みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は、フィルムカメラについて調べる方法、について話します。
Twitterのカメラ界隈の方とか、昔からクラシックカメラをやっている方には当たり前の知識かもしれないんですけど、これからフィルムカメラのことを深く調べたいという方への道標になれば、と思いこの動画を作りました。
Contents
フィルムカメラについて調べるための文献
ではまず、カメラの情報を調べる基本的な文献です。
1.国産カメラ図鑑
まず、国産カメラ図鑑。
すぎやまこういち 直井浩明(なおい ひろあき) ジョン.R.ブロック編『国産カメラ図鑑』
1985年、ザ・クォータープランニング発行
日本を代表するカメラコレクターたちが持ち寄ったカメラ2,205台を、写真とデータで総覧する本です。
図鑑というとおり本当にデータと写真の羅列なのですが、この本がすごいのは、他の文献には出ていない、これにしか載っていないカメラがいくつもあるということ。
少なくとも実在はしていた、ということを確かめることができるので非常に重要です。
市町村レベルの図書館に入っていることもあるので、マイナーなメーカーについて調べるとき、一度は確認しておきたいですね。
この本を編集した1人がすぎやまこういちさんなのですが、ドラゴンクエストの楽曲や中央競馬のファンファーレを作曲した、あのすぎやまこういちさん本人です。
すぎやまこういち公式サイト内 国産カメラ図鑑の紹介ページ
http://sugimania.com/tuhan.html
2.昭和10~40年広告にみる 国産カメラの歴史
次に、アサヒカメラ編 『昭和10~40年広告にみる 国産カメラの歴史』です。
昭和10~40年広告にみる 国産カメラの歴史
1994年 朝日新聞社 初版
これはタイトルの通り、さまざまなカメラ雑誌に掲載された広告をまとめた本です。
アサヒカメラ編とありますが、アサヒカメラに限らず、当時の他の写真雑誌の広告も区別せずまとめられています。
広告自体も資料になるのですが、後半にテキストで収録されたカメラ一覧が重要で、機種名、スペック、そしてそのカメラが取り上げられた雑誌記事、広告が掲載された雑誌の号数が書かれているので、この本を起点として、当時の雑誌のバックナンバーを探すという使い方ができます。
ただし、タイトルのとおり昭和40年、1965年までしか載っていないので、ギリギリ情報が掲載されていない、みたいなことも発生します。
3.クラシックカメラ専科
クラシックカメラ専科は、朝日ソノラマから刊行されていたクラシックカメラ専門の雑誌です。
1978年にカメラレビューという雑誌の増刊としてはじまり、2007年に出た第84号まで刊行されました。
※クラシックカメラ専科の情報、ネットに全然ないですね……
刊行開始・休刊年と号数のソースは寫眞機商コウジヤ様のblog記事です。
https://koujiyacamera.hamazo.tv/e6111284.html
カメラを研究しているマニアがオールスターで寄稿していて、かつてのクラシックカメラブーム華やかなりしころの熱気が感じられます。
関係ないですが、クラシックカメラ専科の最終号が2007年って今知ったんですが、写真工業の休刊も2008年ですし、これくらいの時期にカメラマニアの世代交代が起こった感じがありますね……。
ヤフオクや日本の古本屋で入手するのは比較的容易です。
各号ごとに特集で内容が分かれているので、興味のある分野の号だけ見るだけでも、相当に知見が深まります。
クラシックカメラ専科で好きな号
4.クラシックカメラ選書
クラシックカメラ選書は、これも朝日ソノラマから出版されていた、カメラ関係のマニアックな内容を扱った書籍です。
クラシックカメラ選書という名の通り、メーカーごとの話や、クラシックカメラ専科に掲載された内容をまとめたものもありますが、いま映っている『写真レンズの基礎と発展』のような光学の入門書や、カメラ修理の話など、
非常にバラエティ豊かでどれもハイクオリティです。
5.カメラコレクターズニュース
カメラコレクターズニュースは、著名なカメラコレクターの粟野幹男(あわの みきお)氏が編集、刊行していた月刊の定期刊行物です。
モノクロ印刷で、1977年から2007年まで刊行されました。
頭文字を略してCCNと呼ばれることも多いです。
こちらも非常に重要な資料で、コレクターズアイテムの現物が写真付きで解説されています。
かつてのクラシックカメラ愛好家たちの交流の様子を知ることができるのも良いです。
一般の書店で売られていたものではないので図書館等で見ることは難しいのですが、国会図書館と、後述するJCIIライブラリーには収蔵されています。
わたしも手元にはなく、図書館で閲覧しています。
カメラコレクターズニュースについては有志の方が索引検索サイトをネット上で公開しています。
あらかじめ、このサイトで目当ての記事を見つけてから図書館に見に行くのがよいでしょう。
カメラコレクターズニュース索引検索
http://www.ccn-index.pw/
こういうのでいいんだよ。中国ブランドレンズベスト3
