ストロボ祭り1 National・Panasonicのストロボ紹介

ストロボ祭り1 National・Panasonicのストロボ紹介

【この記事は動画の台本をもとにしたものです】

みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。

最近、モノクロフィルムでストロボ直射がいいなーと思ってるんですよ。
昔はストロボを直であてた写真ってありふれたダサいものでしたけど、最近は写ルンですみたいなストロボの当て方が一周回って格好良くなっていますよね。

なのでちょっと、ストロボをもっと使おうと思って手元にあるものを棚卸ししてみました。

ということでストロボについての小ネタを2本に分けて話します。

この動画で取り上げるのは松下電気産業、National・Panasonicのストロボです。

松下のストロボについて

松下、いまのPanasonicは社外製品のストロボではメジャーなメーカーでした。
製造していたのは、もともとは閃光電球も作っていたウエスト電機というメーカーで、ストロボを製造していた末期の2006年にパナソニック フォト・ライティング(株)に改称[1]「パナソニック フォト・ライティング – … Continue reading、2010年の9月にストロボからは撤退しています[2] … Continue reading

ストロボのようなアクセサリーについては情報が少ないのですが、当時のカメラショーのカタログに広告が載っているので、それを参考にだいたいの発売時期やスペックについて話していきたいと思います。

ナショナルといえば! のストロボットが手元にないのでちょっと片手落ち感もあるのですが、見ていきましょう。

各ストロボの紹介

PE-10R

PE-10R

PE-10R

さて。

わたしが持っている松下、ナショナルのストロボのなかでたぶん一番古いのがこれです。
PE-10Rというモデルで、1968年のカメラショーの『カメラ総合カタログ Vol.30』p.79に掲載の広告によれば、

ガイドナンバー:24
調光:なし(フル発光のみ)
電源:付属の単3型ニッカド電池 x4(現代の単3型ニッケル水素電池でも発光)
価格:11,400円(ACコード・ニッカド電池付き) ケース500円
発売年:1968年頃

本来はニッカド電池が同梱されていたようですが、単3乾電池でも問題なく発光します

前後の年のカタログでは広告に掲載されていないので、1968年頃のものかと思います。

そう、こんなに古いストロボなのに一応ちゃんと発光するし、チャージランプも点灯するんですよ。
今回の動画で紹介するストロボ、チャージランプが死んでいるものが多いので驚きです。

機構としては脚の部分を引っ張り出すと縦横に回転することができます。

シューはホットシュー仕様になっていますが、わたしがもっているこれはホットシュー接点はダメなようです。
シンクロコードなら問題なく発光します。

オートパナ3000 PE-3000

オートパナ3000 PE-3000

オートパナ3000 PE-3000

続いてはこのグリップストロボです。

型番はPE-3000、商品名はオートパナ3000だったとのこと。

1973年のカメラショーの『カメラ総合カタログ VOL.46』p.101に広告が載っていて、それによると

ガイドナンバー:30(ワイドパネル使用時22)
調光:外光オート
オート使用範囲:0.5~5.5m(F5.6時)
電源:単3乾電池 x4
価格:本体16,810円 シンクロコード280円 ACコード370円 ブラケット420円 ワイドパネル100円 アルカリ単3電池520円 ケース1,000円 以上のセット19,500円
発売年:1973年頃

だったとのこと。

これ、こんな大きいのにガイドナンバー30しかないんですね……
グリップストロボは古すぎてさすがに使ったことがないのですが、電気製品の進歩ってすごいんだな、と感じます。

いまカットを割りましたけど、電池蓋がとても固くて、手袋を外して両手の親指で押さないと外れません。
1970年代、ユニバーサルデザインという考えはなかったんだなぁと感じます。

さて、名前にオートとあるように、このストロボは外光オートです。
外光オート、1970年代前半だと最新技術だったようで広告でも画期的なメカニズムとうたわれています。

わたしの手元にあるこれ、古いものの一応発光はしますし調光も働いているようです。
ただ、さすがに実用は厳しいのでこれは処分かなーと思っています。

オートパナ2801 PE-2801

オートパナ2801 PE-2801

オートパナ2801 PE-2801

ちょっとこれだけ広告が見つからないのですが、外光オートのストロボです。
型番が1つ前のPE-2800が1973年のカメラショーカタログに掲載されていること、外観がもう少しあとのデザインであることから、1974~1976年くらいのものじゃないかと思います。

ガイドナンバーも、型番が28から始まるほかのストロボがGN28なのでおそらく28でしょう。

ガイドナンバー:28?
調光:外光オート
電源:単3乾電池 x4
価格:不明
発売年:1974~1976年頃

特徴としてはこの年代の至って普通の、よくある形の外光オート式ストロボ、という感じですね。
一眼レフの上に付けたら当時のカメラ好きのスタイルを再現できると思います。

ジャンク箱に入っていても誰も拾わないようなものですが、電池を入れるとちゃんと発光するし外光オートもOK、チャージランプも点灯します。
液漏れさえしていなければ、こういうストロボって案外タフなんですね。

