みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回紹介するフィルムカメラはこれ。
Konica、いわゆるコニカ 1型です。
最初に結論から話すと、コニカ 1型は精度の大切さ。
精密であることの凄さを教えてくれるカメラです。
カメラ製造の基礎体力の高さこそがその後のコニカのカメラを培っていった。
今回は、そんなことについて話したいと思います。
Contents
Konica 1型 外観とスペック
レンズ:Hexar 50mm F3.5(のちにF2.8つきも登場)
シャッター:Konirapid-S T、B、1秒~1/500秒(初期にはKonirapid付もあり)
巻き上げ:ノブ巻き上げ、セルフコッキングではない、多重露光防止なし
カウンター:ノブ基部、順算式、手動設定
フォーカシング:一眼式の連動距離計
フィルム装填:ちょうつがいによる裏蓋開閉
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:Konica @ wikiの記事を参照してください
製造元:小西六写真工業
参考文献:『クラシックカメラ専科 No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.76
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
ただしコニカ1型についてはKonica @ Wikiの記事が非常に詳しく、内容もアップデートされているのでまずはそちらを見ることをおすすめします。
コニカ 1型の概要
このコニカ1型は、小西六、のちにコニカという名前になる会社が最初に市販した35mmのフィルムカメラです。
ざっくりとした概要
前身としてRubiconというX線撮影用のカメラと、同じくRubiconという名前の、戦後すぐ米軍への見返り物資として製造された連動距離計つきの35mmフィルムカメラがありました。
↑図版引用元:横倉誠次郎 『エックス線間接撮影 1』1943、南江堂、p.17(次世代デジタルライブラリーより)
そして、そのRubiconを改称したのが最初の「Konica」というカメラということになります。
このあたりの事情については、おそらく世界一、小西六・コニカのカメラについて詳しいと思われるWebサイト、Konica @ wikiに詳細に書かれています。
この動画の以降の内容でも主な参考文献としていますが、詳細な歴史や考察についてはKonica @ Wikiで述べられているので、今回は、わたしが実際に触って感じた印象を中心に話していきたいと思います。
この記事全体の参考文献
Konica @ Wikiより「コニカ 1型カメラについて」(2021年7月24日閲覧)
https://w.atwiki.jp/konica/pages/16.html
名称について
※Konica @ wikiでは「コニカ」と「コニカ 1型」の名称を区別し、理由についても述べられていますが、
今回のタイトル等では検索性の都合で「コニカ1型」と記載しています。
わたしのコニカ1型
わたしの持っているコニカ1型は、ボディのシリアルが1万3千番台。
レンズはHexarの50mm F3.5で、レンズのシリアルは1万5千番台です。
シャッターはKONIRAPID-Sが使われていて、シンクロ接点はありません。
コニカ 1型の機構的な特徴
さて、コニカ 1型というカメラは、単純に機構的な面だけを見れば非常にシンプルなカメラです。
連動距離計を内蔵し、フレーミングと距離計が1つになった一眼式のファインダーこそ装備していますが、
巻き上げとシャッターチャージは連動していません。
また、巻き上げも1枚ごとの巻き止めこそついていますが、多重露光を防止する機能はついていないので、撮影せず巻き上げたり、二重に写してしまったりする可能性が普通にあります。
また、レリーズはシャッター本体で行います。
多くの35mmフィルムカメラのようにボディ本体にはないので、シャッターを切るとき少し工夫が必要です。
機能だけみれば、35mmフィルムを使っているだけでスプリングカメラとそう違いはありません。
でも、コニカ 1型の凄さはそういうカタログスペックでは見えてこないんです。
コニカ 1型の凄さ:精密さ
このコニカ 1型をカメラ店のジャンクコーナーで手にしたとき、本当に驚きました。
なにがって、その品質です。
手に持った感触がしっかりしているのはもちろんですが、
巻き上げ。
ヘリコイド。
レンズの沈胴部分。
動作する各部がガタなく、それでいて動くのに最小限必要な隙間をもって、非常に高い精度で作り上げられているんですね。
しかも、おそらくこのコニカ1型は1950年くらいのものだと思うのですが、メッキの質も非常に高いです。
トップカバーのクロームメッキもそうですし、ノブも美しく輝いています。
ノブといえばローレット加工の品質も最高です。
