Nikomat FT2とNikomat FTNの違い

Nikomat FT2とNikomat FTNの違い

みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。

この前Nikomat FTNの動画をUPしたんですけど、最近ニコマートに縁があるようで、今度はジャンクのニコマートFT2を手に入れたんですよ。
見た目やファインダーはそれなりにきれいですが、撮影に使うにはいろいろと整備が必要なんですけど、鉄は熱いうちに打てともいうので、Nikomat FTNの動画の続編として、FTNとFT2の違いについて話したいと思います。

Nikomat FT2

Nikomat FT2のスペック

Nikomat FT2

Nikomat FT2

Nikomat FT2

Nikomat FT2

(画像のものは未整備)

レンズマウント:Nikon Fマウント
シャッター:コパルスクエアS B、1秒~1/1000秒
巻き上げ:レバー式、1回巻き上げ(分割不可)
露出計:CdS受光素子 中央重点測光
カウンター:順算式、自動復元
フォーカシング:マニュアルフォーカス
電源:SR44 x1
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1975年
発売時価格:-
製造元:日本光学

ニコマートFT2とは

ニコマートFT2

ニコマートFT2は、ニコマートFTNのマイナーチェンジ機種です。

発売は1975年。
ということで、1967年発売のニコマートFTNから細かい部分がいろいろとアップデートされています。

発売年参考文献:「ニコンの銀塩一眼レフカメラ製品一覧 – Wikipedia」(2021年10月27日閲覧)
※ソースがWikipediaです……ごめんなさい……

基本的な性能はニコマートFTNと同じです。

基本的な性能はニコマートFTNと同じ

シャッターはバルブと1秒から1/1000秒で、シャッターダイヤルの位置もマウントの周りで同じ。
レンズの開放F値を設定する、いわゆるガチャガチャという動作も同じです。

Nikomat FTNについての関連記事

Nikomat FTN 解説・使い方(Nikkormat FTN)

ニコマートFTNとニコマートFT2の違い

それじゃあ、具体的にどんなところが違うのかというと。

スピードライト関連

まず機能面でいちばん目立つのが、ペンタプリズムの上にホットシューがついたことですね。

ホットシューがついた

ニコマートFTNはアクセサリーシュー自体が外付けで、当然ホットシューではないのでスピードライトを使うにはシンクロコードで接続する必要がありました。

ニコマートFTNとストロボ

ホットシューにストロボをつけたところ

ここはいちばん時代に即した改良だといえます。

それにともなって、ペンタプリズム部分のデザインも微妙に変わっています。

ペンタプリズム部分のデザイン

このように、頂上の部分まで貼り革で覆われているんですね。

あと、シンクロ接点についても、ニコマートFTNではM接点とX接点が分かれていましたが、ニコマートFT2では1つになっています。

シンクロ接点

電池がSR44に

それから電池。

ニコマートFTNはMR-9水銀電池を使っていましたが、ニコマートFT2はSR44酸化銀電池を使用するようになっています。

SR44酸化銀電池を使用

蓋の裏側にはfor FT2と刻印されていて専用品のようなのですが、サイズ自体は同じようで、Nikomat FTNにもはまります。

蓋の裏側にはfor FT2と刻印

逆にNikomat FTN用の蓋もFT2に入りました。

蓋のサイズは同じなので、電池室が後から変更されたのがよくわかる見た目になっています。

電池室が後から変更されたのがよくわかる見た目

細部のデザイン

ボディの細かい部分のデザインも変わっています。
ニコマートFTNはニコンFをベースとした見た目でしたが、ニコマートFT2ではニコンF2の方向性が取り入れられていますね。

たとえば、レンズ着脱ボタンが黒に銀の縁取りになっていること。

黒に銀の縁取り

絞り込みプレビューボタンも同じような仕上げになっています。

それから巻き戻しクランクもF2に似た見た目になっています。

巻き戻しクランク

面取りされているのと基部に飾りリングがついていますね。

その横の露出計窓もサイズが違います。

露出計窓

貼り革のパターンも違いますが、これはたしか、ニコマートFTNの後期型もこんな感じだった気がするのですが記憶が曖昧です……。

貼り革のパターン

シャッターダイヤルの指かけの形状も変わっています。

シャッターダイヤルの指かけ

あと、これ今回触るまで気づかなかったんですけど、銘板の字体が違うんですよね。

銘板の字体が違う

ニコマートFTNはNikon Fのような丸ゴシック。
ニコマートFT2はF2のような角ゴシックです。
小文字のaを見るとひと目でわかります。

あと、各部のネジがマイナスネジからプラスネジに変更されていますね。

各部のネジがマイナスネジからプラスネジに変更

ニコマートFTN後期型から受け継いだこと

あとは、巻き上げレバーとセルフタイマーに黒い指あてがついていますが、これはニコマートFTNの後期型からこうなっています。

巻き上げレバーとセルフタイマーに黒い指あて

ただ、巻き上げレバーの中央部の飾りネジの形状は、ニコマートFTNの後期型のものから変更されている(平らなものから盛り上がったものへ)ようです。

巻き上げレバーの中央部の飾りネジ

あと、ファインダーにはスプリットイメージがついています。

ファインダーにはスプリットイメージ

これについても、ニコマートFTNの後期型にはスプリットイメージのものがあります。

未整備のニコマートFT系はシャッターが粘ったようになる

状態の悪いニコマートと状態の良いニコマートを比較

このニコマートFT2、一見シャッターが全部切れているようにみえるのですが、じつはミラーの動きがよくないんですよ。

調子の悪いニコマートでよくあるのですが、ミラーが上がるとき、微妙に粘ったような感じで動作が緩慢になってしまうんです。

なので、一見外観やファインダーがきれいでも、ミラーと裏蓋のモルトを交換しただけじゃダメなんですよね。
ほかにも、もしちゃんと使うなら内部にもモルトが使われた箇所がいくつかあるので分解が必要です。

このニコマートFT2、銘板にキズこそありますが、わたしの基準ではなかなかきれいだと感じるので、そのうちきちんと整備してあげたいと思っています。

Nikomat FT2の関連書籍

豊田堅二『ニコンファミリーの従姉妹たち (クラシックカメラ選書) 』
NikomatをはじめとするF一桁機に対象を絞った一冊。クラシックカメラ選書でこの内容が成立するのはさすがニコンだと感じます。

まとめ

ということでニコマートFTNとニコマートFT2の比較でした。

1967年に発売して、1975年にこのFT2が出るまでのロングセラーだったFTNと比べるとちょっと地味な立ち位置のカメラですけど、やっぱりいろんな部分がモダンになっていると感じますね。

似た立ち位置のカメラとしてはペンタックスSPFとかSP2、ミノルタSR101やSR505あたりがありますが、どれも改良点が似通っているのが面白いところです。

ということで、ニコマートFTNの動画の続編でした。

ありがとうございました。
御部スクラでした。