みなさんこんにちは。
フィルムカメラ系VTuberの御部スクラです。
今回は旧ソ連で作られたフィルムカメラのZorki-4(ゾルキー4)について話します。
Contents
Zorki-4の外観とスペック
レンズマウント:ライカマウント(L39マウント)
シャッター:横走り 布幕フォーカルプレーンシャッター B、1秒~1/1000秒
巻き上げ:ノブ巻き上げ
カウンター:順算式、手動設定
フォーカシング:一眼式の連動距離計
使用フィルム:35mmフィルム
製造開始:1956~1973年[1]「Zorki – Camera-wiki.org – The free camera encyclopedia」(2022年10月22日閲覧)
http://camera-wiki.org/wiki/Zorki
製造:クラスノゴルスク機械工場(KMZ)
Zorki-4について
Zorki-4はCamera-wiki.orgの記事によると1956年から1973年にかけて製造[2]「Zorki – Camera-wiki.org – The free camera encyclopedia」(2022年10月22日閲覧)
http://camera-wiki.org/wiki/Zorki。
それと前後してレバー巻き上げにマイナーチェンジされたZorki-4Kという機種も1972年から1978年にかけて作られています[3]「Zorki – Camera-wiki.org – The free camera encyclopedia」(2022年10月22日閲覧)
http://camera-wiki.org/wiki/Zorki[4] … Continue reading。
このZorki-4はシリアルナンバーの上2桁が70なので、おそらく1970年に作られたものだと思います。
ライカマウントのカメラ
さて、このZorki-4はいわゆるレンジファインダーカメラ、L39マウントのレンズ交換式、連動距離計を内蔵したカメラです。
このとおりライカマウント、ただし距離計連動アームの先端はローラーではなく、旧ソ連製にありがちなこういう形状になっています。
Zorkiといえばわたしのチャンネルでは以前Zorki-1という、バルナックライカとほとんど変わらない機能の機種を紹介しましたが、
年代が下っていることもあってさすがにいろいろと改良されています。
大きなプリズムを用いたファインダー
具体的にこのZorki-4の機能を見ていくと……
まず最大の特徴がファインダー。
もともとは1956年に改良されたものだけあって、一眼式の連動距離計になっています。
※ただ、これはZorki-4特有のものではなく、ゾルキーというシリーズの連動距離計自体はさらに前のZorki-3系の機種ですでに一眼式になっています。
旧ソ連の連動距離計のカメラというととにかく作りが悪い、使い物にならないという評価をされることも多いですが、このファインダー、じつは非常に高品質です。
動画ではうまく伝わらないかもしれないのですが、とにかく見えがいい。
しかも視野角も非常に広いです。
巨大なプリズム
質がよいのも当然で、分解するとこんなに大きなプリズムが使われているんですよね。
ゾルキーというカメラは当時の旧ソ連製連動距離計カメラでは上位モデルだったと思いますが、隣りにあるフェド2のプリズムと比べてもずっと大きいのがわかります。
これまで紹介したカメラの中では、下手をするとトプコン35-Sのプリズムと同じくらい大きいかもしれないですね。
ただ、ファインダーにフレームはないのでフレーミングはそれなりにアバウトです。
また、ファインダー視野は青色に着色されています(これはもともとそうなのか不明です)。
とにかく、このファインダーだけでもZorki-4を使う意味はあると思います。
プリズムの固定に難点
ただ、このファインダープリズムには難点もあります。
このカメラを入手したときプリズムの固定が外れてしまっていたんですよね。
そう、なんとプリズムの固定方法、底面が接着されているだけなんです。
もともとそういう設計だったのか、1970年製造ということで固定部品が省略されてしまったのかは不明ですが、比較的新し目の旧ソ連製カメラということで、ちょっと品質面では問題があると感じました。
あと細かいところとしては、ファインダー脇、巻き戻しノブの下には視度調整もついています。
シャッター
次にシャッターです。
シャッターは布幕、横走りのフォーカルプレーンシャッター。
シャッター速度はBと1秒~1/1000秒です。
バルナックライカをもとに発展したカメラということで、シャッターを切るとシャッターダイヤルが回転します。
ただし、バルナック系の多くのカメラは下の画像のように高速側と低速側でシャッターダイヤルが分かれていますが、
Zorki-4の場合高速側と低速側のダイヤルは分かれていなくて、1つのダイヤルでどちらも設定可能です。
シンクロ速度は1/30秒。
シャッター速度の並び順は1/30秒の次にB、次に1/1000秒から1/60秒の高速側、次に1/15秒から1秒までの低速側となっています。
1秒と1/30秒の間を相互に回すことはできません。
さて、このシャッター。
機構的には問題ないし、製造から50年経っていますがシャッターの布幕も一応しなやかさを保っています。
1/1000秒も開いています。
シャッターの音と感触は悪い
