自転車ホイールのJIS組みには意味がないらしい(という指摘を洋書で読んだ)

※最近、めちゃくちゃ久々にSearch Consoleを確認したところ、この記事が「JIS組み」や「イタリアン組み」で検索に上がってしまっていることに気がついた。このページを書いた人はたんなる素人の自転車愛好家である。一桁回数しかホイールを組んだことがない。プロの言うことのほうを信用してください。

日本の趣味人が書いた記事というのはうんちだが、業務としてやっている人は当たり前だが書いていることが信頼できる。そのうえで、自分はこの記事で言いたかったのは、海外、英語圏ではこういう意見があるよということ、そして「1人の趣味人としては」それに乗ってみるのもアリだな、と思ったということだけにすぎない。

自分は動画を作ったりコンテンツ制作をやったりする人なので、Google検索結果で競争が激しくない内容なら上位に記事が上がるようなサイトの作り方ができてしまう。本当に情報を求めているのなら本を読んだり、知り合いのプロに聞くべきである。


※この記事は2026年1月27日に大幅に追記・修正している。

ハブ側ブレーキのホイールを組み立てるうえでJIS組みに意味はないらしい

最近、自転車のホイールを立て続けに手組みするようになったのだが、日本語圏にはロクな情報がないので、

Roger Musson著『Wheelbuilding Book』という本を買った。

著者は英国人。

PDF頒布で、以下のサイトから買える。

https://www.wheelpro.co.uk/wheelbuilding/book.php

さて、自分は中国製の自転車をいじっているわけだが、解説動画に中国語字幕をつけるにあたって、「JIS組み」と「イタリアン組み」の訳語で困ってしまった。

中国語の訳語が見当たらないので、まずは英語の訳語を探してからそれを起点に中国語の訳語を見つけようと思い、「JIS組み」と「イタリアン組み」に相当する用語を探そうと、『Wheelbuilding Book』の内容を見ていたのだが……

すると、JISとイタリアンに相当する言及箇所はあったのだが、そもそも、JIS組みを行う理由自体が否定されていることに気付いた。

具体的には、Jobst Brandtの発言の引用として、

> ブレーキトルクは自転車に静的に座っているときの放射状の負荷と比較して、重要なスポーク負荷をもたらさない

ということが書かれている(PDFファイルの46ページ目、書籍ページ表記ではp.37)。

さらには、JIS組みを行う理由は、20世紀において、工場でのホイール組み立てがわずかに時間短縮できたからだろうという内容も書かれていた。

Jobst Brandtは、自転車ホイールについての伝説的な著作、『The Bicycle Wheel Book』の著者である。
上記の引用発言の部分によれば、『The Bicycle Wheel Book』が「一般的にJIS組みのメリットとして挙げられるハブブレーキでの強度向上という狙いには意味がない」という記述があるそうだ。

さらに、引用だけでなく著者自身の意見としても、シマノが推奨するディスクリアのJIS組みや、フロントの逆イタリアンは意味がないということが書かれている。

自分は今回すでにJIS組みでハブブレーキ(唐沢のサーボブレーキ)の後輪を組んでしまったが、本書によると意味がないようだ。

ホイールの権威であるJobst BrandtとRoger Mussonが書いているから信じる、というのは工学を学んでいない自分にとって信仰でしかないが、それでも、日本で素人が書いている海千山千のblogに比べればはるかに信頼できる。(これは誤解を招く記述なので打消し線を引いているが、このあとに言及する「のむラボ」というサイトについてのことではない。同サイトは現場でプロの書くblogであり、信頼に値する。そして自分の使用シーンはカツカツの競技ではなく、ツーリングである)

同書の図版について(PDF43枚目、p.34)

同書のPDF43枚目、p.34にあるOption A・Option B・Option Cはそれぞれ

  • Option A:日本における「イタリアン組み」
  • Option B:日本における「逆イタリアン組み」
  • Option C:日本における「JIS組み」

のことを指している。

メモ・本書における「ヌポーク」「反ヌポーク」と「Pulling Spokes」について(追記)

日本における自転車ホイール組み立ての有名なサイトに「のむラボ」があるが、同サイトでは、

  • ヌポーク:ハブ穴の内側から外側に通したスポーク
  • 反ヌポーク:反対に、ハブ穴の外側から内側へ通したスポーク

という用語が用いられている。

ホイールの力のかかり方では「ヌポーク」が重要になる。

イタリアン組みでは、進行方向へ転がった際に、両側のヌポークが前から後ろへ伸びる形になる。すなわち、ハブからリムへ牽引力が伝わるという意味である。

いっぽうJIS組みでは、右側のヌポークはリムへ牽引力を伝える。いっぽう、左側のヌポークは後ろから前へ、つまりリムの穴を突き破って出てくる方向へ力が加わる。

「のむラボ」のこのURLの記事で、ヌポークについて解説されている。 http://pass13.blog.fc2.com/blog-entry-19.html

いっぽう、同サイトの以下の続きの記事では http://pass13.blog.fc2.com/blog-entry-20.html ディスクブレーキ時は反イタリアンがよいと述べていて、本記事で紹介する書籍とは意見が分かれている。

さて、ここまでは前置きである。

本記事で紹介しているRoger Musson著『Wheelbuilding Book』では「ホイール回転時に前から後ろへ向かうスポーク」のことをPulling Spokesと呼んでいる。そのものずばりな名称である。

ピストのホイールについて(2026年1月27日追記)

上記のテキストは、あくまでも自分が実用系の自転車を趣味としてホイールを組み立てた時点の記述である。

また、あくまでも「リム側でブレーキをかけるか」「ハブ側でブレーキをかけるか」(これはディスクブレーキだけでなく、バンドブレーキやサーボブレーキなども含む)ということしか考慮していない。

しかし、最近、ピストフレームを購入し組み立てることになったことで、さらに考えるべきことが増えた。

当然ホイールを自分で組み立てるわけだが、両切りのハブを使用する予定である。

ということは、イタリアンで組むと駆動力がかかる側が入れ替わることになる。

日本においては、上記の「のむラボ」のこの記事 http://pass13.blog.fc2.com/blog-entry-19.htmlでは、ピストの両切りの後輪はJISで組むということが述べられている。

また、日本の他の情報を見ても、ピストの両切りの後輪はJIS組みが一般的であるようである。

では国外はどうか?

競技者ではなく愛好家の意見しか読んでいないが、そもそも「気にしなくていい」という意見が強いようである。

すなわち、ハブ側ブレーキだけでなく、ハブからかかる駆動力も、ホイール全体にかかる力からしたら微々たるもの、という意見だ。

たとえばこのあたりで述べられている。 https://www.bikeforums.net/singlespeed-fixed-gear/539411-how-lace-flip-flop-hub.html

ちなみに、英語ではダブルコグの両切りハブのことを「flip-flop hub」と呼ぶらしい。

完全に海外出羽守なのだが、たしかに、この記事で紹介している書籍の意見からするとうなづける。

まあそもそも自分は競技者ではないのでそんなガチで使うわけではないのだが、気にせずイタリアンで組むかもしれない。たぶんホイールひっくり返さないし。

なお、Roger Musson著『Wheelbuilding Book』をざっくりと見た感じでは両切りハブについての言及はなかった。

本当に、どの情報を信じるかという話なのだが、自分は出羽守を貫くかもしれない。

あ、あと、行きつけの自転車店の店主も、じつはJIS組みって迷信だよ、みたいなことは言っていた。

投稿日: 2025年2月6日