みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は日本の小西六、コニカのフィルムカメラ、Konica C35について話します。
Contents
KONICA C35
KONICA C35の外観とスペック
レンズ:HEXANON 38mm F2.8
シャッター:コパルBマット 1/30秒~1/650秒 プログラムシャッター
巻き上げ:レバー1回巻き上げ、分割不可
露出計:レンズ上部にCdS受光素子
カウンター:順算式、裏蓋開閉でリセット
フォーカシング:連動距離計を内蔵
電源:MR44水銀電池
ファインダー:採光式のブライトフレームファインダー、補正は指標のみ
フィルム装填:裏蓋蝶番による開閉
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1968年
発売時価格:シルバー:14,700円 ブラック:16,500円
製造元:小西六写真工業
参考文献:『クラシックカメラ専科No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.76
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KONICA C35について
発売は1968年の12月[1]『クラシックカメラ専科No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.76。
発売時の価格はシルバーが14,700円、ブラックが16,500円[2]『クラシックカメラ専科No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.76だったということです。
この初代C35は愛称が「じゃ~に~コニカ」という愛称で販促が行われたということです。
※手持ちの文献とネット上の資料ではカタカナの「ジャーニー」表記が多いのですが、当時の販促品では「じゃ~に~」と記載されています。[3]「我楽多屋(中古カメラアクセサリーとジャンクカメラ): … Continue reading
さて、わたしは普段あんまり、名機とか名玉っていう単語を使わないようにしているのですが、このコニカC35は名機です。
というか、わたしにとってのベストカメラがこの初代コニカC35です。
実用の道具ではなく、趣味の対象としてカメラに興味を持ったときに、一番最初に見た目がいいなと思って欲しくなったのが、このコニカC35だったんですよね。
歴史的にもコニカC35シリーズは重要で、のちにはストロボを内蔵したC35EFや世界初の市販されたAFカメラ、コニカC35AFへと発展していくこととなります。
機構面の特徴
では簡単にスペックを見ていきましょう。
シャッターとプログラム露出
機能としては、プログラムシャッターの連動距離計カメラです。
シャッターはコパルBマットというもので、1/30秒~1/650秒まで可変。
絞り値はシャッターに連動して変化して、手動調節はできません。
実際にどれくらいのシャッターと絞りの値に設定されるかは、ファインダーの右側の指針で確認することができます。
それとは別にバルブもついています。
ファインダーと距離計
ファインダーですが、採光式のブライトフレームがついています。
パララックスの補正はなく、近接時の指標のみです。
連動距離計(レンジファインダー)がついていて、ヘリコイドの回転角は少ないですが距離計自体は合わせやすいです。
巻き上げと巻き戻し
巻き上げはレバー巻き上げ。
分割巻き上げはできません。
巻き戻しはクランク式です。
ストロボ関連の機能
レンズ鏡筒の根本に、シャッターのAUTOとBを切り替えるリングがあるのですが、ストロボを使用するときもそのリングで設定します。
側面にストロボのガイドナンバーごとの指標が刻まれていて、リングをそこに合わせると、ストロボの光量に合わせてヘリコイドの回転が規制されます。
ストロボの光は距離によって届く量が変化するので、ヘリコイドの位置に従って絞りが開口する量も変化するようになります。
この機構、よくできています。
初代Konica C35と関連機種
さて、今回取り上げているコニカC35は、C35シリーズの初代の機種です。
初代C35、じゃ~に~コニカ系の機種には他に
- C35 flashmatic(1971年、フラッシュマチック機構がついた)[4]flashmaticの冒頭が小文字なのは、銘板の表記より
- C35 E&L(1971年、距離計とセルフタイマーが省略された下位機種)
- C35 FD(1973年、大口径レンズとシャッター優先AEのついた上位機種)
があるのですがC35FDは別格として、中核となる機種は初代C35とC35 flashmaticだと思います。
中古でよく見かけるのもC35とC35 flashmaticです。
C35 flashmaticでは、さきほど話したストロボ関連の機能が、あらかじめ手持ちのストロボのガイドナンバーを設定しておいて、ワンタッチで切り替わるフラッシュマチックになりました。
