みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回はCanonのハーフサイズカメラ、Demiについて話します。
※このblog記事は投稿が動画公開からかなり遅れました。
Contents
Canon Demi(初代)
Canon Demi(初代)の外観とスペック
レンズ:Canon LENS SH 28mm F2.8
シャッター:SEIKOSHA-L B、F2.8・1/30秒~F22・1/250秒
巻き上げ:レバーによる1回巻き上げ、分割可能
露出計:セレン受光素子による追針式
カウンター:順算式、自動復元
フォーカシング:目測
ファインダー:ケプラー式実像ファインダー
フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1963年
発売時価格:10,800円
製造元:キヤノンカメラ株式会社(当時)
※スペック参考文献:『クラシックカメラ専科No.31 キヤノンハンドブック』1994年、朝日ソノラマ
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Canon Demi(初代)について
Canon Demiシリーズにはいくつかの機種があるのですが、これは初代Demiになります。
Demiというのはフランス語で「半分」という意味ですが、まさにいわゆる普通の35mmフィルムの半分の面積を使う、ハーフサイズカメラにぴったりの名前ですね。
発売は1963年。
まさに、日本でハーフサイズカメラのブームが巻き起こっていたさなかに登場したカメラです。
この初代デミはCanonが出した初めてのハーフサイズカメラで、1963年という参入時期はけっして早くないのですが、それだけあって完成度は高いです。
完成度の高いカメラを後から出すパターン、多いですよね、キヤノンって。
Canon Demi(初代)で撮影した写真
それでは、このデミで撮った写真を見てみましょう。
使用フィルムはADOX Silvermax 100(期限切れ)です。
現像条件:Parodinal 1:25 20℃ 8min
Canon初代デミ、初めて使ったカメラなんですけど、本当に驚きました。
このカメラ、ものすごくよく写ります。
とにかく写りがいいです。
ハーフサイズカメラというと、このチャンネルではほかにオリンパス ペンで撮影しましたけど、そのときはいまひとつ撮影結果がよくなかったんですよ。
カラーネガで撮影したので画質に不満を感じてしまった可能性もありますけど。
それにくらべて今回のCanon Demiは、ハーフサイズでの撮影なのに、一見するとふつうの35mmのカメラと遜色ありません。
それから、このCanon Demiは距離計のついていない目測のカメラで、今回も目測で撮影しました。
なので近距離だとピントがきていないカットもあるんですが、ぱっと見だと一応は鑑賞に耐えうる写真に仕上がっているんですね。
わたしはレンズの描写について語る言葉がそこまで豊富ではないんですけど、Twitterのカメラ界隈の方が、解像力とコントラストは違う、ということを言っていたことを思い出しました。
もしかするとこのDemiのレンズも、ピントが甘くてもトータルでいい感じに写るように設計されているのかもしれないですね。
ともかく、わたしはこのCanon Demiの描写の感じとても好きです。
かなりハマりました。
機構的な特徴
次に、機械的なところを順番に見ていきます。
この初代Canon Demiは、いろいろと特徴的な設計を持つカメラです。
通称「モナカ」
まず、ボディ自体の構造。
カメラの分解を趣味とする方の間では有名ですが、通称「モナカ」と呼ばれる、外装パーツでカメラ本体、いわばフレームにあたる部分を挟み込む構造になっています。
これはこのカメラを分解したときに撮った写真ですが、その構造がよくわかります。
わたし、いままでデミを分解したことなかったので、これがあの有名なモナカかーとちょっと感動しました。
ファインダー
次にファインダー。
Canon Demiは、こういった古い時代のファミリーユースのカメラとしては珍しく、実像式ファインダーを採用しています。
実像式ファインダーはそのままだと像が上下さかさまになってしまうので、内部にプリズムを使って正立像にしているのですが、ご覧のとおりとてもお金のかかった構造です。
もっと新しい時代、1990年代のコンパクトカメラとかになると、プラスチック製のプリズムで多用されるようになるんですけどね。
ただし、わたしのデミは接眼側のレンズ外側が盛大に曇っていて、肝心のファインダーの見えがとても悪いです。
修復不能なレベルのジャンクが手に入ったらパーツ取りにしたいです。
追記:その後水濡れ品のジャンクからファインダーを移植しました。
シャッターと露出計
そしてシャッターと露出計。
Canon Demiはセレン受光素子の露出計を内蔵していて、一見すると、自動露出のEEカメラのように見えるのですが、じつは自動露出ではありません。
ではどうやって使うのかというと、レンズの周り、外側のリングを回すと、露出計の表示窓の中の針が動きます。
これを露出計の指針を重ねると適正露出になる、いわゆる追針式の構造になっています。
ただし、ここが変わっているのですが、シャッターと絞りを別々に設定することはできないんですね。
リングを回すと1/30秒 F2.8から1/250秒 F22まで、シャッターと絞りが同時に変わるんです。
F2.8で1/250秒のシャッターを切る、みたいなことはできず、一定のプログラムラインに沿って可変する感じです。
これ、ようするに自動露出のコンパクトカメラがやっている、露出計に合わせて自動的にプログラムシャッターのシャッター速度と絞りを設定することを、人力でやっているんですよね。
非常にわかりやすく、過渡期の方式という感じがあります。
一応、シャッター速度は1/30秒で固定になりますがフラッシュ使用時のために絞りの手動設定も可能です。
モルトが大量に使われている
そして、これもカメラ修理が趣味の人には有名な特徴ですが、Canon Demiシリーズはどれも盛大にモルトが使われたカメラです。
今回は代用品のフェルトを使っていますが、見ての通り裏蓋にはびっしりとモルトが敷き詰められていました。
ダイキャスト製のフレームの部分は、モルトの加水分解の影響で塗料がボコボコになっています。
真鍮でできたトップカバーの部分は、緑青を吹いてしまっていたのでブラシで磨いてつや消しのスプレーで塗装し直しました。
ストラップ金具がない
あと、これもCanon Demiの有名な話ですがストラップ金具がありません。
純正で、三脚穴にねじ込むハンドストラップが用意されていました。
わたしも純正品ではないのですが、社外品のハンドストラップをつけて使いました。
コマかぶりが発生した
最後に、今回実際に撮影で使って気がついた、不具合ではないけど気をつけたほうがいいこと。
それが、あまり勢いよく巻きげないほうがいいということです。
じつはご覧のとおり、撮影したネガが何箇所かコマかぶりしてたんです。
どうやら、勢いよく巻き上げすぎたのが原因みたいなんですよね。
このデミはレバー巻き上げですけど、巻き上げ角度とサイズが、つい勢いがよくなりがちな感じになっているんですよね。
巻き上げる感触もかなり軽いです。
クラシックカメラの巻き上げは優しく行ったほうがいいというのはどのカメラにもいえることですが、とくにこのデミは、ゆっくり巻き上げたほうがいい機種だと思います。
まとめ
というわけで、Canon Demiについて話してきました。
この初代デミ、分解修理しているときは全然期待していなかったんですけど、撮影した結果を見て、あまりにも写りが良いので本当に驚きました。
オリンパス ペンよりも普通によく写っていて、ハーフサイズカメラのなかでもかなりおすすめできる機種なんじゃないかと思います。
わたしのデミはファインダーの状態が悪いのでどうにかしてあげたいですね。
これからもハーフサイズカメラ、楽しんでいきたいと思います。
ありがとうございました。
御部スクラでした。