2026年の4月に、中国の自転車ブランド「和博」(Hébó、Hub)の鉄製ロードバイクフレームを購入した。
船便だったため到着まで1ヶ月程度かかり、5月に組み立てが完了した。
この自転車について簡単に紹介する。
和博(Hébó、Hub)とは
和博は、中国で姜恩博という人物が立ち上げた自転車ブランドである。
姜恩博(Jiāng Ēnbó)氏は吉林省出身のサイクリストであり、若い頃はロードレーサーとして活躍したらしい。
その後、自転車本体やサイクリング用品のブランド「和博」を設立し、淘宝や拼多多といったプラットフォームで販売している。
「和博」は中国語の読み方では「Hébó」だが、アルファベット表記の場合「Hub」と表記されている。
姜恩博氏はファンも多いが中国の自転車乗り界隈では嫌う人も多いようだ。
同氏はbilibiliのチャンネルで精力的に自転車について情報を発信している。
ただし、とくにわたしが今回購入したこのスチールフレームロードバイクについては、この製品を好ましく思わない人からのアンチ動画も投稿されている。
和博の製品の特徴は、廉価かつ、不要な部分をそぎ落とした製品を多数送り出していることである。
このスチールフレーム以前に、自転車本体はアルミフレームとカーボンフレームを販売しているが、アルミフレームはヘアライン仕上げにクリアー塗装のみ、カーボンフレームも黒一色という、非常に割り切ったものだった。
また同氏の方針でブレーキはリムブレーキ、タイヤは細いタイヤを前提としている。
日本と同様、ロードバイクのタイヤやブレーキは中国でも荒れる話題であり、これもアンチが多くなる要因のようだ。
いっぽう、レースのための機材というコンセプトは明確かつ成功しているようで、とくに、若い世代がロードレース選手を志す場合の貴重な選択肢になっているようで、たくさんの若い選手が同じフレームに乗っている動画もbilibiliに投稿されている。
サイズ展開は豊富で、5S(仮想シートチューブ460mm)から4L(同640mm)まで幅広く展開されている(ただし今回の鉄フレームは別で、2Sから2Lまで)。
中国のスポーツ自転車のパイオニアの一人であるようだ
今回、この記事を書くにあたり姜恩博氏の名前で検索したところ、中国の大手自転車情報サイト「美騎網」の2011年の記事がヒットした。
この記事は、2011年に吉林省で、中国本土で初めてのカーボンフレームの製造に成功したという内容であり、当時、台湾系メーカーでの販売を担当していた姜恩博氏が、その評価を担当している。
同氏はこのカーボンフレームの開発成功を受けて、吉林省でのロードレース開催を働きかけたという。
※しかし、2011年はたった15年前にすぎないのに隔世の感がある。現在では中国のカーボンフレームは世界を制している。それが、この頃は「製造できた」ことがニュースになるなんて。そして、bilibiliで動画を何度も見ていた姜恩博という人物が、まさに中国本土のスポーツ自転車産業のここまでのパイオニアだとは認識していなかった。
和博のスチールフレームについて
このスチールフレームは、割り切ったロードレース機材を販売してきた同ブランドが、うってかわって、レース機材というコンセプトはそのままに趣味性も兼ね備えた製品として発売したものだった。
姜恩博氏はbilibiliの動画の中で、このフレームは「贈り物である」と発言していた。
それくらい力を入れて送り出した製品とのことだ。
フレームの特徴
このスチールフレームの構造面の最大の特徴が、テーパードコラムのカーボンフォークの使用を前提としていることである。
そのため、ヘッドチューブはテーパー形状となっている。
また、剛性を高めるために、ヘッドチューブとトップチューブ、ボトムチューブの溶接個所は、できるだけチューブの端部に寄せているとのことだ。
このように剛性を重視しているのは、姜恩博氏が、このフレームを「競技での使用に耐える」ものとして作りたかったからだという。
チェーンステーに潰しはなく、こちらも強度を優先しているらしい。
素材については、クロモリではなく、中国の鉄鋼メーカーの軍用特殊鋼を使用しているという。
※ただし、bilibiliに投稿されたアンチによる動画では、具体的にどのような素材を使用しているか調査して提示し、クロモリと大差ないと言っている。自分はその点についてはあまり気にしていないが。
