みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は、日本の富士光学のスプリングカメラ。
セミライラ(SEMI LYRA)について話します。
Contents
Semi Lyra セミライラ改造品のスペック
レンズ:U.L.L.Anastigmat 7.5cm F4.5
シャッター:精工舎 LICHT B、T、1/25、1/50、1/100秒
巻き上げ:ノブ、赤窓式(赤窓は2つ)
カウンター:赤窓を使用
フォーカシング:前玉回転、目測
ファインダー:逆ガリレオ式
フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉
使用フィルム:120フィルム
発売年:1936年頃(ボディ)
製造元:富士光学(ボディ)
セミライラの改造品
今回の動画は短い小ネタです。
というのが、動画を作り始めてから、このセミライラについているシャッターとレンズが、おそらくオリジナルのものではないということがTwitterでのご指摘でわかったのですよね。
このカメラのレンズとシャッターについて
『クラシックカメラNo.8 スプリングカメラ』によれば、本来はレンズはテリオナーやゴールダーというものが付くはずなのですが、このカメラについているのはU.L.L. Anastigmatというものです。
またシャッターも異なり、精工舎のリヒトがついています。
Twitterでのご指摘によると、同じシャッターとレンズがついていたものとしては、プラウド ミリオンというものがあったようです。
camera-wiki.orgにもプラウド社のSemi Prux(セミ プラックス)(外部リンク)、栗林(のちのペトリ)のBaby Semi First(ベビーセミファースト)(外部リンク)というカメラに、同じ組み合わせのシャッターとレンズがついていたと書かれていますね。
Twitter:近衛騎兵様より以下のツリー
いや、ちょっとその辺が面倒でして。確かにULLレンズはプラウドにも付けられていましたが、これは光学メーカーの三好光学が生産して居た物です。同じくリヒトシャッターも時計メーカーの精工舎製で、夫々色々なカメラメーカーへ供給されて居ました。
— 近衞騎兵 (@ranzosha) July 14, 2022
なのですが、ちょうど第二次世界大戦の直前に作られたカメラということで、時期的にどういう経緯で移植されたのか、そもそも最初からついていたのか、よくわからない、というのが結論となります。
このセミライラについて
さて、ボディ本体のセミライラについてなのですが、ボディレリーズにはなっていないのでセミライラI型のようです。
『クラシックカメラ専科No.8 スプリングカメラ』では1937年となっていますが、当時の広告によると1936年発売ということのようです。
富士光学のカメラに本来ついているテリオナーや、自社製のFUJIKOシャッターについては、同社の66判のカメラ、ライラシックスを持っているのでそちらで紹介できればと思います。
さて、ここからの特徴紹介については、オリジナルのレンズとシャッターではないことを指摘いただく前に収録した内容になります。
本機の特徴
それではこのカメラの特徴を見ていきましょう。
このセミライラは、セミイコンタコピーのシンプルなスプリングカメラです。
いま売っている120フィルムが普通に使えます。
上にも書いた通り、シャッターは精工舎のLICHT(リヒト)で、B、T、1/25、1/50、1/100秒。
シャッター羽根が2枚でエバーセット式です。
チャージしなくてもなんどでも切れます。
シャッターのレリーズには特別な機構はなく、シャッター本体でレリーズします。
ボディレリーズにはなっていません。
レンズも先ほど触れたように、U.L.L.Anastigmat 7.5cm F4.5。3群3枚です。
ピント合わせは前玉回転です。
ファインダーは折り畳み式の、こういったカメラとしては普通の形態のものです。
裏蓋には赤窓があります。
時代を反映してか、赤窓には蓋はついていません。
今回、撮影したときにはパーマセルテープを貼って、光線漏れしないようにしました。
赤窓についてですが、初期のセミ判のカメラによくある、赤窓が2つある形式で、左右の赤窓を交互に使って、69判用の番号を見ながら巻き上げるようになっています。
さて、全体的にボロボロだったので、いつものように蛇腹を折って組み込んだのですが、光線漏れはしなかったものの、ちょっと素材がよくなくて、折り畳みがかなりキツくなってしまったんですよね……。
いままではラシャ紙を使っていたのですが、最近、神保町の竹尾 見本帖本店というところでもっと薄い紙の素材を買ってみたので、今度試してみたいと思います。
作例
それでは、撮影した写真を見てみましょう。
使用フィルムはFomapan 400です。
Parodinal 1:50 20℃ 11min
ということで、今回の写真については正直「写っています」という以上のことはないです。
シャッターが1/100秒までしかないのにISO400のフィルムしかなかったのも要因なのですが。
ただ、こうしてみると、当然ですが絞り込んでいるとしっかりと写っている感じがありますね。
今回、蛇腹の素材が分厚くてフィルム面のほうでピントが少しずれてしまい、少し調整したのですが、目測でならなんとかそれなりに撮れています。
日陰のところもあったので、絞りを開いた写真も撮ってみました。
草が並んで生えているところで、どこかにピントが合うようにして短距離で撮ってみましたが、普通に実用のためのカメラとしては及第点だといえるんじゃないでしょうかね。
当時は密着で焼いて鑑賞することも多かったでしょうし。
開いて撮影したカットにはケラレが生じているものもありました。
これは蛇腹が原因ではなさそうです。
どうしてケラレているのでしょうか。
まとめ
ということで、今回は、おそらくオリジナルの状態ではないのですがセミライラについての内容でした。
本当は今回、富士光学とはどういうメーカーなのか、ということについても話そうと思っていたのですが、それについてはライラシックスを動画にするときに作り直そうと思います。
このあたりのスプリングカメラは蛇腹がダメで撮れない場合が多いので値段が付かないことが多いのですが、地味に手元にあるのでいろいろと直して撮っていきたいと思っています。
富士光学関連についてはライラシックス、それから富士光学の直系ではないですが傍系の会社である大成光機のウェルミーシックス。
それにプラウド社もそうですし、このあたりのスプリングカメラについては興味があるので今後も調べていきたいと思っています。
ありがとうございました。
御部スクラでした。