みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は作例のない小ネタの動画なのですが、リコーのフィルムカメラ、RICOH XR-10Mについて話します。
Contents
RICOH XR-10M
RICOH XR-10Mの外観とスペック
レンズマウント:Kマウント(リコー独自の通信ピンは付いていない)
シャッター:縦走りフォーカルプレーンシャッター 32秒~1/2000秒(オート時)B、16秒~1/2000秒(マニュアル時)
巻き上げ:自動巻き上げ 2コマ毎秒
露出計:TTL測光(詳細不明)
カウンター:液晶に表示
フォーカシング:MF
電源:単3乾電池 x4本
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1990年
発売時価格:34,800円(ボディのみ)
製造元:リコー
参考文献:「フィルムカメラ / 製品 | RICOH IMAGING」よりリコー XR-10Mの項目(2021年12月22日閲覧)
RICOH XR-10Mについて
RICOH XR-10Mは、RICOHの公式サイト(上掲)によると1990年の6月発売。
ということで、自動巻き上げ、自動巻き戻しの機能がついていて、見た目はまるでオートフォーカスのカメラのようです。
なのですが、リコーの一眼レフカメラはけっきょくオートフォーカスになることはなかったので、こういう見た目ですがピント合わせはマニュアルフォーカスです。
では、どんなカメラなのか詳しく見ていきましょう。
RICOH XR-10Mのスペック
さきほど参考文献に挙げたRICOHのサイトには「XR-Xから高度な使用目的にしか使われない機能を除外」して「基本機能だけに割り切った」と書いてあります。
割り切ったと書いてあるとおり、露出モードは絞り優先とマニュアル露出だけ。
もととなった機種のXR-Xにはプログラムやシャッター優先もついているので、この部分だけでもかなり削られていることがわかります。
ただ、機械的な部分にはあまり差がなくて、
シャッターはバルブと、低速側はオート時32秒、マニュアル時16秒から、高速側は1/2000秒までとなっていて、これはスペック的にはXR-Xとほとんど一緒です。
(XR-Xはオート時の低速側は30秒まで)
露出モードの切替方法
絞り優先とマニュアルの切替方法ですが、
液晶にAutoと表示されているときが絞り優先です。
このときにアップダウンボタンを長押しすると、シャッター速度の表示に切り替わります。
これでマニュアル露出になりました。
あとは、このボタンでシャッター速度を設定するだけです。
絞り優先に戻すには、高速側は1/2000秒の次、低速側はバルブの次に進むと表示がAutoに戻ります。
参考文献:「電池ボックスは朽ち果てても リコーXR-10Mは立ち上がる」(awane-photo.comより、2021年9月20日閲覧)
http://diary.awane-photo.com/2016/160302.htm
フィルム装填の容易さは受け継がれている
むしろ、このカメラが重視しているのはフィルム装填の容易さだったようです。
基本となるボディは同様なので当然ですが、XR-Xで採用された、スプロケットを用いず、電子センサーでフィルム送りを感知する方式がそのまま受け継がれています。
このように、裏蓋を開けると巻き上げ軸の斜め上にフィルムを感知する部分があります。
フィルムをくぐらせる必要があって、初見だと失敗するのではとも思ったのですが、実際にフィルムを入れてみると、自然とセンサーの部分にフィルムが入るような形状になっていたので、おそらく問題はないと思います。
そうそう、裏蓋といえば、開閉用のツメはプラスチック製なのですが、このように比較的折れにくい形状になっています。
さらに、裏蓋の開閉は単なるスライド式ではなく、ボタンを押しながらの二段階操作になっていて、このあたり、非常に真面目なカメラだと感じますね。
ファインダーの表示がほどよくレトロ
さて、このRICOH XR-10Mでいちばん面白く感じたのが、じつはファインダーなんですよ。
ファインダーには、左側にAEロックと露出補正(この2つは故障している可能性あり)、
その右側にシャッター速度の表示が並んでいます。
露出の表示なのですが、絞り優先AEのときにシャッターを半押しすると、このようにグラフ式に露出が表示されます。
この表示どうなっているかというと、左から右に点線が伸びていって、一番右の表示が、そのときに切れるシャッター速度になるというわけです。
いっぽうマニュアル露出のときは、適正露出になるシャッター速度の下で表示が点滅します。
点滅していないほうの表示が、選択されているシャッター速度です。
この2つを重ねると適正露出になります。
このファインダーなのですが、液晶表示ということで当時のカメラとしてはそれなりに現代的だったのですが、いまの目から見るとなかなかにレトロに感じてしまうんですよね。
文字のフォントとか、色合いとか。
2021年のいまから見て、いちばん古く感じるたぐいの表示なんだと思います。
いちばんレトロに感じるのはバックライトで、暗いところでシャッターを半押しすると自動でバックライトが点灯するのですが、照明が麦球、ようするに白熱電球なんですよ。
いまなら当然LEDを使うところですが、青色LEDが発明される以前のカメラなので、緑や黄色のLEDよりもこちらのほうが自然な表示だと考えたのでしょう。
※高輝度青色LEDの実用化は1993年
参考文献:「青色発光ダイオードを実用化|ナノテクノロジー・材料|事業成果|国立研究開発法人 科学技術振興機構」
(2021年9月20日閲覧)
https://www.jst.go.jp/seika/bt47-48.html
カメラ自体の見た目は比較的現代的なのに麦球を使っているというギャップ。
1990年というのは思ったよりも昔だったんだ、ということを実感するのでした。
不具合について
じつはこのXR-10M、不具合がありました。
というのが、じつは購入したときピントがズレていたんですよね。
リコーにはコシナOEMのカメラもあるので、このカメラの同様にミラーズレかとも思ったのですが、じつは原因は違いました。
ミラーの裏側にゴムのダンパーがあったのですが、それが劣化してミラーの停止位置が変わっていたんです。
結局、適当な代用品を貼り付けたのですが、ちょっと精度に自身がないので今回は撮影に使うのはやめておきました。
それから、お気づきかもしれませんがトップカバーにも落下痕とヒビがありますね。
ということで、リコーのこのあたりの機種を買うときは、ピントの精度をきちんとチェックしたほうがよさそうです。
この項参考文献:「RICOH XR-7 ピントずれ修理」(2021年9月20日閲覧)
https://bikegon.exblog.jp/17245229/
装着しているレンズについて
今回は作例はないのですが、装着しているレンズについても簡単に触れます。
レンズはXR RIKENON 50mm F2 Lというもので、解像度が高いといわれているXR RIKENON 50mm F2のコストダウン版です。
鏡筒がプラスチックになっていて、初期のXR RIKENON 50mm F2とは別物ですね。
ただ、ボディとレンズの年代は合っていません。
レンズのほうがだいたい10年くらい古いはずです。
そのうち、このレンズで撮った写真も取り上げられたらと思っています。
関連書籍
挙げられるものがありません。
クラシックカメラ専科ではリコーは1989年という比較的早い時期に特集されたため、1990年代以降のこういった廉価な機種についてまとめられている書籍が存在するかは不明です。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
その分、2021年時点ではリコー公式サイトが充実しているのが救いでしょうか。
まとめ
というわけで、RICOH XR-10Mについての小ネタの動画でした。
正直なところスペック的には非常に地味なカメラなのですが、とにかくファインダーが面白い。
それだけでこのカメラを動画で取り上げてしまいました。
マニュアルフォーカスの廉価な一眼レフを作り続けたリコーですが、こうして触ってみるととても作りが真面目で、リコーというメーカーの設計思想がよくわかったのでした。
ありがとうございました。
御部スクラでした。