Canon 7(レンジファインダーカメラ)解説・作例

Canon 7(レンジファインダーカメラ)解説・作例

みなさんこんにちは!

フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。

今回はキヤノンのフィルムカメラ。Canon 7について話します。

Canon 7

Canon 7 外観とスペック

Canon 7

Canon 7

Canon 7

Canon 7

レンズマウント:ライカマウント(L39マウント)、50mm F0.95やミラーボックス2で使用する外爪バヨネットあり
シャッター:横走り メタルフォーカルプレーンシャッター B、T、1秒~1/1000秒、シンクロ速度1/60秒
巻き上げ:レバー式、1回巻き上げ、分割可能
露出計:セレン受光素子 追針式
カウンター:順算式、自動復元
フォーカシング:連動距離計内蔵 有効基線長47.2mm
ファインダー:50mm、85/100mm、135mm用の採光式ブライトフレームを内蔵
使用フィルム:35mmフィルム
発売年:1961年
発売時価格:86,000円(50mm F0.95付)、47,500円(50mm F1.4付)
製造元:キヤノンカメラ

参考文献:『クラシックカメラ専科No.31 キヤノンハンドブック』1994年、朝日ソノラマ、p.35

Canon 7について

Canon7は1961年に出た連動距離計内蔵のフォーカルプレーンシャッターのカメラ。
いわゆるレンジファインダーカメラです。

マウントはライカスクリューマウントで、こういった感じのレンズ交換式レンジファインダーカメラが特殊なカメラではなかった時代のものとしては、末期の機種のひとつになります。
Canonのレンズ交換式レンジファインダーカメラは戦前から続いていますが、このCanon7と、改良機のCanon 7sをもって、キヤノンのレンジファインダーカメラは終わりになりました。

作例

まずは撮影した写真を見ていきます。
使用フィルムはオリエンタルのシーガル100です。

レンズは旧ソ連のレンズ、ジュピター8です。
セレンの露出計を内蔵しているということで、日中屋外なのでわざわざ露出計を使うまでもないかもしれませんが、露出計の出た目に従って撮影してみました。

Canon7作例

Canon7作例

Canon7作例

Canon7作例

今回、このカメラはジャンクで手に入れたのですが、ファインダーの清掃くらいしかしておらず、シャッター周りはとくに整備していませんが、普通に問題なく動いてくれていました。

Canonのレンズで撮影したわけではないので、作例はこれくらいにしておきます。

Canon7のよかったポイント

さて、このCanon7、レンジファインダーカメラとしてはあんまり人気がないと思うんですよ。

見た目がゴテゴテしているのと、セレンの露出計が内蔵されているのがいまとなっては中途半端なのが理由だと思うんですけど、使ってみるとかなりよいカメラでした。

ファインダーが見やすい

ファインダーが見やすい

よかったポイントその1。

ファインダーが非常に見やすいです。
採光式のブライトフレームが内蔵されているんですが、とてもキレがよくて見やすいです。
もちろんM型ライカには及ばないですが、それにしてもできの良い構造で、ファインダーを覗いていて楽しくなります。
個人的にはそれまで、シャッター部分がほとんど同じ作りのCanon P(ポピュレール)のほうが、50mmしかつかわない分にはシンプルで良いと思っていたんですが、こうして使ってみると、やっぱりアルバダ式より採光式のほうがすっきりしているのは当然でしたね。

カメラ自体の見た目はCanon P(ポピュレール)のほうがすっきりしていて美しいと思いますが、撮影している最中にはカメラの見た目は関係ないので。

ブライトフレームは手動切替で、35mm – 50mm – 85mm・100mm – 135mmが内蔵されています。
切り替わる様子も見ていて楽しいです。

切り替えダイヤル

金属製シャッター幕が便利

金属製シャッター幕が便利

よかったポイント その2。

これはCanonの他の機種にも同様なものがありますが、ステンレス製のシャッター幕は、太陽光で幕を焼く心配がないので、使っていて楽です。
同じ日にバルナック系の布幕のカメラも持ち出していたんですけど、やっぱり気を使いました。

Canon7やCanon Pの金属シャッター幕というとヨレてしまうことで知られていて、わたしのもヨレていますが、実用上問題なさそうなので、まあ気にしなくていいかと。

剛性感がある

よかったポイント その3。

使っていて、剛性感があります。

Canonのカメラというと、1970年代後半以降は軽薄短小なイメージがついてしまいましたけど、この時代のカメラはメンテナンスして長期間使うことが前提なので、さすがにつくりがいいですね。

Canonのレンジファインダーカメラとしては、既にそれ以前の機種からの値下げも行われている時代のものなので、もしかしたらVI型とかそれ以前のもののほうが作りがいいのかもしれないですが、全体的な作りのモダンさもあって、実用性とのバランスが非常によいかと思います。

セレン露出計が案外実用的

セレン露出計が案外実用的

よかったポイント その4。

セレンの露出計は案外使えます。

最近個人的に、セレンの露出計を見直しています。案外、動いているし、実用的な値を示してくれますね。
セレンの露出計なんて飾りだと思っていましたが、実用することを前提にすると、これはこれでよいデザインに見えてくるから不思議です。

露出計についてですが、シャッターダイヤルを回すと露出計部分の絞り値表示が動きます。
露出計の指針が示している絞り値に、レンズの絞りを設定すると適正露出になります。

背面のスイッチを180度回すことで、暗いところと明るいところのモードを切り替えることができます。

いまひとつな点

いまひとつな点についても話します。

まず、時代的にギリギリ、モルトが使われはじめています。
裏蓋のモルトはもちろん劣化していましたし、トップカバーを外しただけでも、ファインダー窓の周りに遮光用モルトが使われていました。
シャッター周りにももしかしたら経年劣化する部品があるかもしれないですね。

それから、同時代のCanon製レンズが、実用しようと思ったときに決め手に欠ける。
Canon 7はそこまで人気があるカメラではないので中古も安いのですが、値段的にちょうどいいレンズがないんですよね。
というのが、同時代のCanon製ライカマウントレンズは、経年変化で曇ってしまっているものが多いためです。
Canon Lens 50mm F1.8のII型が曇ってしまうのは有名です。
というわけで今回も旧ソ連のレンズをつけていました。

あと、非常に細かい点。
沈胴レンズをつけて沈胴させたとき、内部が干渉することがあります。
これは虎の子のズミターなんですけど、沈胴させることはできるんですが、間違えて沈胴させたままレンズを外そうとしてしまうと、内部をこすってしまいます。

内部をこすった跡

まとめ

というわけで今回はCanon7のお話でした。

他のCanon製レンジファインダーカメラや、他社のライカコピーに比べて見た目がイマイチということもあって安く手に入ることも多いですけど、ファインダーの見えは最高です!
ベッサよりもずっと安く買えるので、実用的なライカマウントのレンジファインダーカメラが欲しい方、ぜひいかがですか?

Canon7、レンジファインダーの愛機のひとつにできそうです。

ありがとうございました。
御部スクラでした。

Canon7 関連書籍

↑『クラシックカメラ専科 No.45』には宮崎洋司『キヤノンV型から7S型まで そのアピアランス・デザインと機能について』という記事が収録されています(pp.86-95)。