みなさんこんにちは!
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は、マミヤのフィルムカメラ、MYRAPID(マイラピッド)について話します。
Contents
Mamiya MYRAPID 外観とスペック
レンズ:MAMIYA-TOMINON 32mm F1.7
シャッター:COPAL製、B、1/30秒~1/800秒
巻き上げ:レバーによる1回巻き上げ
露出計:セレン受光素子のサークルアイ
カウンター:順算式、自動リセット
フォーカシング:目測
ファインダー:採光式ブライトフレーム
使用フィルム:ラピッドフィルム
発売年:1965年
発売時価格:-
製造元:マミヤ光機
参考資料:『アサヒカメラ』1965年11月号広告(『昭和10~40年 広告にみる国産カメラの歴史』1994年、朝日新聞社、p.296より)
マミヤ マイラピッドについて
このマミヤ マイラピッドは、見ての通りコンパクトカメラなのですが35mmフィルムカメラではありません。
裏蓋を開けてみると、このとおり、入っているのが35mmフィルムではないんですね。
このカートリッジは「ラピッドフィルム」というもので、1960年代に、35mmフィルムを置き換えようとして登場した規格のひとつなんです。
ラピッドフィルムが登場したのは1964年。東京オリンピックの年です。
当時、前の年の1963年にアメリカのコダックが「インスタマチック」という、同じく35mmフィルムを置き換えようとした規格を作ったのですが、新しい規格ができると、だいたい対抗規格が出てきますよね。
このラピッドフィルムもそういう対抗規格で、ドイツのフィルムメーカーのAgfa(アグフア)がインスタマチックに影響されて作ったものになります。
ただ、インスタマチックは主にアメリカで1970年代はじめまで広く使われて、1970年代には後継規格のポケットインスタマチック(110フィルム)に発展したのに対して、ラピッドフィルムは早いうちに消滅してしまいました。
このラピッドフィルムはフィルムの装填方法に特徴があってダブルマガジンという方式なのですが、それについてはあとで解説します。
特徴
さて、このマミヤ マイラピッドは1965年に発売したカメラです。
(出典:すぎやま本 p.181)
レンズの周りにセレン受光素子を置いた、この時代の自動露出のコンパクトカメラとしては比較的標準的な見た目をしています。
特徴はレンズが大口径なことで、MAMIYA-TOMINON 32mm F1.7という富岡光学製のレンズを搭載しています。
画面サイズ自体はハーフサイズカメラとほぼ同じで、距離計は積んでいません。
ファインダーは採光式です。
ラピッドフィルムで撮影する
ということでマミヤ マイラピッドで撮影しようとしたのですが、ラピッドフィルムのカメラなので、35mmフィルムをそのまま使うことはできないんですよね。
ただし、ラピッドフィルムはカートリッジの形状が違うだけで、フィルムそのものは35mmフィルムと同じものを使うので、カートリッジに詰め替えれば撮影することができます。
なのですが、もうひとつ問題があるんです。
それが、ラピッドフィルムはダブルマガジン方式だということ。
いま裏蓋の右側にだけラピッドフィルムのカートリッジが入っていますが、本来は左側にもカートリッジが入っていて、巻き上げたフィルムをカートリッジの中に巻き込んでいく構造になっているんです。
このままだと、フィルムをカートリッジから引き出すことはできても、巻いていくことはできません。
そこで検索したところ、カートリッジがひとつしかなくてもラピッドフィルムで撮影する方法を紹介している方がいたので、その方法を真似させていただきました。
参考「ラピッド・フィルム・カメラを使う」2021年3月13日閲覧
http://www5e.biglobe.ne.jp/~clenssic/film-use-rapid.html
「ラピッドフィルム 撮影方法」で検索すると出てくるのですが、このように、フィルムケースをカッターナイフで切り出したものを左側に入れます。
そして、フィルムを装填するときは、フィルムを巻き直したラピッドフィルムを右側に入れて、先端を引き出して、フィルムケースの隙間に入れます。
あとは裏蓋を閉じてそのまま巻き上げると、無事、フィルムを最後まで撮りきることができるというわけです。
ただし。
当然ながら、この状態だと撮影後に裏蓋を開けるとフィルムが感光してしまうので、取り出しは暗室かダークバッグのなかで行う必要があります。
今回、わたしはダークバッグのなかで取り出して、そのまま現像リールに巻いて現像してしまいました。
ラピッドフィルムの巻き替え
前後しますが、ラピッドフィルムのカートリッジを使うには、フィルムを巻きかえる必要があります。
巻き替えるというか、ラピッドフィルムには軸がないのでカートリッジに押し込む、といったほうが正しいんですけどね。
巻きなおし方なのですが、これもダークバッグを使いました。
ラピッドフィルムはハーフサイズの24枚撮りなので、普通の35mmフィルムカメラだと12枚分に相当します。
そこで、あらかじめ35mmフィルムカメラで蓋をしたまま12枚分巻き上げて、ダークバッグのなかで蓋を開けて、巻き上げた分だけを切断してラピッドフィルムのなかに押し込みました。
旧ソ連で作られたカメラのフェドを使っているのは、裏蓋が外れるのと、スプールが外れて作業がしやすいからです。
ただ、多くの35mmフィルムカメラはフィルムが裏返しに巻き上げられるので、表側が外側になる順巻きでスプールが外れるカメラがあるとよりベストなんですけどね。
作例
というわけで長くなりましたが撮影した写真を見ていきましょう。
ここまで引っ張っておいてなんですが、写っていることに感謝、という感じではあります。
目測で撮影したのでピントが完全に合っていないカットも多かったのですが、ピントが来ているカットは当然ながらとてもよく写っています。
撮影後に現像して気がついたことなのですが、ネガを見ると画面サイズがハーフサイズカメラよりも大きくて、コマ間がとても狭いんですよね。
そのわりにコマかぶりはありませんでした。
ただし、これはマミヤ マイラピッドだけの特徴か、ラピッドフィルムのカメラ全般にいえることなのかはわかりません。
機構面
最後に機構的な面についてですが、内部の機構は1960年代の自動露出カメラとしてはとても標準的なものです。
シャッターはコニカC35と同系統のものが使われています。
内部の機構で面白かったのが、底部に仕込まれたセルフタイマーを動かすために、とても長いスプリングが使われていることですね。
まとめ
というわけで今回は、マミヤ マイラピッドの紹介とラピッドフィルムの詰め替えについて話してきました。
フィルムの詰め替え、やってみると案外簡単だったのですが、それはわたしがもともと暗室をやる人でダークバッグを持っているからで、やっぱり敷居の高いカメラではあるなぁ、と思いました。
いっぽうで、ラピッドフィルムやインスタマチックが、フィルムの装填を簡単にして、巻き戻しという機構を排除しようとした理由もなんとなくわかってきました。
このチャンネルの動画で使い方を解説するとき、フィルムの装填と巻き戻しの説明がいちばん難しいんですよね。
それと、最近調子の悪いアーガスC3で撮影しようとしてフィルムを千切ってしまうというトラブルもあったので……。
今後も、こういうマイナーなカメラを動画にしていきたいと思います。
ありがとうございました。
御部スクラでした。
関連書籍
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。