FLASH FUJICA Date フラッシュフジカデートの解説・作例

FLASH FUJICA Date フラッシュフジカデートの解説・作例

みなさんこんにちは!

フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。

今回は、富士フイルムのコンパクトカメラ。
Flash Fujica Dateについて話します。

Flash Fujica Date

Flash Fujica Dateの外観とスペック

Flash Fujica Date

Flash Fujica Date

Flash Fujica Date

Flash Fujica Date

Flash Fujica Date

レンズ:FUJINON 38mm F2.8
シャッター:プログラムシャッター
巻き上げ:レバー1回巻き上げ(分割可能)
露出計:レンズ上部のCdS受光素子による
カウンター:順算式、自動復元
フォーカシング:目測
電源:単3電池x2
ファインダー:採光式ブライトフレーム 逆ガリレオ式
フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1976年
発売時価格:-
製造元:富士写真フイルム

Flash Fujica Dateについて

フラッシュフジカデート

このカメラは1976年の発売。
『富士フイルムのあゆみ』によれば、海外では1976年9月、日本では1976年11月ということです。

これくらいの時期、ちょうどフラッシュ付きのコンパクトカメラというものをいろいろなメーカーが出していました。
きっかけは、1975年にコニカが出したC35EF、通称ピッカリコニカというカメラだったのですが、このフラッシュフジカ デートも、そういう流れで発売したカメラのひとつになります。

参考Webサイト(2021年4月17日閲覧):
富士フイルムのあゆみ 「コンパクトカメラの伸長と35mm一眼レフヘの進出」
ケンコー・トキナー公式サイト「コニカの歩み」より「コニカC35EF ピッカリコニカ」
ケンコー・トキナー公式Webサイト 「コニカの歩み 1970年代に発売された機種一覧」

※コニカC35EFはケンコー・トキナー公式Webサイト内の単体ページでは1974年の項目に表示されていますが、「コニカの歩み 1970年代に発売された機種一覧」では1975年3月とあるので1975年を採用しました。

Konica C35EF(ピッカリコニカ)と写真家 増山たづ子さんの話

フラッシュフジカデートで撮った写真

ではまず、撮影した写真を見ていきましょう。

使用フィルムは富士フイルム 業務用100です(FUJICOLOR 100と同等品)。

今回、カラーはストロボを光らせて夜間撮影した写真だけになってしまうのですけど、ごらんのとおり、なかなか格好良く写っていますね。

フラッシュフジカデートで撮った写真

フラッシュフジカデートで撮った写真

フラッシュフジカデートで撮った写真

いま、フィルムカメラをはじめたいっていう人が撮りたい写真、きっとこうやってストロボを光らせた写真だと思うんですよ。
写ルンですが流行ったのも、スマホやデジカメでストロボを使わない写真のほうが普通になって、一周回ってストロボが格好良くなったからだと思います。

写ルンですでも、フィルムカメラを使ったことがない人にとって新鮮な写真は撮れるんですけど、このフラッシュフジカデートは、画面のすみずみまで写りがよいのが優れているところといえるでしょう。
もちろん、画質がよいというのはローファイさを求める場合には必ずしもメリットではないのですけど……。

フラッシュフジカデートで撮った写真

フラッシュフジカデートで撮った写真

フラッシュフジカデートで撮った写真

あと今回の写真、被写体に人物がないので、本当のよさは伝わっていないと思います。
(じつは同じ日に友達を撮っているのですが、プライベートの写真なのでここには貼れません)

こういうストロボのついたカメラってコミュニケーションツールだと思うんですよね。
なのでこのフラッシュフジカデートも、友達や家族、恋人を撮ってこそ、性能を引き出すことができるかもしれません!

フラッシュフジカデートというカメラの機械的なところ

それでは機械的なところを見ていきましょう。

カメラ自体のつくりは、コンパクトカメラとしてとても標準的なものです。

巻き上げとシャッター

巻き上げはレバー巻き上げ。
地味に分割巻き上げも可能になっています。

シャッターは電子式のシャッターで、電池が入っていないと切れないです。
電池は単3乾電池2本です。

このシャッターなんですけど、じつは単速や2速ではなくてプログラムシャッターっぽいんですよね。
カメラの裏面の巻き上げレバーの下にスライドスイッチがあって、フィルム装填のときだけ左に寄せろと書いてあるんですが、その状態で、暗い場所でシャッターを切ると、絞りが開放になって1/4秒くらいのスローシャッターが切れるんですよ。

スライドスイッチ

実際に暗いところで三脚で撮ってみるとこんなふうになります。
モノクロなのでわかりにくいんですけど、雨の日で木が生い茂っている場所でとても暗いんですよね。
失敗写真なのですが、カモがゆっくり歩いているのがぶれているのでスローシャッターということがよくわかるかと思います。

スローシャッター

もちろん、ストロボ内蔵カメラなのでわざわざストロボを使わない意味はあんまりないんですけど、撮影できる写真の幅が広いのは偉いなあ、と思いました。

さて、このスライドスイッチを右に寄せると、暗いところではファインダー内に赤いランプが点灯してシャッターボタンが押せなくなります。

ストロボ警告

つまり、ストロボを使えということですね。
このカメラを使うユーザー層が手ブレで失敗しないために、暗所ではストロボを使えという警告を出すようにしたのでしょう。

ストロボ

さて、このカメラの最大の特徴であるストロボですが、
カメラの前側のスイッチでON-OFFを切り替えます。

スイッチでON-OFFを切り替え

スイッチを入れるとカメラの上の面にあるパイロットランプが緑色に光って、充電完了を表示します。

パイロットランプが緑色に光って、充電完了を表示

ただ、わたしの持っているフラッシュフジカデートはいまひとつ調子が悪いようで、たまにフラッシュが光らないことがありました。
電池の部分が接触不良ということもありそうです。