ジャンクばかり漁るような人なので買えなかったのですが本当はこういうのが欲しかったというレンズランキングです。1位:TTArtisan 50mm F0.95 ASPH
クラカメブームも今は昔、カメラ趣味の本場はもはや中国なんじゃないかと思わせるブランド、銘匠光学。 MマウントでF0.95のレンズは趣味のための存在にほかならないのですが、それをいま作るというのは本当に粋だなあと感じる商品です。2位:TTArtisan 28mm F5.6(Mマウント)
35mm一本よりも50mmと28mmという人だったので、28mmレンズは好物でした。 ライカMマウントの28mmは安いレンズの決め手に欠ける焦点距離なので、中国製のこのレンズはありがたい存在だといえます。3位:FUNLEADER CAPLENS 18mm F8
何考えてるんだ! といいたくなるような広角レンズ。 昔だったらWaiWaiワイドのレンズを移植したりしてたのに。 もうこういう商品は中国の人に任せておけばいいんじゃないかな。Webサイト
Webサイトについては、フィルムのカメラについてはGoogleの検索結果がそこまで酷い内容になっていないので、機種名で検索すればよいでしょう。
Camera-wiki.org
なので、まずは海外のサイトを紹介します。
Camera-wiki.org です。
http://camera-wiki.org/
英語で書かれたサイトで、wiki形式なのですべてが正しいというわけではないですが、例えば日本製のカメラについていうと、ここまで紹介したような文献に基づいて書かれていることが多いので、一定の正確さは担保されています。
海外のサイトについては検索方法でいくらでもマニアックなものが出てきますが、ひとまずはcamera-wikiの脚注の参考文献からリンクで飛ぶ、などでいいと思います。
AFフィルムカメラやデジタルカメラの調べ方
わたしの守備範囲の関係で、このblog・動画は国産クラシックカメラに偏っています。
オートフォーカス機やデジタルカメラの文献の探し方については、以下のblog記事が詳しいです。
ノウとハウ ~非創作同人誌を作るための調べもの講座~
https://seek.hatenadiary.jp/entry/20190518/1558143383
メーカーの技報が参考になること。
インプレスは過去ログを保持しているので偉大ということ。
そのほかにも、わたしとは異なる視点から、↓で紹介している図書館についても取り上げられています。
カメラ関係の文献が読める図書館
カメラについて深く調べようとすると、どうしても図書館を頼る必要が出てきます。
もちろん、本物のマニアの人は古いカメラ雑誌のバックナンバーを揃えたりしている場合もありますけど、全員がそれをできるわけではないので。
カメラの関係の文献を閲覧できる図書館をいくつか紹介します。
ただし、この動画を公開している2021年現在、新型コロナウイルスの関係で閉館していたり、利用に制限がある場合もあるので、利用にあたっては公式サイトを確認してください。
JCIIライブラリー
JCIIライブラリーは、東京の麹町駅の近くにある、日本カメラ博物館に併設された図書館です。
各種写真雑誌や書籍はもちろんのこと、さきほど触れた、カメラコレクターズニュース(CNN)が全冊揃っています。
閉架式で、閲覧したい資料を記入して、司書の方に持ってきてもらうことになります。
JCIIライブラリー
東京都写真美術館 図書室
東京の恵比寿にある、東京都写真美術館の図書室です。
美術館の4Fにあります。
こちらも閉架式です。
芸術としての写真関係の書籍はもちろんのこと、カメラ関係の雑誌もかなり古いバックナンバーまで揃っています。
東京都写真美術館 図書室
https://library.topmuseum.jp/drupal/
各都道府県立図書館
関東地方以外の方にとって、JCIIや東京都写真美術館の図書館に行くのは難しいと思うのですが、県庁所在地にあるような都道府県立図書館はかなり使えます。
とくに、たとえばカメラ雑誌のバックナンバーだと、1950年代以降のものはある程度入っていることが多いのではないかと思います。
国立国会図書館
それでも見つからない場合、最終手段は国立国会図書館になります。
まあ、これはなにについて調べるときでも一緒ですね。
国会図書館ですが、カメラコレクターズニュースは入っているようです。
国立国会図書館
https://www.ndl.go.jp/
古書を買う
それから、たとえば1950年代のカメラ雑誌には国会図書館にもないものがあるのですが、案外、日本の古本屋で普通に買えたりします。
日本の古本屋やヤフオクで、直接資料を買ってしまうのは、もちろんベストな手段だといえます。
日本の古本屋
https://www.kosho.or.jp/
まとめ
というわけでフィルムカメラに関する文献の調べ方について紹介してきました。
わたしは自宅にそこまで資料を揃えていないし、クラシックカメラ専科やカメラコレクターズニュースの内容をほとんど読んでいないのでガチ勢ではないのですが、この動画がこれからフィルムカメラについて調べたい方に少しでも役立てばいいなと思います。
ありがとうございました。
御部スクラでした。