なんとなく愛着を感じる製品です。

オートパナ2003 PE-2003

オートパナ2003 PE-2003

オートパナ2003 PE-2003

これも同様に、外光オートの非常によくある形のストロボですね。

ガイドナンバー:20
調光:外光オート
電源:単3乾電池 x4
価格:本体7,800円 シンクロコード400円 ケース400円
発売年:1976年頃

1976年のカメラショーの『カメラ総合カタログVOL.56』p.95によると、型番の通りガイドナンバーは20。
ワイドパネルがなくても広角28mmまで対応しているとのことです。

これなのですが、電池蓋が完全に腐食していて、磨いても通電しないんですよね。
ちょっとこのPE-2003については完全に死んでしまっているようです。

PE-160C

PE-160C

PE-160C

とても小さなストロボです。
コンパクトカメラ用ですね。

発売年は不明なのですが、外観やプラスチックの感じからして1980年代前半くらいでしょうか?
ガイドナンバーは16だと思います。

ガイドナンバー:16
調光:外光オート
電源:単3乾電池 x2
価格:不明
発売年:1980年代前半~中頃

このPE-160Cというストロボ、光量は小さいですが非常に小型なので、ちょっとした撮影に使ってみたいなーと思うんですよね。
ただ問題があって、発光と外光オートは問題ないですがチャージランプが点灯しないんですよ。
これはさすがに問題があるので、なんとか修理したいと思っています。

Panasonic PE-28S

Panasonic PE-28S

Panasonic PE-28S

最後に一気に時代が下って、Panasonicブランドの外光オートストロボ、PE-28Sです。

発売年ですが、アサヒカメラの1998年7月号 新製品ニュースで紹介されているようなので、1998年のようですね。
[3]「朝日新聞出版 最新刊行物:雑誌:アサヒカメラ:アサヒカメラ 1998年7月号」(2022年10月25日閲覧)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=5512

ガイドナンバー:28(ワイドパネル使用時20)
調光:外光オート
電源:単3乾電池 x4
価格:16,000円(価格.com掲載、時期不明)[4]「価格.com – パナソニック PE-28S 価格比較」(2022年10月25日閲覧)https://kakaku.com/item/10603310062/
発売年:1998年

このPE-28Sという機種はパナソニックがストロボから撤退するまで製造されていて、マニア好みのいまでも地味に人気がある機種です。

コンパクトかつ上下のみですが角度が変更可能。
操作性もダイヤル式で非常に抜群、スレーブとしても使用できます。

ただ、わたしが持っているということは当然液漏れしたジャンクなんですよね……
ご覧の通り電池蓋側がボロボロで、研磨しないと通電しません。
※動画撮影後、電極を外してサビを取ってハンダメッキしてみました。

ハンダメッキしてみた

普通にいまでもちょっとした撮影に第一線で使えるストロボです。
修理したので今後わたしも使っていこうと思います。

動画にはない内容の追記 ストロボットという商品をわたしが知ったきっかけ

ナショナルの外光オートストロボに「ストロボット」と呼ばれる一連のシリーズがありました。

といってもわたしはリアルタイムで使ったことはなく、ジャンクで何度か買っただけなのですが。

ストロボットという商品を初めて知ったのは、カメラに興味を持ってすぐの頃、2chカメラ板の銀塩万歳(カメラ同人誌)スレからリンクされていた以下のページでした。

「ショボックスで遊ぼう」(Webarchive)
https://web.archive.org/web/20110705223827/http://www2.alice-novell.cc/sample/gin-man/syobox/index.html

「ショボックスであそぼう」というページで、ようはグリッドを自作していい感じのライティングをしてみようという内容。
そのショボックスに使われていたのがジャンクのストロボットなのでした。

このサイトいろいろといまでも参考になる記事があり、Webarchiveに残っているのでかなりおすすめです。

まとめ

松下のストロボについてのお話でした。

手元にあるストロボを棚卸しした感じでは、一番使えそうなのはもちろんPE-28S。
パイロットランプが直ればコンパクトカメラにつけて使いたいのはPE-160Cですね。

以下では、手元にあるナショナル・パナソニック以外のジャンクストロボを紹介しています。

ストロボ祭り2 SUNPAK・Metz・Kako・minette

そちらもぜひご覧ください。

ありがとうございました。
御部スクラでした。

脚注

脚注
1 「パナソニック フォト・ライティング – Wikipedia」(2022年10月25日閲覧)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8A%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF_%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
2 ナショナル・フォートより「ナショナル/パナソニックストロボ生産完了のお知らせ 2010.4.14(2015.10.1追記)」(ページ中段、2022年10月25日閲覧)https://www.nationalphoto.co.jp/2F/np_news_6a.htm
3 「朝日新聞出版 最新刊行物:雑誌:アサヒカメラ:アサヒカメラ 1998年7月号」(2022年10月25日閲覧)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=5512
4 「価格.com – パナソニック PE-28S 価格比較」(2022年10月25日閲覧)https://kakaku.com/item/10603310062/