見た目については、接合部やエンドに青焼き処理をしている。
ヘアライン仕上げにクリアー塗装である。
なおセカンドロットでは、紫と黄色の、1990年代風塗装のバリエーションも登場している。
フレーム重量は、自分が買った2Sサイズ(最小)の場合、約1,595gだった。
付属フロントフォークは約400g程度である。
あまり太いタイヤの使用は考慮されておらず、おそらく28cも厳しいだろう。
自分は25Cを使用している。
そもそも細いタイヤを前提に買う自転車である。
値段は約7万円(3,000人民元)
値段は2,999元、つまり約3,000元である。
3,000人民元は、自分が購入したときのレートでは日本円にして約7万円だった。
日本人の感覚では、この鉄フレームがフォーク付きでたったの7万円は非常に安い。
しかし、この値段は中国ではボコボコに叩かれている。
中国人の感覚では、スチールフレームというのは、自分も買ったTSUNAMIのピストのように500元程度のものから、高くても1,000元=約25,000円くらいで買えてしまうものという認識のようだ。
中国現地では、3,000元も出したら、ディスクブレーキ・スルーアクスルの(無名ではない)カーボンフレームが買えてしまうという認識らしい。
そんな状況なので、リムブレーキの鉄製フレームが3,000元なのは高すぎると叩かれたのだった。
このフレームを買う場合の注意点
このフレームは、中国語さえわかれば淘宝で簡単に買うことができる。
淘宝の日本への公式配送機能で問題なく発送可能で、送料も、高くても5,000円以下で送ることができる。
ただし、このフレームは航空便では送ることができないので注意が必要である。
以前、TSUNAMIのピストフレームを買った際は航空便で送ることができたので、今回も航空品で手続きをしたところ、配送できず返送になってしまった。
理由は、梱包が厳重で箱のサイズが大きいためである。
日本へ送る場合は、船便で1ヶ月程度を見込む必要がある。
乗った感想……については正当に評価することができない
さて、この和博のスチールロードバイクだが、たしかに、同じ力でより楽にスピードが出る自転車である、という印象はある。
しかしながら、そもそも自分はその価値を判断する基準を持ち合わせていない。
自分はロードレースの出場経験がなく、もともとキャンプツーリングばかりをやっていた人間である。
なので、この自転車の本来のコンセプトである競技機材としてどうかという視点で正当に評価することができない。
じつはこの製品には根本的な矛盾がある。
身も蓋もないのだが、このフレームのメイン購買層は、自分のように、美しいから買ったという層だと思われる。
そういう層にとって、フロントフォークがカーボンであることはむしろマイナスである。
しかし、このフレームの存在意義は、まさにテーパードのカーボンフォークを採用していることにある。
この矛盾が、このフレームの立ち位置を非常に難しいものにしている。
このフレームをどのように組んだか
さて、自分がこのフレームをどのように組んだかを簡単に書く。
FDとRDは、行きつけの店舗で売れ残っていたR7000系105を使用した。
スプロケットはCS-HG700-11(11-34T)を使用した。
これは、リアハブにFH-7403を使いたかったためである。
なお、このFH-7403とCS-HG700-11の件についてはこちらの記事で詳しく解説している。
フロントハブはサンツアー シュパーブプロ。
リムはキンリンXR200。
ホイールは手組みで、リアはイタリアン、フロントは以前組まれたときの傷がJISでついていたのであえてそれに合わせてJISで組んだ。
サドルは中国通販で買ったアウトレットの革サドル。
ハンドルとステムは和博純正。
デュアルコントロールレバーは、中国メーカーのフレームということもあってあえてL-TWOO(蓝图)を使用した。
なお、L-TWOOの中国語表記は「蓝图」だが、これはブループリント、つまり青写真という意味である。
クランクは、SENSAH(顺泰)の系列のSCENIX PR3を使った。
これは、SRAM風のチェーンリングを使ってみたかったため(ただ、3本のネジで固定するタイプは旧型だということをあとで知った)。
ということで、この和博のフレームで組んだロードバイクを今後も乗っていくつもりである。
