みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回はPENTAX(旭光学)のフィルムカメラ、PENTAX Z-10について話します。
Contents
PENTAX Z-10のスペック
※外観写真は破損箇所があります(本文参照)
レンズマウント:PENTAX KAF2マウント
シャッター:縦走りフォーカルプレーンシャッター B、30秒~1/2000秒(マニュアル時は低速は1秒まで)、シンクロ速度1/100秒
巻き上げ:自動
露出計:TTL開放 SPD受光素子による6分割測光およびスポット測光
カウンター:液晶に表示
フォーカシング:TTL位相差検出方式(AFエリアは1点)シングルAF・動体予測AF
電源:2CR5 x1個
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1991年
発売時価格:52,000円(ボディ、おそらく税別)
製造元:旭光学
参考文献:『クラシックカメラ専科 No.30 ペンタックスのすべて』1994年、朝日ソノラマ、p.30
PENTAX Z-10について
PENTAX Z-10は1991年の6月発売。
ボディの価格は5万2000円だったということです。
[1]『クラシックカメラ専科 No.30 ペンタックスのすべて』1994年、朝日ソノラマ、p.30
ペンタックスが1990年代の前半に展開した、いわゆるZシリーズで最初に発売したカメラで、上位機種のZ-1やZ-5の下のグレードになりますね。
実家のカメラ
さて、以前このチャンネルではわたしのおばあちゃんが使っていたカメラ、Mamiya 35 Auto Deluxe IIを紹介しましたが、
じつはこのカメラも、実家にあったものです。
ボディもレンズもずっと実家で使われていて、わたし自身かなり使いました。
カメラについてなにも知らなかった頃にかなりめちゃくちゃな使い方をしたので、相当ボロボロです。
たとえば、ペンタプリズムの上にあるストロボの部分が欠けていたりとか、
レンズもこのように前玉が傷だらけです。
フィルター枠も凹んでいて、レンズキャップの同じ部分が欠けていたりします。
旅行で雨の中使ったり、山の中でガンガン使ったりしたのですが、よく耐えてくれたと思います。
いまとなってはもちろんひどい使い方だと思いますけど、カメラについて詳しくないとこんなものなんですよね……。
装着されているレンズ
レンズはPENTAX F-ZOOM 28-80mm F3.5-4.5というもので、Z-10より一世代前のFレンズです(SMCではない廉価ラインの製品)。
たぶんわたしの親は安売りでセットで買ったんでしょうね。
PENTAX Z-10の性能と特徴
さて、それではこのカメラの性能面を見ていきましょう。
スペックはとても普通
スペック的には当時としては非常に一般的なものです。
シャッター速度はバルブと30秒から1/2000秒、シンクロ速度は1/100秒とのことです。
ストロボを内蔵していて、ペンタ部のボタンで手動でポップアップします。
暗い場所で自動でポップアップする機能はありません。
ストロボのガイドナンバーは12ということです。
撮影モード
撮影モードはプログラムとマニュアルのみです。
といっても、カメラについてなにも知らない頃は、プログラムだけで使っていたんですけどね。
モードの切り替えに特別なボタンやスイッチはなくて、レンズの絞りリングがAの位置にあるときはプログラムAEに。
それ以外の絞り値のときはマニュアル露出になります。
絞りリングにA位置がないレンズのときはマニュアル露出のみとなります。
わたしが最初に写真に興味を持ったときは、実家にあったこのカメラに、中古で買った50mmのレンズを付けてしばらくマニュアルで撮影していました。
その流れで、レンズがそのまま使えるPENTAX LXを買うことになったんですよね。
AF性能は正直イマイチ
レンズマウントはKAF2マウントです。
ということで、オートフォーカスです。
オートフォーカスの性能ですが、いま思うと、はっきりいってあまりよくありません。
カメラに興味を持つ前はこの性能が普通だと思っていたのですが、同じ時期のCanonやMINOLTAのカメラの性能を知ったいまとなっては、他のメーカーよりも明らかに劣ると思います。
実際、カメラについて何も知らない頃でさえ、ピントが合わないときはマウントの脇にあるスイッチでMFに切り替えて、手動でピントを合わせる操作をしていました。