コマ間も完璧に揃っている
動画だと精度や品質というのは伝えにくいので、目で見てわかるもので示すと、
これは今回、コニカ 1型で撮影したフィルムです。
現像して驚いたのは、画面サイズが36x24mmより少し大きくて、コマ間がけっこう狭いんですね。
でも、さらに驚いたのは、こんなに狭いコマ間なのにきちんと揃っているんですよ。
精度・品質はとても重要
正直、コニカ 1型のことをなめていました。
このあとに出たコニカ 2型や3型はともかく、多重露光防止やボディレリーズさえもついていないということで、いままで食指が伸びるカメラではありませんでした。
でも、そういう機能以前の問題として、カメラには精度、品質というのが必要なんですよね。
いわれてみれば当たり前の話です。
このチャンネルでは、精密感のあるカメラというとコダックのレチナとか、東京光学のトプコン35を紹介してきましたが、そういうカメラにはもともと高級な機種という印象をもっていたので、精密さに特別なほどに驚くということはありませんでした。
今回のコニカ 1型は、カメラ自体の機構が非常にシンプルだからこそ、品質の高さがより際立ったのかもしれません。
小西六は戦前から続く伝統あるメーカーですが、こういう基礎体力があったからこそ、時代をつくるカメラを生み出していけたのですね。
※もちろん、Konica 1型の前身、RubiconはX線撮影カメラ=徴兵検査で用いられる軍用カメラだったので、精度が高いのにはそういう事情もあるわけですが……
Konica 1型で撮影した写真
では、Konica 1型で撮影した写真を見ていきましょう。
使用フィルムはADOX Silvermax。
Parodinal 1:25希釈、20℃、8分で現像しました。
いやー、よく写っています。
わたしがモノクロのほうが得意ということもあるのですが、フィルム1本しか撮っていないのによいカットが多いです。
撮影した日は梅雨の合間で、一瞬晴れたときを狙って撮ったのですが、絞りは開放寄りのことが多いのになかなかの写りを見せています。
距離計も的確にピントを合わせてくれています。
ジャンクで購入したので絞り前後のレンズには少々コーティングの劣化もあったのですが、露骨に逆光のカットをのぞけば全然気になりません。
KonicaのHexarというレンズは、いわゆる名玉という言葉で表されることも多いですが、よいレンズって当たり前ですがよく写りますね。
そして、よいレンズでしっかりピントの合った写真を撮るためには、ボディ本体の精度も必須。
わたしはこれまで、素性のあまり良くないカメラを無理に使おうとして甘い写真を量産したことも少なくないので、ちょっと反省しています。
ボディレリーズがないのでちょっと不便ではありますが、このコニカ 1型、これからも使っていきたいと思っています。
今回はモノクロだけですが、ぜひカラーでも撮りたいです!
Konica 1型のTips
最後にちょっとした豆知識です。
レンズキャップの代用
わたしが買ったコニカ1型は付属品が一切ありませんでした。
困ったのがレンズキャップだったのですが、合うものを探した結果、
なんと!
以前このチャンネルで紹介した、フィルムケースっぽい塗料ボトル、
WAVEの「押すだけフタ塗料ボトル 大」のフタが合うことがわかりました!
ご覧のように、蓋の外側のほうをひっくり返すと、Konica 1型のレンズにぴったりはまるんです。
蓋のほうが微妙に小さくて弾力があるので、しっかりと保持してくれます。
Konica @ wikiによると純正のキャップは内径32mmのカブセ式ということなので、同じくらいのサイズならほかのカメラにも使えるかもしれないですね。
WAVEの塗料ボトルですが、フィルムケースと同じ大きさの「小」ではなく、一回り大きい「大」のほうなのでご注意ください。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
関連動画
ケースの代用
それから、コニカ 1型にはストラップ金具がありません。
ケースがないと首から下げることができないのですが、今回は、三脚ネジのついていない、バルナックライカ型カメラ用の、太ネジのケースを流用して持ち歩きました。
ケース自体の個体差にもよるのですが、太ネジ用だとギリギリ、コニカ 1型の三脚穴を使ってケースを固定することができました。
ただこちらはどのケースでも合うとは限らないので話半分、という感じでお聞きください。
まとめ
というわけで、コニカ 1型のお話でした。
いやー、今回は本当にいいカメラに出会うことができました。
昔からのカメラ愛好家からしたら、コニカの品質がよいのは当然の話なのだろうとは思うのですが、こういうことって、実際に自分の手で触ってみないとわからないですね。
精密なカメラ、本当によいものです。
ぜひ、コニカ2型や3型の出物があったら買ってみたいと思います!
ありがとうございました。
御部スクラでした。