みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです!
今回は、コダックのフィルムカメラ、レチナIIcについて解説します。
Contents
Retina IIc
Retina IIc(小窓)の外観とスペック
レンズ:Schneider-Kreuznach Retina-Xenon C. 50mm F2.8(ほかにRodenstock Heligon付もあり) 前玉を交換して焦点距離を変えることが可能。
シャッター:SYNCHRO COMPUR B、1秒~1/500秒
巻き上げ:ボディ下部のレバー1回巻き上げ
カウンター:逆算式、手動リセット
フォーカシング:連動距離計内蔵
ファインダー:アルバダ式、50mm用フレーム
フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1954年
発売時価格:-
製造元:ドイツコダック
Retina IIcとは
レチナIIcは、35mmフィルムを使う、レンズが固定された、レンズシャッターの連動距離計カメラです。
コダックのレチナというシリーズは戦前からあるんですけど、このレチナIIcは1954年から作られた、小窓というタイプです。
この、ファインダーの窓が小さいタイプと大きいタイプがあって、これは小さいタイプなので「小窓」と呼ばれています。
レチナ、Retinaというのは英語で目の「網膜」という意味です。
MacとかiPhoneに使われているレティーナディスプレイでも同じ単語が使われていますが、カメラの場合日本語だと歴史的経緯から「レチナ」と慣用的に発音されているようですね。
レチナIIc作例
「網膜」という名前のとおり、Retinaというカメラは本当によく写ります。
コダックのカメラということで、今回の撮影ではフィルムはKodak GOLD 200を使いました。
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このレチナIIcのレンズはSchneider-KreuznachのXenon 50mm F2.8です。
とにかく写りがいいです。
写りすぎるくらいによく写ると感じます。
もちろん、冬の快晴の夕方という条件自体がエモーショナルであるということも要因ですが、それにしても、写りすぎて驚いています。
明るいところで絞り込んで撮るのもいいし、日陰で開放にして撮ってもボケが美しい。
ああ、本当に写るレンズってこういうものだったのか……という感動を覚えました。
35mm用の50mm F2.8ということでそこまで明るいレンズというわけではありません。
でも、レンズの写りというのは明るさとは別個の概念なんですよね。
今回使用したKodakのGOLD200というフィルムも、これがまた相性抜群でした。
今回気がついたのは、コダックの色は明らかにフジと違うということです。
KodakのGOLDというと昔はカメラ屋の店頭で100円で売っていたような製品なので、今回久しぶりに使うまで、安物のフィルムだと思ってあなどっていました。
でもこうして結果を見ると、このフィルムならではの表現がたしかに存在するということがわかりました。
余談ですが、GOLD 200のフィルムベースと乳剤の色(茶色)がフジのカラーネガよりも濃くて「ああ、そういえばコダックのネガってこんな感じだったよな」と久しぶりの感覚を味わいました。
とにかく、レチナというカメラはすごく写ります。
文句なしに描写がおすすめできるカメラです。
作りもよい
そして、このレチナというカメラ、カメラ自体のつくりもとてもよいです。
1954年というとライカM3が発売した年ですが、同時期の日本製のカメラのつくりを考えると比べ物にならないクオリティです。
隙間なく、精度高く組み上がっています。
レチナって、以前のクラシックカメラブームのときは人気があって高かったらしいですが、いまでは全然人気がないんですよね。
実はこのレチナも、レンズがきれいで整備したら普通に商品になりそうなのに、ジャンクで入手しました。
逆にいえば今は、こんなに作りがよくて写りがいいカメラを安く買うチャンスなんじゃないかな、と思います。
使い方
簡単に操作方法を紹介します。
前蓋の開閉方法
最初に、レンズやシャッターが収納されている前蓋の開閉方法です。
開け方
蓋の銀色の小さいノブを少しスライドさせると、ロックが解除されて開けられるようになります。
開ききるとカチャッと音がしてロックされます。
閉じ方
閉じ方です。
レンズの根本の銀色のボタンを上下両方とも押し込むと、レンズ部分が収納されていって閉じることができます。
このとき、ピントのノブが無限遠の位置にある、つまりレンズがいちばん引っ込んでいる状態でないとたたむことができません。
安全装置がついていて、無限遠以外のときはそもそも収納ボタンが押し込めなくなっているので大丈夫だとは思うのですが、無理に操作しないようにしましょう。
フィルムの入れ方
フィルムの入れ方です。
裏蓋を開けるには、三脚穴の横のノブを矢印の方向にずらして、下に隠れているボタンを押し込みます。
フィルムの入れ方は普通の35mmカメラと一緒です。
先端を差し込んで
たるみをすこし取ってから裏蓋を閉めます。
巻き上げレバーは底面にある
裏蓋を閉めたら空シャッターを2、3回切ります。
巻き上げはボディの下にある巻き上げレバーで行います。
レバーを操作するときは、カチっと音がしてそれ以上回せなくなるまで回します。
ちなみに分割巻き上げはできません。
レバーはゆっくり戻しましょう。
カウンターの設定
このレチナIIcはカウンターが自動リセットではないのでカウンターを手動設定します。
ボディ上側のカウンターのところにあるボタンを押し込みながら、背面のスライドノブを動かして、フィルムの撮影枚数に合わせます。
このカメラは逆算式、つまりカウントする数字が減っていくタイプなので、36枚撮りでは36に、24枚撮りでは24のところに合わせます。
露出の設定
露出の決め方です。
このレチナIIcのレンズシャッターはライトバリュー方式なので、絞りとシャッターのリングが連動しています。
まず、使うシャッターと絞りの組み合わせを決めてから、その値を中心に持ってくる、という操作をするといいでしょう。
絞りリングを回すには、レンズの下にあるノブを少し下に押しながら回します。
たとえば絞りがF5.6でシャッター速度が1/125秒で使いたいときは、絞りリングを回して、その数字を合わせます。
そして、その組み合わせが中央の白い点のところに来るように、絞りリングとシャッターリングを回します。
ピントを合わせる
ピントの合わせ方です。
ピントは、レンズの横にあるピントノブで回します。
レチナIIcは連動距離計が内蔵されているので、ファインダーの中の二重像が1つになるように回すとピントが合います。
露出とピントを合わせたらシャッターを切ります。
巻き戻し
巻き戻し方です。
巻き上げレバーの横にある巻き戻しボタンを押し込んで、
巻き戻しノブで巻き戻します。
巻き戻しノブは少し持ち上げて回しやすくすることもできますが、持ち上げきってしまうと軸がフィルムから抜けてしまって巻き戻せないので注意しましょう。
あとはフィルムを入れたときと同じように裏蓋を開けて、フィルムを取り出します。
これでフィルム1本分の撮影が完了です。
まとめ
というわけで今回はレチナIIc、小窓の解説でした。
わたしの持っているレチナIIcは、レンズはとてもきれいなんですけど、ヘリコイドが重かったりファインダーが黄色くなっていたりして状態が悪いんですよね。
状態が悪いので売却してしまってもいいかと思っていたのですが、試しに撮ってみたらものすごく写りがよかったので、きちんとメンテナンスして、末永く使ってあげたいと思っています。
これからもいろいろなカメラを紹介していくので、よろしくお願いします!
御部スクラでした。
ありがとうございました。
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