みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は日本の小西六のフィルムカメラ、Konica II型を紹介します。
Contents
Konica II 外観・スペック
レンズ:Hexanon 50mm F2.8(バリエーションモデルには他のレンズが付いたものもあり)
シャッター:Konirapid-S T、B、1秒~1/500秒
巻き上げ:ノブ巻き上げ、セルフコッキングではない、多重露光防止有り
カウンター:ノブ上、順算式、手動設定
フォーカシング:一眼式の連動距離計
フィルム装填:ちょうつがいによる裏蓋開閉(開閉は底部キー)
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1952年初?(Konica @ wikiの考察による、後述)[1]「コニカ 2型カメラについて – Konica @ wiki – atwiki(アットウィキ)」2022年11月28日閲覧 https://w.atwiki.jp/konica/pages/26.html
値段:本体38,000円 ケース1,620円[2]『クラシックカメラ専科No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.76
製造元:小西六写真工業
Konica IIについて
Konica II型は『クラシックカメラ専科No.10 小西六カメラの歴史』によれば1951年末の登場とありますが[3]『クラシックカメラ専科No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.60、
Konica @ wikiでは1952年初頭の発売なのではないかと指摘されています[4]「コニカ 2型カメラについて – Konica @ wiki – atwiki(アットウィキ)」2022年11月28日閲覧 https://w.atwiki.jp/konica/pages/26.html。
Konica IIを起点とするバリエーション
今回のKonica II型にはHexanonの50mm F2.8がついていますが、そのほか、変化した部分の多いバリエーションとしては
- 1955年:タイム撮影が省略されたコニカIIB
- 1956年:Hexanon 48mm F2が搭載されたKonica IIA
- 1957年:レンズが広角側に寄せられ45mm F3.5となったKonica IIB-m
が存在します[5]『クラシックカメラ専科No.10 小西六カメラの歴史』1987年、朝日ソノラマ、p.76。
そのほかにも各部にさまざまなバリエーションがあるようですが、参考文献にも挙げたKonica @ wikiが非常に詳しいので、細部の分類についてはそちらをご覧ください。
「コニカ 2型カメラについて – Konica @ wiki – atwiki(アットウィキ)」
https://w.atwiki.jp/konica/pages/26.html
このKonica II型はシャッターがKONIRAPID-Sなので比較的早い時期に製造されたもののようですね。
各部解説
それでは特徴とスペックについて見ていきましょう。
Konica(1型)を順当に改良・ボディレリーズ
以前わたしのチャンネルではKonica I型を紹介しましたが、
このKonica II型はI型の不便だったところを順当に改良したカメラです。
最大の改良点はなんといってもボディレリーズ。
ようするに、カメラの上の普通の位置にシャッターボタンが設けられたということです。
前機種のKonica I型ではこのように、レンズシャッター本体のレバーでシャッターを切っていました。
持ち方を工夫すれば一応ブレなく撮ることはできるのですが、不便なのは事実で社外からボディに取り付けるレリーズのアクセサリ(下の画像は再現イラスト)も販売されていたことが知られています。
※Konica(1型)の外付けレリーズについてはKonica @ wikiに画像があります。
コニカ 1型カメラについて – Konica @ wiki – atwiki(アットウィキ)
https://w.atwiki.jp/konica/pages/16.html
ヘリコイドによる沈胴機構
それから、沈胴式のヘリコイド。
コニカI型では沈胴式なのは同じでしたが、ライカマウントの沈胴レンズなどによくある、まっすぐ引き出して少し回してロックする方式でした。
いっぽうこちらのコニカII型では、沈胴された状態からヘリコイドを回していくとそのまま撮影状態になるという形になりました。
このとき、一度撮影可能状態になると無限遠の位置でストッパーが機能するようになっています。
このようにストッパーが斜面になっていて、沈胴状態から引き出すときはストッパーが引っかからないようになっているのですね。
沈胴状態に戻すときは、ストッパーを指でつまんで引っ張り上げながら回すようになっています。
多重露光防止
そして多重露光の防止。
コニカI型は巻き上げとシャッターチャージが一切連動しておらず、巻き上げない状態でも何度でもシャッターを切ることができる、つまり多重露光ができてしまうようになっていました。
普通に使う場合は1つのコマに多重露光できてしまうのは困るので、コニカII型はチャージしても、巻き上げるまでボディ側のシャッターボタンが押せないようになりました。
ただし、レンズシャッター本体のレリーズレバーは剥き出しなので、そちら側でシャッターを切ることは巻き上げと関係なく何度でも可能です。
セルフコッキングではない
前後しますが、多重露光の防止はつきましたがセルフコッキングではありません。
つまり巻き上げとシャッターチャージは連動しておらず、シャッターを切る前に手動でチャージを行う必要があります。
ここについては過渡期の仕様という感じがあり、使っていて違和感がありました。
