みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は、作例なしなのですが、コンタックスRTSの初代について話します。
Contents
CONTAX RTSとは
コンタックスRTSの初代は1975年の機種。
ヤシカ・コンタックスの最初の機種になります。
このコンタックスRTSなのですが、いまとなってはかなりの数がジャンク扱いになってるんですよね。
ヤシコンのツァイスレンズが、いわゆる「オールドレンズ」として高値で流通しているのとは対照的です。
というわけでこのコンタックスRTSもジャンクとしてわたしの手元にやってきたんですが、動作自体は問題なさそうなのでいろいろと触ってみて、いいな、と思ったところと、ここはいまひとつだと思ったところを話します。
初代コンタックスRTSのいいところ
初代コンタックスRTSを触ってみてよかったところ。
デザインがよい
まずはなんといっても見た目のデザイン。
ポルシェデザインというところがデザインを手掛けたことは有名ですけど、名前だけは聞いたことがあるけど「なんとなくすごそう」くらいのイメージしかなかったので一応調べてみました。
ようするに、自動車のポルシェを最初に作ったフェルディナント・ポルシェという人の孫が作ったデザイン事務所、ということらしいです。
このあと、ニコンのジウジアーロとかキヤノンのルイジ・コラーニとか、国外からデザイナーを招聘する流れの先駆けとなったという意味で、意義深いカメラだといえると思います。
細部の仕上げもよい
パッと見のデザインが格好いいというだけじゃなくて、細部の仕上げがいいんですよね。
たとえば巻き上げレバーを下側から見ても金属の芯が見えなかったり(このレバー、一体成型なんですかね)、
トップカバーの段差のところがカクカクしていなくて、美しいアールで処理されていたり。
ものすごく手間のかかった仕上げです。
絞り優先AE採用の先進性
そう、時代の流れを作ったという点では、この初代コンタックスRTS、絞り優先AEと電子制御のシャッターを採用したこともとても意義深いでしょう。
コンタックスRTSは明確に最上位機種、フラッグシップです。
1975年にこのカメラがAEを採用したことで、1980年代前後に続々と登場した他社のフラッグシップ、ニコンF3やキヤノンNew F-1、ペンタックスLXがAEを載っけてくることができたんじゃないか、と思うんです。
他のメーカーとしては「あっ、これやってよかったんだ」と思ったのではないでしょうか。
「コンタックス」だったから許された
ということをいうと、1975年のコンタックスRTSより先に1973年にミノルタX-1が同じことをやっているじゃないか、と思うでしょうけど、たぶん、ミノルタじゃなくてコンタックスだから影響を与えられたんじゃないかと思うんですよね。
それをいったらコンタックスだって中身はヤシカですけど、ドイツのコンタックスとツァイスというハッタリがあったからこそ、力技で認めさせることができたんだと思います。
ミノルタのカメラ自体は、わたしはとても大好きなんですけどね。
デザインをヨーロッパ人が手掛けたこともそうですが、良くも悪くも、当時の日本人のヨーロッパへのコンプレックスを形にしたカメラ。
それがコンタックスRTSなのかもしれません。
機構的な部分
機能的なところについていうと、1975年のカメラとしては、最高速が1/2000秒の横走りの布幕シャッターというのは、フラッグシップとしてまったく不足はありません。
ミラーアップも標準装備されています。
露出計のスイッチを入れるのに、ボディ前面のボタンを押さないとファインダー内に表示されないのには、初めて触って少し戸惑いました。
シャッターボタンのストロークが浅いということについては、いまの目から見るとべつに違和感はないです。
壊れやすいと言われていますが……
いっぽうイマイチなところとしては、よく聞く話としては壊れやすいらしいのですが、そこについてはよくわからないです。わたしの手元にあるコンタックスRTSは、キズだらけでモルトもボロボロで、メンテナンスされていなかっただろうにもかかわらず壊れていないので。
プリズム下面が掃除できない
細かい所としては、このコンタックスRTSはファインダーが汚いんですが、
スクリーンが外れるのでプリズムを下側から清掃しようとしたら、プリズムの下にガラスが1枚入っていて拭けないんですよ。
かといって、これのプリズムを下ろそうとしたら絶対に壊す自信があるのでそのまま放置してしまっています。
このガラス、なんのためにあるんでしょうか。
ミラーの奥の嫌なところにモルト
あと、このコンタックスRTS、なんとなく一応モルトの交換だけしたんですけど、ミラーの奥のとても嫌な場所にモルトが使われているの、これはやめてほしかったですね。
(これは他のヤシコンのカメラにもありがちです)
貼り革の経年劣化
そして、初期のコンタックスに共通することですが貼り革が経年劣化して汚くなりがちです。
このコンタックスRTSは適当な合皮に交換していますが、安物の素材を使っているのであまりきれいに仕上がっていないです。
レンズが高い
最後に、初代コンタックスRTSを使う上で最大のネック。
これはこのRTSに限らないことですが、カール・ツァイスのレンズ、高すぎます。
新谷かおるの漫画「シリーズ1/1000sec」でも、作中に登場するミヤマ商会の店員がレンズが高すぎるって言ってますよね。
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実際問題としては、デジタル用の高いレンズを買える人にとって、ヤシコンの中古レンズは別に高くないと思うんですよ。
でも、ツァイスのレンズをフィルムで使うとしたら、よほど思い入れがないとこの初代コンタックスRTSは選ばないと思うんですよね。
実用だけを考えたら、もっと新しいヤシコンのボディを選ぶと思います。
そのあたりが、内部が高度に電子化されたヤシコンの悲しいところだと思います。
ヤシカのMLレンズをつけてもいいんですけど、コンタックスってツァイスのレンズありき、みたいなところがありますよね。
けっきょくのところ、価格的に見合うレンズがなくなってしまったこと、これこそが初代RTSとか、ヤシコンの初期のカメラがだいたいジャンクで捨て値になってしまう理由なんだと思いますね。
わたしもそもそもヤシコンのレンズは持っていないです。
ヤシコン用のアダプトールならあるんですけどね……。
コンタックスRTSにワインダーをつけて動いているところ
今回、ワインダーもあるので動いているところを動画にしました。
CONTAX リアルタイムワインダー W-3というのですが、本来はこの初代RTS用ではなく、後継機のコンタックスRTS II用のモードラです。
ただ、問題なく取り付けて動作はするので互換性があるのだと思います。
このリアルタイムワインダー W-3なんですが、電池室の蓋の作りがとても安っぽいんですよ。
こんなプラスチックの爪、そのうち折れるに決まってるじゃないですか。
なんというか、見た目は高級機なのに、細かい所の作りがよくないんですよね。
この点については明確によくないと思います。
よくTシリーズの中身が酷評されていますが、なんで、高級品のはずなのにこういうことになっちゃうんでしょうかね。
理由がよくわからないです。
まとめ
というわけで、フィルムを通していないのですがコンタックスRTSの印象について話してきました。
歴史上とても意義のあるカメラだと思うのですが、いまとなっては使い所に困る、そんなカメラだと思います。
もちろん、カメラの歴史を研究する上で価値があるのは間違いので、このカメラの存在そのものを否定するわけではないです。
ボディの値段が安すぎるのに対して、本当に似合うレンズが高すぎることだけが問題なのだと思います。
本当にデザインや仕上げは美しいので、もったいないカメラだなあ、と思っています。
というわけで初代コンタックスRTSのお話でした。
ありがとうございました。
御部スクラでした。
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