なのですが、いまフィルムカメラで写真を撮ろうというときにストロボを使うなら他のカメラを使ったほうが手っ取り早いので、実際問題としては初代C35とC35 flashmaticは実用上差はないといって問題ないと思います。
あとは、C35 flashmaticは製造途中でコストダウンが行われて、金属製だった部品がプラスチック製に変更されたりもしていますね。
具体的には、このC35だと金属製のシャッターボタン部分のリングと電池蓋です。
(flashmaticでも前期のものは金属製らしいです)
文句なしの名機
ということでスペックや特徴を見てきましたが、このコニカC35はとても完成度が高く、文句なしの名機だと思っています。
もちろん、35mmフルフレームのカメラを小型化するというコンセプトはローライ35の影響下にあるものですが、操作方法などに癖の強さがあるローライ35よりもカメラとしての全体的なまとまりはよいと思います。
アルミ製の白い外装もとても美しいです。
ニコンの一眼レフと並んで、カメラというとこういう形をしているよね、というイメージを具現化したかのようなシンプルなスタイリングは、いまでもけっして古びていません。
もちろん、プログラム露出のみで細かい表現には向いていませんが、じゃ~に~という言葉の通り、小さいカメラを持ち出して旅行で写真を撮るといった用途なら完璧なんですよね。
コニカC35EFもそうですが、そういった割り切りがとてもうまいです。
原始的ながら内部には電気部品が使われていますが、カメラが金属の塊だった時代と、電気製品になっていく時代のちょうど真ん中で奇跡的にバランスしたのがコニカC35なのかもしれません。
HEXANON 38mm F2.8
そして。
このカメラはよく写ります。
搭載されているレンズはHEXANON 38mm F2.8(3群4枚)。
けっして派手なスペックではないですが、このあと10年以上にわたってコニカのコンパクトカメラに搭載され続けた名玉です。
このレンズについてですが、同時期の他社のコンパクトカメラは大口径レンズのついた機種ではないと見向きがされないのに、C35については大口径のC35FD以外も人気を保っているということが、完成度とスタイリング、写りの良さ、すべての面でレベルが高いカメラであることを物語っていると思います。
ただし、ひとつ問題があって、初期型はトリウムレンズが使われていて黄変します。
このC35も初期型なので黄変しています。
撮影した写真
では、ヘキサノン38mm F2.8の写りをみてみましょう。
使用フィルムはKodak GOLD 200です。
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はい。
コンパクトカメラなのに、こんなに写るんですよ。
驚きです。
C35で撮影するのはかなり久しぶりだったのですが、思っていた印象以上によく写るので驚いたところがあります。
日向で順光でも、日陰で絞りを開き気味でも、非常にレベルの高い写りをしてくれます。
3群4枚のテッサー型だったら写って当然と感じるかもしれませんが、そういったレンズのなかでもとくに写るレンズです。
38mm F2.8というスペックは一時期の日本製コンパクトカメラに多用されましたが、そのなかで比べてもヘキサノン38mm F2.8が一番ですね。
このように暗い場所で絞り開放に近くてもちゃんとピントが合っています。
距離計もちゃんと信頼できますよ。
このカメラが使われていたとき、多くのユーザーはフードをつけなかったと思われるのであえてフードをつけなかったのですが、逆光気味でもこういった感じでとてもいい感じで写ってくれます。
あと、下の写真もあえて撮ってみたのですが、
森の中でとても暗くて、露出計の指針がアンダーに貼り付くようなところでも、こんな感じで一応はなにが写っているかは判別できるんですよ。
これなら多分、部屋の中などでストロボを使わないで撮影しても、写りは悪いとしても一応記録を残すのに使えたのではないでしょうか。
写真が存在するのと存在しないのとでは大違いです。
このあたりは、一世代前のセレン露出計のEEカメラに比べて技術の進歩を感じます。
ストロボを使うということへのハードルが高かった時代、コニカというメーカーはしっかりと、写真というものについて考えていたんだなぁと思います。
とまあ、コニカC35とHEXANON 38mm F2.8は非常にレベルの高い写りをしてくれるカメラなのでした。
とても合理的な設計をしていて、全体的なつくりもよいので、さまざまな場所で整備されて売られていますが、その人気をけっして裏切ることのない、すぐれたカメラだと思います。
コニカC35の使い方
ここからはコニカC35の使い方を簡単に解説します。
電池を入れる
まず、電池を入れます。
電池はカメラの底の部分に入れます。
電池蓋を開けてボタン電池を入れます。