少しコントラストが低い被写体だとすぐにAFが迷います。
わたしはいまでも、動く被写体を撮るときに動態予測AFの使い方がわからずに置きピンしてしまうのですが、明らかに実家にあったカメラがこれだったのが原因なんですよね。
良くも悪くも、このカメラはわたしにとってのカメラの基準を作った機種なのだと思います……。
※『クラシックカメラ専科 No.30 ペンタックスのすべて』によれば動体予測AFはついているらしいです。
AFポイントは中央一点のみです。
マニュアルフォーカスのときはフォーカスエイドが働いて、ピントが合うと合焦表示が点灯して、ピっと音が鳴ります。
ファインダー表示
ファインダーの表示は非常にシンプルです。
プログラムAEのときはファインダー右側にAF合焦表示とストロボ警告が。
マニュアル露出のときは+ 〇 -の三点表示で露出が表示されます。
シャッター速度や絞りの表示はありません。
シャッター速度は、ペンタプリズム上部の液晶に表示されます。
操作系
操作なのですが、プログラムAEのときは完全に押すだけです。
フィルム感度はDXコードですし、巻き上げも巻き戻しも自動なのでとくに迷う部分はありません。
マニュアル露出のときは、シャッターボタンの手前にあるプラスマイナスのボタンでシャッター速度が手動設定できます。
(露出補正もこのボタンを使用)
PENTAX ME Superから脈々と続く操作系ですね。
これ、写真に興味を持ち始めてマニュアル露出で撮り始めた頃、はっきりいって使いやすいとは思えませんでした。
LXを買ったとき、ダイヤルの方がずっと使いやすいと感じました。
PENTAX自身、このZシリーズのあとMZシリーズではダイヤル操作系に回帰するので、やっぱりこのボタン操作はよくなかったんでしょうね。
LXは絞り優先がついたカメラですが、絞り優先ってなんて使いやすいんだと感動しました。
なんでZ-10のほうが新しいのに絞り優先がないんだとがっかりした思いでした。
ハイパーマニュアル
……ところが。
当時のわたしが知らなかった操作方法が他にあったんです。
そう、ハイパーマニュアルです。
カメラを構えたとき、右手側の親指のところに白いボタンがあります。
このボタンは「ハイパーボタン」というらしいのですが、このボタンを押すことでハイパーマニュアル機能が使えます。
使い方は簡単で、マニュアル露出のとき、絞りを設定したあとにハイパーボタンを押すと、シャッター速度が自動で適正露出に設定される、というものです。
ようするに、絞り優先AEの挙動そのものですね。
この機能を知っていれば、当時のわたしは何度もプラスマイナスのボタンを押す必要がなかったのですが、これ、取扱説明書を見ないと気がつかないですね……。
いまとなってはカメラに無駄に詳しくなってしまいましたが、初心者が気が付くのは無理でした。
ちなみにペンタックスのハイパー操作系というのは他にも搭載機種があるのですが、各機種とも微妙にその操作は違うようです。
(上の画像はZ-1のハイパープログラムの例)
このZ-10の操作は、Z-10特有のもののようですね。
実用しての評価
さて。
それでは、このPENTAX Z-10というカメラの評価なのですが、もしわたしがカメラに興味を持たず実家にあるカメラというだけで終わっていたら、単なる普通のカメラ、という感想がすべてだったと思います。
でも、なまじカメラや写真に興味を持ってしまったばっかりに、酷評するポイントをいくつも見つけてしまいました。
フォーカスエイドがうるさい
使っていた当時気になった最大のポイント。
それが、AFやフォーカスエイドの合焦音が消せないことです。
AFのときはまだよいのですが、MFのとき、ピントが合うたびにピッ、ピッと鳴るんですよね。
しかも音が大きいです。
不必要に鳴るし消せないので、正直非常に耳障りでした。
このカメラを使わなくなった最大の理由かもしれません。
AF性能がとても低い
あとは、さっきも話したオートフォーカスの性能ですね。
このカメラしか知らなかったうちはよかったのですが、他のメーカーの同時期の性能を知ってしまうと、正直厳しいです。
カメラに興味を持ったときにマニュアルフォーカスの古いカメラに行った理由のひとつに、オートフォーカスは信用できないと刷り込まれていたことがあったので、わたしのカメラに対するスタンスは、たまたま実家にあったこのカメラが良くも悪くも決めたのだと思います。
