比べて高いが、自転車フレームは軽量なので、航空便で比較的安く配送できる。
Aliexpressでは、2026年4月5日現在、21,447円+送料3,000円強=約25,000円から販売されている。
品質
品質は非常によい。
内部はしっかりと錆止めもされている。
塗装の品質もとてもよい。
エンドはメッキではない。
色
色は、単色については以下がある。
- 緑(自分が購入)
- 赤
- 銀
- 黒
また、ラップ塗装のような模様が入ったものもあり、そちらは以下がある。
- 紫と黒
- 銀と黒
- 赤と黒
- 青と黒
少しだけ困った点
Shimano Dura-Ace HB-7600の固定リアハブを入れたら、リアのエンドが分厚くて、ピスト用の座金のついたナットネジのかかりが浅かった。
結局中国からM10 ピッチ1.0mm細目のステンレスナットを買って交換した。
乗り味
おそらく固い。
自分はレースをやる人間ではなく、もともと長距離キャンプツーリングの人間だったのでフレームの固い・柔らかい・かかりがよいといった概念に詳しくないのだが、たしかにダイレクトに加速する感じがある。
行きつけの自転車店主も、このフレームは固いと言っていた。
最初は日和ってハンドル高めで、上に送ってサドルも後ろ寄りにしていたのだが、乗っているうちにあまりにもよく走るのでもっと積極的に乗りたくなり、前乗りかつハンドル低めにポジションをいじってしまった。
固定ギアということもありロードよりも自転車に走らさせる感覚があるが、それを差し引いても、自分はこんなに走る能力があるのか、と驚くくらい楽しく、安定して巡行できる。
とてもよく走るフレーム。
プリミティブな楽しさがあるフレーム。
TSUNAMIのその他の自転車フレーム
TSUNAMIのその他のピストフレームとしては、アルミ製の「SNM100」が有名である。
こちらは、今回自分が購入したSNM4130よりもさらに世界中で売れている。
また淘宝を見るとそのほかに、アルミ製やクロモリ製のロードバイクフレームもある。
TSUNAMIというブランドについて
TSUNAMIは、深圳市新星运动器材有限公司のブランドのひとつ。
もともとは海啸(海嘯、つまり中国語で津波)という名前だったが、ブランド名に関する紛争のため、TSUNAMI、または速那米(中国語ピンイン: Sunamǐ)という名称に変わったらしい。
速那米(Sunamǐ)が「Tsu」ではなく「Su」なのは、日本語と中国語の発音の差で転記するときそうなったのだろう。
ピストフレームの製品名がSNM4130やSNM100となっているのは、このSunamiの頭文字に由来する。
このほかに、同社はSeaboard(云岸 / 日本語では雲岸)というブランドも展開している(下の画像はロードバイクだが、ピストもある)。
日本で乗る際に「TSUNAMI」という名称が気になる場合はこちらを選ぶのもよいだろう。
余談:中国のクロモリフレーム・鉄フレーム
中国では2026年現在、ロードバイクが流行している。
人口規模が多く、大金持ちも多いので「理想の自転車」を作るために会社を設立した人もいる。
S&F(Song & Friends / 歌声与朋友)
たとえば、S&F(Song & Friends / 歌声与朋友)は、レイノルズのチューブを使用し、集合シートステーやメッキ仕上げを用いたクラシカルなフレームを作っている。
値段は約3,000元、日本円で約7万円。
ちなみにSongは歌という意味の他に、社長が宋さん(Song)だからだという意味もあるらしい。ようするに、宋さんと友達が作ったフレームという意味。
和博の鉄フレーム
また、bilibiliの自転車関連チャンネルでとても有名な自転車関連企業「和博」(Hub)は、これまでリムブレーキの廉価なアルミフレームとカーボンフレームを出していたが、この2026年4月、鉄フレーム(カーボンフォーク)を世に出した(同社の社長は強力なリムブレーキ派である)。
このフレームは非常に特徴的で、鉄フレームながらヘッドチューブが異径で、競技前提のカーボンフォークを組み合わせている。
社長の動画曰く、競技で通用する内容の鉄フレームを作りたかったとのこと。
そして素材もクロモリではなく、中国の、軍用品を製造しているような製鉄会社の特殊鋼を使用しているという。
なんとこのフレームも3,000元、日本円でたったの7万円。
自分は発売直後に注文して、2026年4月下旬には届くと思うので、YouTubeの動画やこのサイトの記事で紹介したいと思う。
中国のクロモリフレーム工場は天津に集まっている
天津は、自分も持っている天津飞鸽の昔から中国の自転車産業の中心のひとつだが、ことクロモリフレームに関してはいまも工場が集まっているらしい。
bilibiliで相互フォローになった方の情報によると、天津の工場の淘宝公式店舗でオーダーすることが可能らしい。
というか、上で紹介したS&Fも天津のそういった工場に委託している可能性が高いようだ。
世界一売れているクロモリピストフレームを体験してみよう
自分がこのフレームを買ったのは、一度はピストというものに乗ってみたいと思ったからだった。
ピストといってもストリート文化だけがすべてではない。
自分のように、固定ギアロードバイクのような使い方をするのにもこのフレームはうってつけだ。
中国の製造業はとにかく爛熟の極みにある。
かつての日本製品がそうであったように、ラグジュアリーではない「普通」の高品質こそが尊いと考える人にとってこのピストフレームは最適である。
世界標準のピストフレームを、あなたも体験してみませんか?