電池ですが、本来はMR44という水銀電池なのですが、環境問題で製造中止なので、形状が同じ、LR44かSR44というもので代用します。
電池ですが、MR44に比べてLR44やSR44は電圧が微妙に高いので感度設定で対応すると言われることが多いですが、わたしは誤差の範囲だと考えて、フィルム感度どおりに設定してしまっていますね。
フィルムを入れる
フィルムを入れます。
巻き戻しクランクを引っ張り上げて裏蓋を開けます。
左側のフィルム室にフィルムを入れて、巻き戻しクランクを戻します。
先端を引き出して、右側の軸に差し込みます。
巻き上げレバーを操作して、フィルムを一度巻き上げます。
フィルムの穴(パーフォレーション)とスプロケット(ギアのような部分)が噛み合っているか確認して、噛み合っているようなら裏蓋を閉めます。
巻き戻しクランクを少しだけ時計回りに回して、フィルムのたるみを取ります。
フィルムカウンターが1になるまで、巻き上げレバーを操作して巻き上げ、空シャッターを切ります。
このとき、巻き戻しクランクが連動して回っているか確認します。
(回っていない場合、フィルムの先端が軸に入っていない可能性があります)
感度を設定する
入れたフィルムに合わせて感度を設定します。
感度は、レンズのまわりのリングで設定します。
わたしは、ISO100なら100、ISO200なら200のようにフィルムのパッケージに記載された感度のまま設定してしまっています。
もし電池の電圧を意識して少し設定をずらす場合、
ISO100なら80
ISO200なら160
ISO400なら320
のように、一段階低い数値にするとよいでしょう。
撮影の前に
レンズの部分の根本にあるシャッターリングがAUTOになっているか確認しましょう。
もし、B(バルブ)やストロボ撮影時用の設定になっている場合は、リングの下部にあるロックボタンを押しながら回して、AUTOに合わせます。
さきほど空シャッターについて説明しましたが、フィルムカウンターが1になっていれば撮影可能な状態です。
ピントを合わせる
フィルムカウンターが1になったら撮影可能です。
撮影の流れですが、まず、ピントを合わせます。
ピントは連動距離計(レンジファインダー)を使って合わせます。
ファインダーを見ると、中央が黄色くなっていて、像が二重になっているのが見えます。
ピントリングを回すと像が左右に動きます。
これが一重になるように合わせると、そのときピントが合っている、ということになります。
シャッターを切る
ピントを合わせたらシャッターを切ります。
シャッターを切るときは、ほかに特別な設定は必要ありません。
押すだけでOKです。
AEロック
慣れてきたら、ファインダーの右側にある露出表示を活用してみましょう。
コニカC35のようなカメラでは、たとえば空が大きく入っていたり、逆光のときに、このように被写体が黒く写ってしまうことがあります。
そういうときは……
シャッターを切る前に、空や明るいものが入っていない場所にカメラを向けます。
するとファインダーの右の針が下の方に振れます。
この状態でシャッターボタンを、シャッターが切れないところまで半分くらい押します。
すると針の位置が固定されます。
あとは、シャッターボタンを半分押したまま、もともと撮影したかった方向にカメラを向けます。
この状態で撮影すればOKです。
こうすると、空の部分はとても明るく写る代わりに、メインの被写体は適切な明るさ(露出)で写ります。
このような操作は他にも活用可能です。
詳しくは「AEロック」や「露出補正」で検索してみてください。
巻き戻す
フィルムを1本分、24枚や27枚、36枚撮影し終わると、巻き上げレバーが重くなってそれ以上動かなくなります。
フィルムを巻き戻します。
巻き戻すには、まずカメラの底部にある巻き戻しボタンを押し込みます。
このボタンは押し込むとロックされます。
巻き戻しクランクを時計回りに回して巻き戻します。
フィルムの先端が巻き上げ軸から抜けると感触が軽くなります。
念のため少し余分に巻き戻してから、フィルムを入れたときと同じように裏蓋を開けて、フィルムを取り出します。
これで撮影の流れは完了です。
最後に、一度巻き上げて空シャッターを切っておきましょう。
巻き上げると巻き戻しボタンは元の位置に復帰します。
また、長期間使わないときは液漏れを防ぐために電池を取り出しておきましょう。
まとめ
ということでコニカC35のお話でした。
このカメラ、非常に完成度が高いです。
他のメーカーにも影響下にある機種が多いこともわかるように、間違いなく一時代をつくったカメラだと思います。
とても売れたカメラで、いまでもフィルムカメラに入門する人に人気が高いのでマニアックさはそこまでないのですが、それでもわたしにとって、ベストカメラはこの機種だと思っています。
シンプルで飽きのこない、写りのいいカメラ。
「おすすめ」という単語は手垢がついているので普段あんまり使わないようにしているのですが、文句なしにおすすめです。
ありがとうございました。
御部スクラでした。