みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は中判のスプリングカメラの紹介です。
このカメラはドイツのWelta(ウェルタ)という会社が作ったもので、Weltur(ウェルツル)といいます。
本当に「ウェルツル」という読み方で正しいのかわからないんですけど、早田カメラの方がやっているYouTubeチャンネルで「ウェルツル」と呼ばれていたのでそれに準じました。
Welta Weltur
Welta Welturの外観とスペック
※このカメラをいじった頃に使っていた両面テープがよいものではなかったため、貼り革が浮いてしまっています。
※赤窓開閉ノブは欠品していたため代用品を取り付けています。
レンズ:Tessar 75mm F2.8
シャッター:COMPUR-RAPID T、B、1秒~1/400秒
巻き上げ:ノブ、赤窓式
カウンター:赤窓式
フォーカシング:前板のノブによるレンズボード繰り出し
ファインダー:一眼式の連動距離計、逆ガリレオ式
使用フィルム:120フィルム
発売年:1933年(クラシックカメラ専科8より)
製造元:Welta Kamera Werk
参考文献:クラシックカメラ専科No.8「スプリングカメラ」1986年、朝日ソノラマ、p.53
Welta Welturについて
このカメラ、1930年代のものなんですよ。
クラシックカメラ専科No.8「スプリングカメラ」によると最初にウェルツルが登場したのは1933年のこと。
参考文献:クラシックカメラ専科No.8「スプリングカメラ」 p.53(1986年、朝日ソノラマ)
このカメラはレンズがツァイスのテッサーで、シリアルナンバーの上3桁が224なんですけど、だいたい1937~1938年の製造のようですね。
(ちょうどシリアルナンバー表で数字が飛んでいる箇所に該当してしまっています)
シリアルについての参考文献:camera-wikiより
http://camera-wiki.org/wiki/Carl_Zeiss_serial_numbers
というわけで、このウェルツルはカール・ツァイスのテッサー7.5cm F2.8というなかなか良いレンズがついたスプリングカメラなんですけど、じつは最初、すごくボロボロだったんですよ。
購入価格がなんと500円。
カメラ屋さんのジャンクコーナーで購入したんですけど、たしかにこの状態だと500円でも仕方ないといえる状態でした。
蛇腹ももちろん穴があいてましたし、背面の赤窓のノブも欠品していました。
それで、なんとか修理してみたのがこのウェルツルになります。
オリジナルの貼り革は相当ボロボロだったので剥がして保管してあります。
蛇腹も交換したのですが、まだまだ技術が足りなくて、伸び縮みするときに突っ張ってしまっていますね。
機能面について
それでは、このカメラの機能的なところを見ていきます。
レンズはさきほども話したとおり、カール・ツァイスのテッサー7.5cm F2.8。
コーティングはありません。ノンコートです。
シャッターはコンパーラピッドです。
普段、日本製のレンズシャッターばかり触っていたので、本物のコンパー、しかも戦前のものの作りの良さには驚きました。
といいながらスローがイマイチ調整できていないのですが……。
フィルムを送るのは赤窓式です。
欠品していた赤窓のノブは適当なジャンクパーツで代用しているのですが、見た目が格好悪いのでもう少しどうにかしたいですね。
さて。
このウェルツルというスプリングカメラの最大の特徴。
それが、前板を前後させる方式のフォーカシングです。
前蓋についたノブを回転させると、このようにラックアンドピニオンで前板が前後します。
そして、前板が前後する動きを機械的にボディ本体まで伝えて、距離計を連動させているわけです。
Weltaと書かれた銀色のプレートの部分には撮影距離も表示されます。
距離計は見た目の通り、ファインダーの中央部に二重像が表示される一眼式です。
非常に先進的な構造ですよね、これ。
このウェルツルというカメラは、じつは日本のミノルタがコピーしています。
それが1937年のオートセミミノルタという機種で、ピント合わせの機構はうりふたつです。
オートセミミノルタについて参考:クラシックカメラ専科No.8「スプリングカメラ」 p.73(1986年、朝日ソノラマ)
Welturの作例
ではこのウェルツルで撮影した写真を見ていきましょう。
使用フィルムは
モノクロ:Ilford FP4+(Parodinal 1:25 20℃ 9min)
カラー:Kodak Ektar 100(Ektar純正仕上げ)
です。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
ここまで引っ張っておきながら恥ずかしい話なのですが、撮影した結果、歩留まりがすごく悪くて、使えるカットがあまりありませんでした。
一応中判で3本撮影したんですけど、スプリングカメラの修理で精度を出すのって、すごく難しいですね……。
↓はばっちり写っているカットです。
ほんとうに、さすが戦前のツァイスレンズ、キレキレです。
いっぽうこちらはカラー。
恥ずかしいことにちょっとブレ気味なのですが、なかなかに良い雰囲気をかもしだしてくれているといえるのではないでしょうか。
今回の敗因、動画で使うことを前提に横位置撮影を意識しすぎたことでした。
スプリングカメラの左手レリーズに慣れていなくて、微妙にぶれているカットを量産しちゃったんですよね……。
こちらは、ピントが甘いですが開放~F4くらいまでで撮影したカットです。
内蔵された連動距離計、当時の人が一般にプリントした写真のサイズでは十分以上に役割を果たしてくれたんじゃないかと思います。
まとめ
というわけで、Welta(ウェルタ)のスプリングカメラ、Weltur(ウェルツル)でした。
このウェルツルというカメラ、日本のWebにはほとんど情報がないので、ぜひ動画にしてUPしたかったんです。
インターネットにはどんな情報でもあるようで、かゆいところに手が届かないので、できるだけアーカイブになるような内容を心がけていきたいですね。
ありがとうございました。
御部スクラでした。