みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回はミノルタのフィルムカメラ、MINOLTA α-7700iについて話します。
Contents
MINOLTA α-7700i
MINOLTA α-7700i 外観とスペック
レンズマウント:MINOLTA Aマウント
シャッター:縦走りフォーカルプレーンシャッター B、30秒~1/4000秒、シンクロ速度1/125秒
巻き上げ:自動 3コマ毎秒
露出計:TTL開放 多分割測光 スポット測光可能
カウンター:液晶に表示
フォーカシング:TTL位相差検出方式 AFポイントは3点
電源:2CR5 x1
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1988年
発売時価格:-
製造元:ミノルタカメラ
参考文献(2021年12月22日閲覧):
ケンコー・トキナー公式Webサイトよりミノルタα-7700i取扱説明書(pdf)
MINOLTA α-7700iについて
ミノルタα-7700iは1988年の5月発売。
発売年月参考:「1980年代に発売された主な機種一覧 | コニカミノルタ製品アフターサービス – 株式会社ケンコー・トキナー」(2021年10月1日閲覧)
初の実用的なオートフォーカス一眼レフカメラ、ミノルタα-7000から3年経ってのモデルチェンジでした。
型番に7とついていることからもわかるように、プロ向けではなくアマチュア向けの上位機種です。
同じシリーズには1990年発売のα-8700iもありますが、この世代では9番機は出ませんでした。
※動画ではα-9xiについて失念していました。
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MINOLTA α-7700iの特徴
それではどんなカメラなのか見ていきましょう。
デザインが流麗なカメラ
ミノルタα-7700iでいちばん印象に残るのは、やっぱりデザインなんですよね。
α-7000やα-9000の角張ったボディから、丸みをおびた1990前後っぽい外観になりますが、個人的な印象としては、このデザイン、非常に好感を持っています。
後継機のα-7xiやα-707siのマッシヴな感じのデザインに比べて、全体のラインがスマートでとても美しいんですよね。
実際、ボディの肩の部分はα-7xiやα-707siに比べて高さが低いようです。
見た目が流麗なカメラ、というのがα-7700iの第一印象。
機能面でも順当に進歩
それでは見た目だけでなく機能についてはどうかというと、こちらも順当に、α-7000で足りなかったところが補われています。
これまでも参考文献にした『佐藤評論6』と同書に併録の『佐藤評論2 ミノルタα7番機の軌跡』を参考にすると、
AF性能の向上
性能面でもっとも大きな改良が、オートフォーカスの性能向上だったといえるでしょう。
佐藤評論2では「H型配置のマルチAFポイント」と「動体予測」が主な改良点と指摘しています、AFの速さについては十分以上の快適さを感じました。
α-7000の時点でかなり高いレベルにあったAFですが、ファミリーユースならデジタルカメラの時代が来るまで使い続けることも十分できたと思いますね。
まあAFについてはさらにレベルの高いCanonのEOSがすでに出てきている時代のカメラなのですが……。
ただ申し訳ないのですが、わたしは自動車とか電車といった動きものを撮らないので、動体予測のような高度なAF性能について評価することができません。
あくまで、一定以上のレベルにある、ということしかわからないです。
それから、超広角の24mmをつけていたせいもあるとは思うのですが、あと一歩AFを追い込んでほしいというところで、合焦したと判断してAFが動かなくなることもありました。
AF・MF切り替えスイッチ
これも佐藤評論2で触れられていることですが、AFとMFフォーカスの切り替えがスライドスイッチではなく、元の位置に戻るスイッチになっています。
これですが、同書ではPボタンを押して機能をデフォルトにリセットしたとき、MFからAFに戻すことができるようになった、ということが指摘されています。
もうひとつの意味合いとしては、このα-7700i、電源をOFFにするとピントリングが無限遠に自動で戻るのですが、この機能をつけるためでもあったんじゃないかなーと思います。
じつは、わたしが昔使っていたペンタックスのAF一眼レフにはこの機能はなかったんですよね。このYouTubeチャンネルを始めていろいろなカメラを触るようになって、他社の一眼レフには案外この機能がついていることを知って、かなり驚きました。
分割測光
それから測光も分割測光になっているということです。
今回は超広角の24mmの単焦点をつけて撮影したのですが、じつは露出補正をサボってほぼデフォルトの設定で撮影してしまったんですよね。
それでも全然問題のないネガを得ることができましたよ。
↑空が大きく入ったカット
※以上AFについての項:『佐藤評論2』(『佐藤評論6』再録版)pp.119-120
2018年(コミックマーケット97)刊、(原著は2016年、コミックマーケット91)
↓佐藤評論6 boothの電子書籍版購入ページ
https://njcp.booth.pm/items/1732351
シャッター
シャッターは1/4000秒まで切ることができるようになりました。
α-9000は1/4000秒を積んでいましたがα-7000は1/2000秒までだったので、ここは当時としてはトップレベルの性能といえますね。
インテリジェントカードで機能を選択
右手側のフラップを開けると、機能を選択できるという触れ込みのインテリジェントカードを差し込むことができるようになっています。
オートロックアクセサリーシュー
また、ストロボなどを取り付けるアクセサリーシューは、αがSONYへ引き継がれた後まで用いられたオートロックアクセサリーシューになっています。
オートロックアクセサリーシューは、このα-7700iがはじめての採用です。
電池は2CR5
電池は2CR5リチウム電池を1本使います。
α-7700iを使ってみた感想・操作性
では、今回撮影に使用してどう感じたかというと……
多機能だが初見で使いこなすのは難しそう
基本的な操作としては、左肩のFUNCTIONボタンやMODEボタンを押しながら、シャッターの前にあるスライドキーで項目を選択する、という形になっています。
