皆さんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は同人誌の紹介です。
同人誌っていうと漫画の同人誌とか、本来の意味である文芸同人誌のイメージが強いですけど、
「評論系同人誌」というジャンルがあります。
そして、カメラというジャンルの評論系の同人誌もたくさん存在しているんです!
(Twitterのカメラ界隈の方には既知のこととは思いますが)
第一回目の同人誌紹介の動画、取り上げるのはこちら。
サークル 新日本現代光画さんの「佐藤評論」シリーズです!
Contents
佐藤評論シリーズ
佐藤評論シリーズは、カメラについて批評する同人誌で、2021年のはじめの時点で8冊目まで刊行されています。
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全体的なコンセプトとして、掘り下げる価値があるものの、これまで目を向けられてこなかったテーマ、
ようするに、商業誌で取り上げるにはお金につながらないので難しいが、研究の対象として特筆すべき価値がある内容を一貫して取り上げています。
さて、このYouTubeチャンネルで同人誌を紹介するなら、第一回目はこの佐藤評論シリーズにしようと決めていました。
その理由が「クオリティが突出して高い」ということ。
同人誌というのは基本的には趣味で作るものなのでクオリティは千差万別です。
そんななかで、この佐藤評論というシリーズは、研究書として成立しているんです。
もちろん他にもクオリティの高い本はありますが、趣味者の視点を超えて、研究者の視点、一歩高い場所から、カメラというものを評論している、と感じています。
実際問題として、クオリティの面でいうならば、20世紀だったらクラシックカメラ専科に普通に掲載されていたレベルといえるかと思います。
実際、評価は高く、日本カメラの2020年4月号には著者の佐藤成夫へのインタビューも掲載されています。
各巻紹介
少し駆け足気味になりますが、わたしが持っている各巻を紹介していきます。
佐藤評論3 幻のレンズを追って
中古カメラ店のジャンク市で購入した謎のレンズ、Nikkor T.C. 5cm F3.5がどんなレンズなのか探求するという内容です。
内容については、まるでミステリのように、資料と時代背景からこのレンズが生まれた理由を考察しており、カメラやレンズについてどうやって来歴を調べるか、その方法論としても参考になるかと思います。
後半には某プロレンズマニアによる、第二次大戦を挟む時期のライカ判用標準レンズの、チャート撮影による比較も掲載されており、こちらもレンズ評価の実例として参考になります。レンズのレビューって、いざ自分でやろうとしても、まずはじめに評価するための言葉を獲得しなくちゃいけないんですよね。本書のレンズレビューは、その言葉を与えてくれる、という感じです。
佐藤評論4 TLMの目指した未来と現在
……については、わたしが佐藤評論シリーズを知ったときには既に品切れで未読です。
一部だけチラ見したことがあったのですが、このパート4以降、文章の組み方や装幀が改善されていて非常に読みやすくなっています。
佐藤評論5 収差可変レンズの世界
歴史上いくつか販売されてきた、球面収差を可変させる機構を持つレンズについて、歴史と原理、そして実際の作例込みで解説した一冊です。
収差をオフにすることのできるソフトレンズの過去と未来について論じています。
この佐藤評論というシリーズの偉大なところは、ときには識者の手も借りながら、レンズの描写について、印象だけではなく定量的に評価するところまで踏み込んでいることです。
わたし自身、佐藤評論シリーズを読むまでは、レンズの収差というもの自体について学ぼうなどとは思いもしませんでした。
佐藤評論6 AF一眼レフとその時代
佐藤評論シリーズのなかでも最大のボリューム。
そして、研究の集大成ともいえる一冊です。
フィルムカメラのマニアが、クラシックカメラにばかり目を向けて、オートフォーカスのカメラを黙殺しているという問題意識。
そこを起点に、AF機を販売した各社が、どのようにして製品としてのオートフォーカス一眼レフを成熟させていったのか、ということを深く考察しています。
これまで、個別の機種についてのレビューはありましたし、個人Webサイトでは「プラカメだって生きている。ような気がする。」という先駆者がいましたが、
単なる個々の紹介ではなく、ひとまとまりの歴史の流れとして体系づけた、という点において、この佐藤評論6はカメラ史研究史上に残る一冊なのではないか、と思っています。
本書の後半には、同じくペンタックスとミノルタの操作系と設計思想を論じた佐藤評論1と2が付録として全ページ収録されています。
まあ、わたしがこのパート6を他の本よりも高く評価するのは、レンズよりもボディのメカへの興味が強いから、という理由が多分にあるんですけどね。
佐藤評論7 《GRの系譜》銀塩からデジタルへ
リコーGRシリーズについて論じた一冊です。
きっかけは、偶然筆者が手に入れた、表紙に写っているGR1の試作機。
パート3 幻のレンズを追ってと同様に、この試作機はなんなのかという探求を起点として、GR1というカメラがどうやって成立したのかを考察しています。
わたしがこの本を読んで最初に驚いたのは、GR1の28mmレンズって、広角だけどテレフォトタイプだということです。
テレフォトタイプは望遠レンズのことではなく、テレフォトの定義は単に焦点を前進させていることを指すにすぎない。
(逆にレトロフォーカスは焦点後退系)
光学について知っている方にとってはなにをいまさら、という感じかもしれませんが、わたしはこのあたりからレンズへの興味が湧いてきたかもしれません。
コムラーの最末期レンズなど、コラムも充実しています。
佐藤評論8 STFとそのフォロワーたち
著者の佐藤成夫さんはミノルタユーザーですが、ミノルタαにラインナップされた唯一無二のレンズ。
それが135mm F2.8[T4.5]STFです。
STFレンズはボケを追求したレンズです。
佐藤評論のパート5では、収差を利用してボケを追求した収差可変レンズを考察していましたが、
STFレンズでは、収差ではなく、光学的なフィルターによって、フォーカスが合っていない部分の描写を改善しています。
このパート8ではSTFレンズをはじめ、ボケを追求したレンズについて、思い入れたっぷりに考察しています。
まとめ
というわけで、同人誌の佐藤評論シリーズについて紹介してきました。
わたしはボディについては語れますが、レンズについては知識が足りないので、各巻を紹介するときにレンズについて扱ったものは言葉足らずな紹介になってしまったのですが、この動画をきっかけに、同人誌に興味を持っていただけたら嬉しいです。
佐藤評論シリーズは、ネット通販ではboothで購入が可能です。
この動画を作っている時点では、紙の書籍はパート3、パート7、パート8が。
電子版はパート6が販売されています。
カメラ関係の同人誌の中でもとくにクオリティが高いので、どの本もぜひおすすめしたいです。
とくに、紙の本は在庫限りなのであるうちに買ったほうがよいかと。
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これからも同人誌の紹介、していきたいと思うのでよろしくお願いします。
ありがとうございました。
御部スクラでした。