あと、スイッチの切り忘れには注意が必要です。

スイッチの切り忘れには注意が必要

コニカのC35EFでは、こういうふうにストロボがポップアップするのでわかりやすいのですが、

コニカC35EFのストロボポップアップ

このフラッシュフジカデートにはそういった機構はなくて、パイロットランプが光るのと、スイッチにオレンジ色の表示があるだけです。

ストロボがポップアップしない理由

ストロボがポップアップしない理由

ちなみに。
ストロボがポップアップしない理由なんですが、この前、カメラについての特許や実用新案を調べていて、そのわけがわかりました。
1974年にコニカがC35EF関連の実用新案を出願していて、1976年に認められているんですけど、その実用新案が「可動式ストロボ内蔵カメラ」で、まさにストロボのポップアップについての内容なんですよ。
なので、このフラッシュフジカデートはストロボのポップアップを避けたのだと思います。

実全昭51-024238

実全昭51-024238

参考・画像引用元:コニカ 実全昭51-024238 実願昭49-097026 1974/08/13
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-S51-024238/EB2D5407882440079021361AF4DC4FE8DBBFE13E9D748EC6456A82561C21EC57/23/ja

いっぽうで、コニカのストロボポップアップについての出願が1974年の8月13日なんですが、その直後に富士フイルムも、追従してストロボ内蔵カメラについての実用新案を出願しています。わたしが少し見た限りでは、フィルムメーカーである両社以外のカメラメーカーにそういう動きはなかったので、フジとコニカにとっては、次に来るのはストロボ内蔵カメラだとわかっていたけど、コニカが先んじたということなのだと思います。

ちょっとこのあたりは、知的財産権について素人なので的はずれな指摘かもしれないんですけどね。

デート機能

もうひとつ特徴的な機構が、デート機能です。
つまり、日付を写し込む機能ですね。
このように、ボディ上部に日付を設定するダイヤルがあって、機能をONにすると、設定した日付はファインダーで確認できます。

デート機能

設定した日付はファインダーで確認

ただ、年の表示が76年から92年までしかありません。
年だけ無表示にすることもできるので使えなくはないんですけど……。

わたしは今回撮影するとき、デート機能はオフで撮影したんですが、たまたまストロボが光らなかった失敗写真に、なぜか日付が写り込んでいました。
こういうふうに画面の下部に写し込まれます。

ちなみに、このフラッシュフジカデートの姉妹機種として、デート機能がない「フラッシュフジカ」というカメラもあります。
発売時期は同じで、海外が1976年9月、日本では1976年11月です。
機能もデート機能以外同じです。

フォーカシング(ピント合わせ)

フォーカシング

フォーカシングは目測式、ゾーンフォーカスです。

距離の数字と、人物や風景のアイコンが刻印されています。

セルフタイマー

このカメラにはセルフタイマーもついています。
今回、三脚で撮影するときはセルフタイマーをレリーズ代わりに使用しました。

セルフタイマー

じつはこのカメラのライバル、コニカC35EFには最初、セルフタイマーがついていませんでした。
いま写っているのは前期型で、セルフタイマーがありません。

ライバルのコニカC35EFにはセルフタイマーが当初なかった

ちょうどフラッシュフジカとフラッシュフジカデートが発売したのと同じ頃の1976年の10月にマイナーチェンジが行われてセルフタイマーが装備されています。

ストラップとケース

最後に、純正のストラップとキャップ、ケース。

このカメラが登場した1976年というのは、のちにコンパクトカメラで主流になる、レンズキャップの自動開閉とかキャップレスカメラというのはないのですが、ファミリーユースのカメラなので、専用のグッズの使いやすさは結構練り込まれています。

キャップにはプラスチックの一体成型でストラップ? がついていて、ストラップ金具にぴったり入るようになっています。

レンズキャップ

ストラップは半回転させると簡単に取り外しできるのですが、その理由はケースの出し入れが簡単にできるようにするためです。

このカメラについてきたケースは壊れているので今回使わなかったのですが、こちらもストラップ金具の部分を引っ掛けて簡単につけ外しできるようになっています。

ケースの着脱

富士フイルムのカメラ 関連書籍

まとめ

というわけで、フラッシュフジカデートについて見てきました。

どうしても、先発のコニカC35EF ピッカリコニカと比較してしまうんですが、これがなかなか、いいカメラなんですよ。

とくに、フラッシュ内臓とはちょっと矛盾しますが、シャッター速度が限られているコニカC35に比べてプログラムシャッターが内蔵されているのは凄いと思いました。
いっぽうで製品のデザインとして考えると、デート機能のないフラッシュフジカも含めて、ちょっと散らかっている印象があって、そのあたりがコニカC35EFに比べて、いままで人気がなかった理由なのかな、と思います。

いまフィルムカメラに興味を持っている方、ストロボ内臓のカメラに魅力を感じていることが多いと思うので、選択肢としてアリだと思います。
ただ、今回わたしが使ったフラッシュフジカはストロボがたまに光らないことがあったので、きちんと状態をチェックして買うのがおすすめです。

今回動画に登場したコニカC35EFも、今後きちんと整備して動画にするつもりです。

ありがとうございました。
御部スクラでした。