ただ、使いやすいかというと、ここはα-7000のほうがわかりやすかったと思います。
『佐藤評論2』でも触れられていますが、インターフェースが階層化されているんですよね(『佐藤評論2』(再録版)p.118)
。
たとえばシャッターを単写と連写に切り替えるには、▲ボタンでSと書かれたアイコンに印を合わせて、FUNCTIONボタンを押しながらスライドキーを操作する。
だいたいそういう操作です。
1990年前後の家電のリモコンとかでもありがちですが、初見だと説明書を見ないとわからないと思います。
わたしは単純な操作のほうが好きな人間なので、こういう階層化された操作というのは好きではないです。
あと、これはα-7000の時点でもそうでしたが、ボタンの同時押しというのもスマートじゃないな、と感じています。
ただ、そういう操作を行わずにフルオートだけで使っても全然問題のない性能を備えているカメラではあります。
スライドキーは1つだけ
操作に使うスライドキーですが、シャッターボタンの前の1つだけなんですよね。
α-7000のアップダウンスイッチはボディ上面とマウント基部の2箇所にありましたが、α-7700iではマウント基部には押しボタンが設けられていて、マニュアル露出のときはこのボタンを押しながらスライドキーを操作することで、絞り値を手動選択するようになっています。
↑α-7000のアップダウンボタン
α-7000のマウント部分のスイッチ、言われなければ存在に気づかない感じもあるので削ったのかもしないですが、中級~上級のカメラとして考えると2箇所にあってもよかった気がします。
このスライドキーですが、ダイヤルに比べるとやっぱり少々操作性では劣ります。
あと、このα-7700iはちょっと動作がバカになりかけています。
デザインは本当に流麗 操作はこの年代特有の感じ
ということで触ってみた全体的な感想なのですが、
最初に話したとおりデザインはとても流麗で魅力的なのですが、操作性にはこの年代のカメラ特有の感じがあります。
1980年代後半とか1990年代前半の家電とも共通する、多機能を目指したせいで操作が複雑になってしまうという、ありがちな使いにくさを感じます。
こういった多機能を実現する場合、どういう操作がよいのか探っている感じがあって発展途上なのは、発売した年代的に仕方がないところです。
ただ、ですね。
そういう感想になるのはわたし自身にも問題があるんです。
わたしは動くものを撮らない、ポートレートも撮らない風景中心の人です。
なので、さっきも話したように1980年代から1990年代にかけての進歩というのが全然刺さらないタイプなんです。
なので本当は、わたしはこういったカメラを評価するのに向いた人間じゃないのかもしれないんですよね。
それはそれとして見た目が格好いい
でも、それはそれとして、α-7700iは見た目がめちゃくちゃ格好いいカメラなんです。
正直、それだけで十分だと思います。
最初にも話したとおり、このあとのミノルタα7番機の肥大化したボディに比べてとてもスマートで、しかも中身が詰まっている感じがするんです。
あと、ミノルタのロゴが印刷されてるところ、よく見るとクリアパーツなんですよね。
個人的にはここがもうすごく格好良く感じます。
小さくて格好いいカメラ。
結局わたしはそういうカメラが好きなんだと思います。
ミノルタα-7700iで撮影した写真
では撮影した写真を見ていきましょう。
装着したレンズはSIGMA AF SUPER-WIDE II 24mm F2.8。
手持ちのミノルタAマウントレンズで一番小さいので、α-7700iのボディに似合うと思って装着しました。
ただし状態はよくないです。
フィルムはNEOPAN 100 ACROSSの2019年期限、Parodinal 1:50 20℃ 13.5minで現像しました。
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撮った写真
はい。
ミノルタ純正のレンズではないのでさっと流していくのですが、ご覧のように空が入っている被写体でも全然いい感じに写っています。
もちろんモノクロネガをデータ化しているので露出に対する許容度が広いということはあるんですけどね。
じつはわたし、普段使うレンズを28mmまでしか持っていないので、24mmでも超広角と感じてしまうんです。
なので今回、超広角です! みたいな写真ばかり撮ってしまいました。
このSIGAMの24mm F2.8ですが、ものすごく寄れるレンズです。
最短撮影距離は0.18m。つまり18cmです。
フィルム面からの距離なので、本当に被写体にぶつかりそうなくらい寄ることができます。
このレンズについても、単体で動画にしたら面白いかと思っています。
ということで作例でした。
グリップの劣化
最後に、ミノルタαにありがちな、グリップ劣化の話です。
このα-7700iはジャンクで買ったのですが、経年劣化でグリップがボロボロになっていて、そもそもほとんど残っていませんでした。
今回は試しに、エポキシパテを盛って、ヤスリで削って、黒く塗ってみたのですが……
ちょっと失敗でしたね。
というかわたしの実力不足でした。
パテの表面処理がこんなに手間がかかるということを知らなかったのと、家が賃貸で缶スプレーを吹くのはちょっと難しいので、塗装についてはもう少し考えないといけないです。
ちなみに今回直接パテを盛ったのですが、α-7700iの場合、グリップの下の部分にパテが入り込まないよう注意が必要です。
内部の巻き上げギアと干渉するおそれがあります。
今後同じような作業をするなら、プラ板の積層で作ってみるのもアリかな、と思っています。
関連書籍
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まとめ
ということでα-7700iのお話でした。
何度も話しているように、デザインが本当に格好いいです。
ミノルタαのなかでは見た目がいちばん優れていると感じます。
フルオートで使うぶんには操作性も気にならないし、ジャンクでもけっこう動作するので、触ってみると面白いですよ。
α-7xiやα-707siについてもそのうち取り上げたいと思っています。
ありがとうございました。
御部スクラでした。
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