KONICA SII 触った人にしかわからない魅力のあるカメラ

KONICA SII 触った人にしかわからない魅力のあるカメラ

みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系Vtuberの御部スクラです。

今回は日本の小西六のフィルムカメラ、KONICA SIIについて話します。

KONICA SII

KONICA SIIの外観とスペック

KONICA SII

KONICA SII

KONICA SII

KONICA SII

レンズ:HEXANON 48mm F2
シャッター:COPAL-SVE B、1秒~1/500秒
巻き上げ:レバー巻き上げ(分割不可)
露出計:セレン受光素子、シャッターと絞りに連動
カウンター:順算式、自動復元
フォーカシング:連動距離計を内蔵
ファインダー:採光式ブライトフレーム、パララックス自動補正
フィルム装填:蝶番による裏蓋開閉
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1961年
発売時価格:23,300円
製造元:小西六写真工業

KONICA SIIについて

KONICA SII

『クラシックカメラ専科 No.10 小西六カメラの歴史』によると、コニカSIIが発売したのは1961年の6月ということです。
価格は23,300円でした。

参考文献:
『クラシックカメラ専科 No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.76
『昭和10~40年 広告にみる国産カメラの歴史』1994年、朝日新聞社、p.244(値段について、アサヒカメラ1961年9月号広告より)

名前からもわかるように、このカメラの前、1959年にコニカSというカメラが登場していて、それを小改良したのがこのSIIとなります。

コニカSからSIIで変わったことは、まずシャッターがCOPALのSVからSVEになったこと。
そして、ファインダーの中で露出計の指針が確認できるようになりました。

コニカSとSIIの外観の違い

では、そのほかにもどういう特徴があるのか見ていきます。

KONICA SIIのスペックと特徴

KONICA SIIはレンズが固定されたレンジファインダーカメラです。

シャッターはレンズシャッターで、さきほども触れましたがCOPAL-SVE。

COPAL-SVE

バルブと1秒から1/500秒までです。
1960年代初頭のコパルのシャッターということもあり、とても作りがよく動作も信頼できます。

巻き上げと巻き戻し

巻き上げはレバーの1回巻き上げ。
分割巻き上げはできません。

分割巻き上げ不可

巻き戻しはクランク式です。

セレンの連動露出計

セレンの連動露出計

前の機種のコニカSから受け継いだ特徴なのですが、セレン受光素子の露出計がついています。
受光部はボディ前面のこの部分で、プラスチックの枠がついています。
このプラの枠、作られた年代もあって根元の部分が割れていることも多いようです。

シャッターと絞りに連動しますが、このカメラはAEではないので露出は手動で設定する必要があります。

露出は手動で設定

シャッターと絞りのリングですが、リングの内側が可変抵抗になっていてそのまま摺動することで指針が動く仕組みになっています。

露出計の指針はボディの天面のほか、ファインダーの上部でも確認することができます。

ファインダー内の露出計表示

コニカS系のカメラは不人気ですが……

さて。

コニカの35mmのレンズシャッターカメラというと、以前取り上げたコニカ(1型)からIIIMにかけての、最初の頃につくられた高級路線の機種の人気が高いと思うんです。

Konica (1型) 精密であることの凄さを教えてくれるカメラ

つくりも見た目のスタイリングもよいし、IIIMをのぞいて露出計がそもそもついていないので露出計不動になることもない。
ということで、見た目が大きく変わったS型以降のカメラはそれまでの機種に比べて人気ががくんと落ちるという印象があるんですよ。

実際わたしも、SやSII、SIIIのことはずっと無視していました。
下手をするとジャンクで数百円で買えることも多いと思います。

ところが。
このコニカSIIを初めて真面目に触ってみて驚いたんです。

あれ?
じつはこのカメラ、ものすごく作りのいいカメラなんじゃないか?

そう感じたのは、まずファインダーを覗いたときです。

生きているファインダー

このカメラのファインダーを覗くとこんな感じです。

ピントリングを回すと、このとおり。
なんと、ブライトフレームが動いて、パララックスと撮影範囲が変化するんですよ。

パララックスと撮影範囲が変化

パララックスと撮影範囲が変化

これがコニカお得意の「生きているファインダー」です。
生きているファインダーというと初期のコニカの集大成ともいえるコニカIIIAとIIIMのウリだったことが有名ですが、SやSII、SIIIにもついていたんですね。

調べればすぐにわかることなのでしょうが、これまで、コニカS系のカメラに興味を持ってこなかったので、まったく気がつきませんでした。

Hexanon 48mm F2

しかもついているレンズもすごいんです。

Hexanon 48mm F2

Hexanonの48mm F2。
これはコニカIIAやIII型、IIIAやIIIMについているのと同じレンズです。

これも今回触るまで完全にスルーしていました。

コニカIIIAやIIIMっていまでも整備されて売られるような値段のつくカメラという認識だったので、それと同じレンズがこうやって、一見するとファミリー向けの見た目でジャンク箱行きになるようなカメラについているなんて……。

はっきりいって驚きました。

作りがよい

しかも、そうやって見直してみると、このカメラ、コニカのカメラというだけあって作りが非常に良いんですよね。
クロームメッキの外装部品の精度は抜群だし、フィルムの開口部の中は一段凹んでいて、その奥には一段ですが内面反射防止のためのバッフルもあります。