もし実家のカメラがEOS Kissだったら、まったく別の写真人生を歩んでいたかもしれません。
長く使っていたカメラなので辛口になってしまいましたが、もちろん、普通に使う分には全然不足はありません。
わたしの親がこのカメラで撮った写真は普通によく写っていましたし、写真に興味を持つ前の子供の頃のわたしにも簡単に使えました。
でも、ちょっとでも写真に興味を持つと途端に不便に感じる。
PENTAX Z-10はそんなカメラだと思います。
パワーズーム
さて、このPENTAX Z-10はKAF2マウントということでパワーズームが使えます。
実家にあったレンズはFレンズだったのでパワーズームは使ったことがないのですが、ジャンクのFAズームレンズがあるので、試しに取り付けてみました。
するとこのように、こんなにボロボロなカメラなのに、ちゃんとパワーズームが動きます(様子は動画を参照)。
しかも、電源を切るとフォーカスが無限遠に、ズームも全長が最短の位置まで収納されるんですよね。
使っていた当時、レンズをいちいち最短の位置まで収納していたので、この機能便利だなーと思います。
実家にこのカメラが来たの、下手をすると30年くらい前だと思うのですが、30年の時を超えて、初めてパワーズームを体験してしまったのでした。
不具合
最後に作例を出したいのですが、じつは今回、作例をきちんと撮れませんでした。
このPENTAX Z-10には巻き上げ関連のギアが割れる不具合があるらしく、今回、無理を承知でフィルムを通してみたのですが、何枚か巻き上げたところでそれ以上フィルムを巻き上げることも、巻き戻すこともできなくなってしまったのですよね。
空打ちなら問題なく動くのですが、残念です。
ダークバッグで取り出して何枚かは見ることができたので、まずそれから写していきます。
作例
では作例です。
新規撮影した作例
新規撮影した作例。
使用フィルムは富士フイルムのFUJICOLOR 100です。
まあこのように、普通に写っているといえば写っています。
実家にあったカメラとレンズの組み合わせなので、わたしにとってとくに驚くことのない写りです。
いたって普通の標準ズームレンズですが、1990年代風の写りをしているといえば、そうなのでしょうね。
このカット、乗っている電車と右下の自動車がほぼ同じ速度だったみたいで、意図せずに流し撮りのようになっていて面白いです。
ということで、無事撮影できた写真はこれで終わりです。
フィルムカメラが現役の頃に撮った写真
続いては、わたしがこのカメラで撮った写真を出していきます。
どれも使用フィルムは不明で、カラーネガでの撮影です。
世代がばれるのですが、奈良です。
修学旅行ですね。
当時同級生はもうデジタルカメラを持ってきている人もいたのですが、実家はまだフィルムカメラしかなかったので、このZ-10を持っていきました。
ただ、こんなでかいカメラを持ってきた人は他にいなかったので、すでにカメラマニアの片鱗はあったのかもしれません。
近鉄の奈良駅から京都に行きました。
これはほかのカットを見ると大覚寺らしいです。
こっちは完全に金閣寺です。
曇りの日だと、フィルムカメラって基本的にこんなもんなんですよね。
でも晴れている日だとけっこうよく写ります。
これはたぶん三条大橋を撮ったんでしょうね。
28-80mmのこのレンズ、広角側だと歪曲がかなりあるのがわかります。
修学旅行でよくあるやつです。
たぶん清水寺の参道です。
ということで帰りの京都駅です。
まあ、こういう感じで、全然普通に写るカメラだったのでした。
この写真を撮った時点で買ってからけっこう経っているのですが普通に使えたので、耐久性も全然あるカメラだったといえると思います。
写真を教えてくれたカメラ
ということで今回は、PENTAX Z-10の紹介でした。
実家のカメラということでかなり辛口になってしまいましたけど、このチャンネルで紹介したカメラの中では唯一の「ガチ」で使い込んだ機種なのでそういう評価になってしまったところはあります。
なんだかんだで、写真を撮ることを最初に教えてくれたカメラ、ということになるのでしょうね。
ありがとうございました。
御部スクラでした。
脚注
↑1 | 『クラシックカメラ専科 No.30 ペンタックスのすべて』1994年、朝日ソノラマ、p.30 |
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