多重露光防止がついていないKonica I型がセルフコッキングでないのは二眼レフやスプリングカメラと同じなので戸惑うことがなかったのですが、Konica II型はなまじ多重露光防止がついているので、もっとモダンな仕様のカメラのように巻き上げたらチャージも行われているように脳が錯覚するのですよね。
まあこれについてはKonica II型だけを使っていけば慣れるので、当時のユーザーにとっては関係のないあくまで後年のマニアの感想でしかないです。
シャッター
シャッターですがこのKonica II型にはKonirapid-Sがついています。
シャッター速度、露光時間はBと1秒から1/500秒。
これはKonica I型と同じです。
タイム撮影
またボディ側にタイム撮影の切り替えノブがついています。
このノブを「T」の状態に回してシャッターをB(バルブ)にするとシャッターを開放状態で固定、タイム撮影ができます。
ノブの「I」はインスタント、ようするに通常のシャッターの動作の状態です。
レンズ
レンズはさきほども触れましたがHexanon 50mm F2.8。
このレンズもKonica I型の時点ですでに装着されたものが存在しています。
構成は3群4枚のテッサー型です。
底部
あとは、Konica I型は三脚ねじがボディの端に寄っていましたが、
このKonica II型ではボディの中央に寄りました。ただしレンズの軸上とは一致していません。
裏蓋
裏蓋はちょうつがい式で、底蓋のノブを回して、ノブで開閉ロックを押し込むと裏蓋を開くことができます。
このKonica II型はかなり状態が悪かったもので、このように内部のダイキャストはかなり汚いです。
ファインダー
ファインダーはこんな感じです。
一眼式の連動距離計で、二重像の輪郭はぼやけているのですが精度はよく、同時代のカメラのなかではかなりつくりの良いものだと思います。
内部はこんな感じです。
シンプルですがきちんと調整できる構造で、このKonica II型もかなりボロボロにもかかわらず上下左右ともに実用上問題ないくらいに距離計が調整できました。
曲線を採り入れたスタイリング
あとは、触れるのが遅くなりましたがスタイリング。
有名なのがボディ前面の曲線を描いたラインです。
このカメラを象徴する部材ですが、わたしもこの曲線はとても好きです。
ちなみに分解する場合この前板はけっこう簡単に単体で外れるので、貼り革を交換する場合も前板そのものを定規代わりにして貼り革を切り出すことができます。
このKonica II型も購入時に革がパリパリに剥がれていたので代替品を貼り付けています。
Tips レンズキャップの代用
それからさらに細かいTipsとして、Konica I形のHexar 50mm F3.5と同じように、このカメラについているHexanon 50mm F2.8も、ウェーブから出ている模型用品の「押すだけフタ塗料ボトル(大)」の蓋がレンズキャップとして代用できます。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
たぶんHexanon 50mm F2.8付きのKonica I型でも同様に使えるんじゃないかと思います。
作例
続いては作例を見ていきましょう。
使用フィルムはLomography Earl Gray 100で、Parodinal 1:50で現像しました。
はい。
今回は秋葉原での撮影です。
ちょっと雨の日でシャッター速度を遅くしたのもあるのですが、ブレていないカットについてもちょっと写りが悪いです。
もちろんこれはHexanon 50mm F2.8の性能が悪いわけではありません。
「この」Konica II型のHexanon 50mm F2.8の状態がイマイチだったからです。
たとえばこの雨上がりの路面の写真。
Konica I型の動画でも似たようなカットがあったのですがそっちのほうがずっとキレがいいのですよね。
↑Konica IIの「状態が悪い」Hexanon 50mm F2.8で撮影
↑Konica(1型)の「状態がよい」Hexar 50mm F3.5で撮影
でもそれは、Konica I型についたHexar 50mm F3.5の状態が非常によかったからです。
今回のKonica II型についてはちょっと、状態が悪すぎるものに手を出してしまったなという後悔があります。
とはいえ作例を撮ったからこそわかることもあって、たとえばこの木の写真。
間に蜘蛛の糸が張っているのですが、ちゃんと写真に写っているのですよね。
ピント自体はもう少し手前の枝に合わせてしまっていますが、こうやって見るとボディ自体、たとえば距離計の構造などとても真面目な作りをしていることがわかると思います。
絞りを開いた写真というと、こういうシールが貼られた柱の写真。
電柱とかこういう柱、人物を写さず開放の作例を撮るとき便利なのでつい撮ってしまうのですが、こうして見るとやっぱり小西六の製品だけあってゆうに平均以上の結果が出せるカメラなことがわかるのではないでしょうか。
最後に
ということでKonica II型の紹介と作例でした。
今回のKonica II型については個人的に教訓があって、正直、手を出すには状態が悪すぎました。
レンズの状態もそうなのですが、裏蓋の中をある程度掃除してもなんだかカビっぽさが取れなくて、せっかく撮れる状態にしたものの長く使い続けるのは難しそうですね……
でも、それはあくまでこのKonica II型の状態が悪いというだけの話です。
精度もいいし、本来は写りがよいに決まっているレンズを積んでいます。
トップカバーのメッキや文字を見ても、Konica I型にくらべてずっと美しさが増しています。
そしてなにより、Konica III型よりも構造がシンプルなので整備されたものでも値段が安い。
こうしたクラシックカメラを実用するなら非常によい選択肢なので、ぜひ修理屋さんがちゃんと直したものを探してみてくださいね!
ありがとうございました。
御部スクラでした。