内面反射防止のためのバッフル

一つ前の機種のコニカSについて『クラシックカメラ専科 No.10 小西六カメラの歴史』には「徹底した合理化設計で、デザインは軽快、新しい価格帯でユーザーの期待に沿うよう企画された」と書いてあるのですが、合理化だなんてそんな、更にあとの時代のカメラを知っている未来人としては、十分以上にお金の掛かりすぎたカメラだと感じます。

ただ、ですね。
コニカSでデザインが大きく変わったときのコンセプトが「若い魅力」だったらしいのですが、当時最先端だったそのスタイリングは陳腐化するのも早かったのだと思います。

大きなセレンの受光素子、しかもレンズの周りのサークルアイではないものがついたカメラって、1960年代前半くらいの短い期間特有のものなんですよね。

わたしもじつは、セレンの露出計がついたカメラは不要な部品がついていて美しくないと感じてずっとスルーしていました。
この数年でセレンのカメラに触るようになってからは、なんてもったいないことをしていたんだ、と後悔しているのですけどね。

セレンのカメラを食わず嫌いするのはもったいない!

「若い魅力」について参考文献:コニカの歩み 1959 | コニカミノルタ製品アフターサービス – 株式会社ケンコー・トキナー(2021年12月3日閲覧)
https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/history/konica/1950/1959.html

コニカの魅力を手頃に味わえるお得なカメラ

というところでいうと、このコニカSIIなどコニカS系の機種の魅力は、生きているファインダーやヘキサノンレンズの魅力が手頃に体感できるということなのだと思います。

もちろん、カメラ自体がきちんと整備されていないことには写真は撮れないので、整備済みのものどうしで比較したら、コニカIII型との価格差は少なくなってしまうという難点はあるんですけどね……。

コニカIII型に比べて勝っている点があるとすれば、レバー巻き上げ、クランク巻き戻しで、ライトバリューのような機構がついていない素直な操作性、倍数系列のシャッターなど、全体的な操作性に奇をてらったところがなく、使い方に迷うところがない、ということだと思います。

コニカSIIで撮った写真

それでは、撮影した写真を見ていきます。

使用フィルムはKodak GOLD 200です。

gold200

はい。

コニカSIIで撮った写真

さすがコニカのヘキサノンです。
非常に写りがよくて驚きました。

コニカSIIで撮った写真

夕方の西日ということで、ある程度ドラマチックに写ってしまうというのはあるのですが、それを差し引いても本当によく写るレンズです。

多少画面に明るい部分があるくらいではフレアっぽくなることも全然ありませんし、逆光で撮影してみてもこのように、フレアは生じるもののきちんとディテールが確認できる程度だけです。

コニカSIIで撮った写真

このあたりの写真は日陰での撮影で絞りを開き気味ですが、全体的な解像感もとてもよいし、拡大してもしっかりとディテールがわかります。

コニカSIIで撮った写真

こうやってヘキサノンの描写をというのを見ると、1990年代のクラシックカメラブームのときにヘキサノンやヘキサーレンズが騒がれて、Konica Hexarとか交換レンズのヘキサノンが登場した理由というのがよくわかりますね。

コニカSIIで撮った写真

この水たまりの写真とかも、影の方向を見るとわかりますがどちらかといえば太陽の方を向いて撮影していますが、1950年代、60年代のカメラでも機種によってはボヤボヤになってしまうと思います。

コニカSIIで撮った写真

こういう写真、普通に撮っているように見えますが、レンズとボディに一定以上の品質がないと撮ることができないんですよね。

コニカSIIとHEXANONの48mm F2。
さすがはコニカとヘキサノンというブランド名に恥じない、とても性能の高いボディとレンズだと思います。

コニカSIIで撮った写真

小西六のフード コニフード

コニフード

今回撮影したときは、小西六の出していたレンズフードのKONIHOODをつけて撮影しました。
このフード、けっこう以前から持っていたのですがなかなか出番がなかったんですよね。
今回やっと純正の組み合わせで使うことができてよかったです。

フードもさすがコニカといえる高品質な仕上げです。
サイズはフィルター径49mm用です。

コニカのフードはコニフード バナナのナナチはバナナナチ

そう、コニカSIIはフィルター径が49mmでけっこう大きいんですよね。
この年代のレンズシャッター機ならではの特徴です。

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まとめ

ということで、コニカSIIのお話でした。

このカメラの仕上げと作りのよさ、レンズの写りについては、もう文句をつけるところがありません。
ですが、残念ながら見た目のスタイリングで大きく損をしてしまっているカメラなのだと思います。

実際にこうやって触ってみるととてもよいカメラだと感じて思い入れが生まれたのですが、例えばカメラ店のガラスケースの中にコニカS系の機種とコニカIII型が並んでいたら、今現在フィルムカメラに興味を持つ層への訴求力はIII型のほうが高そうです。
もう少し後のC35も見た目がシンプルで工業デザインとして見ても非常に優れているので、間に挟まれたこれくらいの年代の機種がどうしても不人気になってしまうのは仕方がないのでしょうね。

でも。
それでも触ってみると作りがよくて、性能も優れている。
しかも「生きているファインダー」のようにのちにオミットされてしまった機能もついているんです。
触った人にしかわからない魅力のあるカメラ、それがKonica S系の機種なのだと思います。

というところで話を締めたいと思います。
ありがとうございました。
御部スクラでした。