ただ、使い心地の面ではこのシャッター、問題があると言わざるをえないんですよね。
というのが、とにかくシャッターの音もショックも大きいんです。
シャッターを切ると「バシッ」と音がするような感じ。
連動距離計カメラの布幕シャッターとしては異常なくらいに音が大きい部類だと思います。
同じ旧ソ連製のカメラでも(自分で幕を変えたものですが)Zorki-1やFed2はここまで音が大きくないので、やっぱり製造時期が新しく、品質が下がっているのが原因なのかもしれないですね。
裏蓋
裏蓋は取り外し式です。
スプールも外れますが、このプラスチック製のスプールが純正品かは不明です。
巻き上げ・巻き戻し
巻き上げと巻き戻しはどちらもノブ。
巻き上げの感触ですが、相当ゴリゴリしていて正直よくない、というか感触はとても悪いです。
ただし、このZorki-4はファインダー清掃と距離計調整以外いじっていないので、調整によってはもっと快適になる可能性もありますね。
感触がいまひとつな以外は実用に問題はない
ということで、巻き上げとシャッターの感触が悪いこと以外は、ファインダーはとても見えがいいし、距離計の精度もよく、シャッターもきちんと切れていて、実用連動距離カメラとしてはZorki-4はけっして悪いカメラではないと感じます。
わざわざ整備して売るには安すぎるから値段がつかないだけで、このカメラ自体は普通に実用できるものだと思います。
ストラップ金具がない
ただ。
これはすべてのZorki-4にいえることではないのですが、実用する上でもうひとつ難点があります。
それが、後期に製造されたZorki-4にはストラップアイレットがついていないということです。
旧ソ連の連動距離計カメラは、Zorki-1くらいの時代だとストラップアイレットがないのですが、その後は金具が付くようになります。
ところがこのZorki-4は製造途中からストラップアイレットが省略されるようになってしまうのですよね。
ようは当時、カメラはケースに入れて使うのが普通だったので金具は不要だと判断されてしまったのでしょうが、いまとなっては実用するうえでかなり不便です。
これからこのカメラを買うならケース付きにしたほうがいい、というのは簡単ですが、基本的にはジャンクで売られているたぐいのカメラなので、なかったらないなりに、三脚穴にねじ込むストラップを使ったり、革ケースを作ったりするといいんじゃないかなと思います。
ちなみにマイナーチェンジ機種のZorki-4Kにもストラップ金具はついていないです。
Jupiter-8 50mm F2
さて、作例ですが、今回はJupiter-8 50mm F2の黒鏡筒のものを付けて撮影しました。
このレンズ、以前Zorki-1の動画でモノクロの作例は紹介したのですが今回はカラーネガ。
2022年の冬の撮影、フィルムはKodak ColorPlus200です。
作例
写真を撮影したのは東京の新大久保です。
このJupiter-8というレンズ、もともとツァイスのゾナーのコピーということで評判がよいですが本当によく写りますね。
快晴の日ということもあって、カラーネガですがとてもくっきりと写っています。
もちろん、ちゃんと写っているということはZorki-4のボディが問題なく機能しているというということでもあります。
Zorki-4のマウント内はとくにそこまで内面反射対策がされているわけではないと思うのですが、ド逆光の場合はともかくとして、
多少空が入るくらいでは極端にボヤボヤになってしまうことはないですね。
このチャンネルで紹介する作例、人間が入ることを極端に避けていたのですが、今回のフィルムでは多少は、一般の社会通念に反しない範囲で人間が写り込むようなカットを入れています。
もともと街中でのスナップをやっていたので、本当はそういう写真のほうがやっててテンションが上がるんですよね。
ということでゾルキー4とJupiter-8 50mm F2の作例でした。
実用性は十分なカメラ
Zorki-4について紹介してきました。
旧ソ連のカメラ、言われるほど品質が悪くもないし、きちんと整備すれば使えるということはこれまでの動画でも話してきたのですが、ただ、年代が下れば下るほど質が下がるのは事実だと思います。
このゾルキー4も、1970年代初頭のものということで、どうしても巻き上げやシャッターといった感覚的な面が犠牲になっているのかな、と思いました。
ただもちろん、ファインダーをはじめ素性はとてもよいカメラではあります。
Zorki-4自体、非常に数が多く入手性がよい機種なので、なんだかんだでいまでも旧ソ連製カメラの入門用にはうってつけなんじゃないかなと思います。
ありがとうございました。
御部スクラでした。
脚注
↑1, ↑2, ↑3 | 「Zorki – Camera-wiki.org – The free camera encyclopedia」(2022年10月22日閲覧) http://camera-wiki.org/wiki/Zorki |
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↑4 | 旧ソ連製カメラについての古参サイト「ソビエト連邦カメラ」のZorki-4Kのページでは、Zorki-4Kは1980年にも少数が製造されたと記述されています。 http://cccpcamera.stars.ne.jp/RussianCamera/RF/Zorki4K/Zorki4K.html |