みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回はレンズの話です。
泰成光学 タムロン200mm F6.3
今回紹介するレンズは、
泰成光学 タムロン200mm F6.3。
タムロン公式サイトによれば、1963年に発売したレンズで、値段は5,450円だったとのことです。
https://www.tamron.co.jp/data/old-lens/old-index.htm
タムロン製の交換レンズとしてはほんとうに初期のものということになりますね。
タムロンというメーカーは、もともと埼玉県浦和市、いまのさいたま市に1950年に「泰成光学」として設立されたメーカーで、1959年に、現在の本社所在地、かつての大宮市、いまのさいたま市見沼区に移転しました。
※途中、東京都内に本社を置いていた時期あり。詳しくはタムロン公式サイトをご覧ください。
https://www.tamron.co.jp/company/tamron_history.html
株式会社タムロンに改称したのは1970年のことです。
このレンズはまだタムロンが泰成光学と名乗っていた時代の製品で、ごらんのようにレンズの銘板にもTAISEI KOGAKUと刻印されています。
箱にはロゴがプリントされています。
マウントはM42?
さて、タムロンのレンズといえば交換マウントが有名ですが、この200mm F6.3は交換マウントではありません。
わたしの手元にあるのはM42マウント。
箱の全長よりもレンズの全長のほうが短かったので、もしかしてTマウントかとも思ったのですが、ネジのピッチはM42マウントのものでしたし、そもそもM42マウントのボディで無限遠が出たので、M42で間違いないと思います。
……と思ったら、タムロン公式サイトにはTマウントって書いてあるんですよね。
https://www.tamron.co.jp/data/old-lens/olm200f6_3.htm
実は入手したあとピントリングのイモネジを緩めて内部を清掃したんですけど、イモネジで締め付けられた跡は一組分しかなかったので、M42のボディで無限が出るように無限を調整し直したということはないと思うんですけど……。
真相は謎です。
光学系と鏡筒
最初にも話したとおり、1963年発売、定価が5,450円。
型番はFO-63。
レンズの構成は2群3枚です。
このレンズ、最大の特徴が細くて軽いってことなんですよ。
見た目は細長い筒って感じですけど、手に持つと軽くて驚きます。
わたしが使っているミラーレスのカメラはSONYの初代α7で、あんまりマウント強度がないので長いレンズはつけないようにしているんですけど、下手な標準レンズより軽いので安心して振り回すことができました。
フィルター径は49mmですが、鏡筒の大半がそれより細いのでもっと小さく見えます。
光学系の部分はレンズの前側に集中していて、ピント面からレンズが離れているから焦点距離が長いという、そのまんまなつくりですね。
構造的には、後玉は固定されたまま、ピントリングを回すと前玉だけが繰り出されるようになっています。
絞りは手動です。
自動絞りやプリセット絞りのような特別な機構はありません。
作例
さて、実際に撮った写真を見てみましょう。
ボディはSONYの初代α7です。
絞りは基本的に開放です。
望遠レンズというと、鳥とか飛行機とか電車とか、目的を持った写真を撮るためのレンズという印象がありますが、今回もとりあえず、公園にいた鳥を撮ってみました。
マニュアルフォーカスで、ピントリングの回転角度も大きいので大変でしたが、まあ撮れないことはありませんでした。
動画用に縮小すると、案外アラが目立たないんですよ。
開放がF6.3という暗いレンズなので無理をしていないということなんでしょう。
もちろん、拡大するとなんだかにじんだ感じがなくはないです。
でも、当時もっとも安い価格帯だったレンズとしてはとても優秀なんじゃないかと思います。
きっと、お金がなくても蒸気機関車を追いかけた鉄道マニアの強い味方になってくれたんじゃないでしょうか。
いっぽう、背景がごちゃごちゃしているような被写体だと、たしかにざわざわした感じになる印象はあります。
↑この写真とか、街中での撮影ですがボケがぞわーっとしてますよね。
いっぽう平面的な被写体だと、たしかに周辺部が少し写りが悪くなっている、気はします。
でも、拡大したらそう感じるかもしれない、くらいなものです。
まとめ
軽くて小さく、とても値段が安い。
1960年代の交換レンズとしては、とても優秀なコンセプトの製品だったといえるんじゃないかと思います。
廉価なレンズメーカー製レンズとして考えても、質感や仕上げを最低限に割り切った製品だと思うんですが、それくらい思い切りの良いコンセプトの製品を初期から作ることができたのが、たくさん存在したレンズ専業メーカーのなかで、タムロンが生きこのれたことを象徴しているんじゃないかと思いました。
というわけでタムロンの初期の望遠レンズの紹介でした。
ありがとうございました。
御部スクラでした。